なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

四肢の脱力

2012年08月20日 | Weblog

 36歳男性。昨日の朝に四肢の脱力が出現した。その後脱力は軽快した。今朝また四肢の脱力が出現して、歩行できなくなった。午後になって症状が軽減して、ある程度動けるようになったので受診した。確かに脱力がある。意識は清明で、感覚障害はない。血液検査をすると血清カリウムが3.0と低下していた。甲状腺絹機能は正常だった。カリウムを混合した点滴をして、それが効いたか自然にか症状は軽減した。10年前にも同じ症状があって他院を受診した。血清カリウムが低下していると言われたそうだ。神経内科医に相談すると、周期性四肢麻痺(低カリウム血性)だろうという。カリウム製剤で経過をみることになった。

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高齢者の食欲不振

2012年08月19日 | Weblog

 今日(日曜日)は病院で日直をしていた。当直医が早朝に診た82歳女性は、数日前から嘔吐・下痢が続いて食べられず、自分で救急車を要請した。水様便で血便はない。息子夫婦は近くにいるが、一人暮らしをしている。近所に人が一緒について来て、息子夫婦との関係はよくないらしい。胃腸炎には違いないが、この時期だと原因は何だろう。患者さんも入院する気で来ているし、高齢者のひとり暮らしは帰せない。便培養を提出して入院にした。

 88歳女性。数日前から嘔気と食欲不振が続いて、内科当番医を受診した。その医院から、食べられないので入院をお願いしまうと電話が来た。家族の車で来院すると、昨年の同時期に同じ症状で1週間入院した患者さんだった。昨年は入院して数日点滴をすると食べられるようになったので、あえて胃腸の検査はしていなかった。昨年と同じとすれば、夏バテなのか。

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ドクターMRI

2012年08月17日 | Weblog

 今日の午後は当直明けで脳外科医が不在となり、神経内科医も忙しくてとれていなかった当直明けの分の休みをとって不在だった。両方の科は1名ずつなので、脳神経の専門医が不在となってしまった、

 55歳男性。施設職員をしているが、数日前から風邪で調子が悪かったそうだ。勤務中にふらついて、しゃべり方も一時的におかしかったらしい。職場の同僚が救急要請した。救急隊が基幹病院(脳神経の医師8名)に連絡したところ、対応できないと言われ、症状がそれほどひどくないということで当院へ搬入された。昼過ぎに来たので、午前の救急当番だった循環器科医が対応した。搬入時は症状は軽快していて、検査では異常がなかった。頭部MRIでも異常はなく、点滴しているうちに、すっかり回復して帰宅した。

 79歳男性。左下肢の脱力が出現して歩けなくなったらしい。自分で救急要請して搬入された。以前構語障害が出現して神経内科に入院したが、脳梗塞はなく、症状は消失していた。私が午後の救急当番として対応した。搬入時も左下肢の脱力があった。一時的に左上肢の脱力もあったが、すぐに回復した。意識は清明。糖尿病外来に通院しているので、血糖測定したら184mg/dlだった。グラクティブ25mg/日の処方のみなので低血糖にはならない。頭部MRIは脳萎縮のみで、拡散強調画像で新鮮な脳梗塞は描出されなかった。検査を受けているうちに左下肢脱力は軽快した。MRAで見る脳血管は思ったほど動脈硬化を認めなかったが、穿通枝まではわからない。一過性脳虚血発作疑いとして入院で経過をみることにした。

 55歳女性。ふらつくのと、しゃべるのがおかしいということで家族が車で当院に連れてきた。内科クリニックに高血圧症で通院していて、そのクリニックに連絡したことろ、すぐに当院にいくよう言われたそうだ。消化器科医が外来に駆り出されて対応した。右片麻痺が出現していて、失語症を呈していた。頭部MRIで左中大脳動脈(MCA)が根本で途絶していて、その領域は基底核と頭頂葉が梗塞に陥っていた。時間が経つと左MCA領域全体が梗塞になっていくのだろう。また右MCAの狭窄も目立った。基幹病院の神経内科へ連絡すると受け入れOKで、すぐに救急搬送となった。

