なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

前立腺癌の転移で対麻痺

2014年09月02日 | Weblog

 77歳男性が8月中旬に食欲低下を主訴に内科外来を受診した。画像検査で前立腺癌があり、大動脈周囲リンパ節が腫大してほとんど一塊になって横隔膜下か前立腺に接するところまであった。肺転移もあった。腫瘍マーカーはPSAが1000以上と判明した。相当に進行しており、泌尿器科医の表現では末期癌の一歩手前ということだった。今週泌尿器科外来に来てもらって、病状説明して治療開始となる予定だった。

 ところが、昨日夕方から両側下肢の脱力で歩行できなくなり、当直帯で救急搬入された。対麻痺だった。意識は清明で、上肢の動きは問題ない。泌尿器科医が整形外科医に相談して、MRIを撮ろうとしたが、右目は義眼だった。昔の義眼で、患者さんによると磁石で眼窩に固定しているという。義眼をはずしてもらおうと、眼科医に相談すると、昔おの義眼で、それを外しても中の十尺は外せないという。MRの技師さんが検査すると、金属反応が強陽性だった。MRIをあきらめて椎骨のCTで見ると、整形外科医が第2胸椎と第4胸椎の位置に前立腺癌が転移していて脊柱管内にも腫瘍がある。

 手術は無理だろうということで、がんセンター放射線科に放射線治療をお願いすることになり、救急搬送した。整形外科医によれば、放射線は1回だけ照射して、それで効果なければそれ以上はしないという。2-3日で当院に戻ってくることになる。それからホルモン療法が開始される予定だ。

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肺胞出血

2014年09月01日 | Weblog

 僧房弁置換術後で循環器科に通院している77歳男性は数か月前から血尿・蛋白尿が続いていた。腎臓内科で検査すると、PR3-ANCAが陽性だった。それが先週の金曜日で、ちょうど腎臓内科医がやめる日だった。今週腎臓疾患の専門病院を受診するよう紹介状が出ていた。この患者さんは1週間前から血痰が出るようになっていたが、それについては言ってなかった。

 今朝血痰が増加して呼吸が苦しくなったと、内科外来を受診した。新患担当は大学病院からの応援医師だったが、胸部X線で肺炎があるので入院治療をお願いしたいと直接言われた。胸部CTを撮影すると両側肺の上~中肺野に高濃度の陰影があり、その周囲にスリガラス状が取り巻いていた。細菌性肺炎にしては変だ。Wegener肉芽腫症(RPGN)があって、肺胞出血を併発したと判断された。今日から腎臓内科の常勤医はいないので、直接専門病院に電話すると、すぐに寄こしてくれという返事だった。室内気で酸素飽和度が91%に低下していた。酸素吸入2L/分で飽和度は97%になった。ひとりで受診してきたので、自宅にいる奥さんを呼んで、救急搬送することにした。

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