東矢憲二の「気づきの経営」

経営コンサルタントとしての長年の経験を活かして、様々な気づきをご紹介します。
毎日読んでいただくと、心がホンワカ・・・

謙虚な目標の功罪

2008-11-20 | 経営の気づき
以前、女性創業塾の講師をさせて頂いたとき、ある方が、売上目標について非常に謙虚に答えられていました。「私の商売は、あんまり売上高が上がらなくてもいい。目の不自由な娘とともに、ギャラリー喫茶の仕事が出来ればそれだけで十分です。娘は学校を卒業する時期になってもどこからも採用されませんでした。そして、就職できない苦しみを親子で悲しんでいたとき、ある人が、就職できなければ、その仕事を作ればいいじゃないのとヒントを与えてくれました。このような経緯で事業を興すことを思いついたわけですから、売上はいくらでもいいのです」と。


確かにその謙虚さは評価して差し上げたいが、しかし、起業家としてみた場合は問題があります。
いくら事業規模が小さいとはいえ、事業を興すならば、「ここまでは成し遂げる」という到達点としての目標が必要です。親子の生活費がいくら必要なのか、その生活費を得るためにはいくらの売上高が必要か、その売上高を達成するためには、何人の客数といくらの客単価が必要か、これらを積算して、自分達の目標を腹入りしなければ、結果として生活に窮することになるかもしれません。目標客数や目標客単価が明らかになることによって、その方策も具体化されます。

目標のない事業は、「喜ぶべきか、悲しむべきか、感動を与えない活動」になってしまいます。さらに「達成感や満足感も与えない」味気ない活動になってしまいます。そして、「問題をはらんでいるのか、はらんでいないのか」問題所在を不明確なものにし、改善の手がかりを与えてくれません。

以上のごとく、目標は「様々な判断基準のよりどころ」として機能することになります。しかし、事業経営上、必要不可欠の存在として機能するためには、目標値が適正レベルに設定されなければなりません。当事者が容易に達成できるレベル、あるいは、絶対に達成できないレベルではなくて、当事者の有する能力をフルに発揮した場合実現化できる程度のレベル、この適正な目標値が設定されて初めて意義のある「目標」になります。
先ほどの親子の方にも、是非、目標を大きく掲げて頂いて、より輝く人生を送って頂きたいものです。
影ながら、成功を祈ってます。



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