 当院のいいところは、CTはもちろんMRIもすぐに撮れるところだ。専門医が常にいるとは限らないので、ドクターMRIにお願いすると、ちゃんと診断してくれる。あとは搬送先を探すだけとなる。検査に頼りすぎるなどというよりも、専門医が少ない分を検査機械で補うというのが確実な方法かもしれない。

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症候性てんかん

2012年08月16日 | Weblog

 50歳台の男性。一昨日の夕方、全身けいれんで救急搬入された。搬入時、けいれんは治まっていた。救急担当の外科医から連絡が来て、救急室に診に行った。神経内科医は2人入院があって、その後にきた開業医からの紹介もことわるこらい忙しいらしい。それで内科の私を読んだのだった。名前と顔を見て思い出した。1年前に内視鏡的胃瘻造設(PEG)をした患者さんだった。30歳台に事故で頭部外傷を受けて、高度脳機能障害と四肢の運動障害が後遺症で残り、寝たきりで介護を受ける生活になっていた。救急病院からリハビリ病院などへ病院を何か所か移り、最終的には精神遅滞の人たちの施設に入所していた。妻子がいたはずだ。昨年嚥下障害から誤嚥性肺炎を繰り返して、経管栄養になった。症候性てんかんに対して2種類の抗てんかん剤が使われていたので、けいれ自体は数分で治まり、重積にはならなかった。けいれん発作はたまにしか起きていない。抗てんかん剤の血中濃度は治療域にあった。発作時に施設で使えるように、ジアゼパムの座薬(ダイアップ座薬6mg)を処方して、施設に戻ることにした。午後6時ごろ病院を出て駐車場に向うと、施設車が迎えに来ていた。30歳台から介護を受ける生活になった人生か、と思った。

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スルピリドの効果

2012年08月15日 | Weblog

 86歳女性。腹部不快感を訴えて受診していた。内視鏡検査や腹部エコーは異常がなかった。暑さのせいもあるのか、しだいに食欲がなくなり、、開業医を受診して3日間点滴をしてもらったという。点滴しても症状が改善しないので、先週金曜日にまた当院を受診した。歩く気力もなく、車いす乗っていた。検査で異常がなかったので、スルピリドを処方してみた。週末食欲がない時は、救急外来を受診して点滴を受けられるように手配しておいた。今日外来を受診したが、歩いて診察室に入ってきた。食欲が出たという。スルピリドをまた処方して2週間後に予約した。

 80歳女性。軽度の急性腎盂腎炎で泌尿器科を受診した。外来での抗菌薬投与で治癒した。治癒した後も調子が悪く、体重が5Kg減少したという。泌尿器科医から相談されたので、内科外来に紹介してもらうことにした。食欲はあり、悪性疾患が隠れているような検査結果ではなかった。話を聞くと、うつ状態のように思われた。スルピリドを処方して経過をみたが、ほんのりと良くなっていた。

 以前はよくスルピリド(ドグマチール)をうつ状態は心気症に処方していた。最近処方が少なくなっていたが、今入院しているうつ病の女性にも使っている。その患者さんはスルピリドだけでは足りないので、SSRI(ジェイゾロフト)を処方した。スルピリドのいいところは、少なくとも悪化することがないことと、たいていは症状がほんのりと改善することだ。ただし長期に投与すると錐体外路障害が起きるので、短期間の投与にとどめるか、速効性を期待してまず最初に処方してから、ちゃんとした抗うつ剤に切り替えるかだ。やたらに処方する薬ではないが、時々症例を限って使うと、うまくいくことが多い。

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胆嚢結石の痛みでいいのか

2012年08月14日 | Weblog

 78歳女性。軽度の認知症があるが、夫の世話でなんとか生活している。インスリン注射は夫が単位を確認して、注射は慣れているので自分で打っている。血糖コントロールは悪く、あまり悪くなると教育入院するというのを半年おきに繰り返していた。入院して食事療法を守るだけでインスリンは外来のままで血統が良くなった。

 先週の受診日に、先月から時々30分くらいの腹痛があると訴えた。腹部エコーで胆嚢結石を認め、胆石の症状だった。上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に小さな粘膜下腫瘍(SMT)があったが、腹痛の原因になる胃潰瘍などはなかった。6年前に心筋梗塞の既往があるが、循環器科に通院していて心不全症状はない。胆石の手術を希望されたので、術前検査と血糖コントロールをかねて内科で入院になった。入院してみると、本当に胆石の痛みではなくて、狭心痛ではないかという気もしてきた。冠動脈CTで確認する必要がありそうだ。

 病院はお盆休みはないが、開業医の先生方はほとんど休みだ。内科クリニックから抗てんかん薬の処方を受けている患者さんが、すぐには薬局にいかなかったところ、かかりつけの薬局がお盆休みになっていた。当院に処方を頼みに来たが、抗てんかん薬が合剤で当院の院内にはなかった。当院の近くの薬局は開いているので問い合わせたところ、その薬局には置いていないという。確かに当院からその薬の処方は出ないから当然だろう。取り寄せになるらしいが、この時期すぐに調達できるかどうかわからない。とりあえず数日は同効薬を処方しておくというのもあるが、どんなものだろう。精神病院なら院内に置いてあるかもしれないので問い合わせてもらうことにした。まあ1日分くらい内服しなくても大丈夫だろうから、お盆中に開けている薬局で取り寄せるのを待つのが無難のようだ。慢性疾患の場合、1~2週間分くらい余分に持ってないと、大地震などが起きたら、すぐには手に入らないので困ってしまうだろう。

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うつで入院

2012年08月13日 | Weblog

 78歳女性。糖尿病外来に通院していた。先月嘔気・食欲不振・倦怠感を訴えて、消化器科に2回入院していた。最初は3日間、2回目は7日間の入院だった。入院すると安心するせいか嘔気の訴えが少なくなり、食事摂取できるようになっていた。上部消化管内視鏡検査ではが軽度の逆流性食道炎はあるが、もともとPPI(パリエット)が処方されていた。腹部エコーで胆嚢結石があるが、胆石の症状ではなかった。入院するだけで良くなるという経過は逆流性食道炎や胆嚢結石のものではない。

 退院後また同じ症状を訴えて、外来を点滴希望で頻回に受診していた。最初の入院で担当した消化器科医から内科に入院依頼がきた。もともと明るい人ではないが、表情が平板だった。入眠障害と早朝覚醒もあった。うつ病なのだろう。希望が強いので3日間だけ点滴を1本した。前のように入院してすぐに食欲が良くならず、5割から8割の食事摂取だった。外来のインスリン量では低血糖傾向になるため、段階的に減量した。まず速効性のあるスルピリド(ドグマチール)を処方してみた。土日に副作用が出ると面倒なので、月曜日の今日からSSRI(ジェイゾロフト)を開始した。

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高齢者の血便

2012年08月12日 | Weblog

 93歳女性。朝に血便が出現して、連れて来られた。発熱、腹痛はない。血液検査では炎症反応の上昇(白血球11000、CRP16)を認めたが、貧血はない。直腸指診で赤い血液が付着した。直腸内に腫瘍はなかった。腹部造影CTで下行結腸からS状結腸の腸管壁が全周性に肥厚していたが、腫瘍はなかった。虚血性腸炎のようだ。CTで5cmの腹部大動脈瘤もあった。

 夫はずっと前に死亡していて、子供はない。生活に介護を要するようになって、最近弟夫婦の家に同居していた。弟一家といっても、代替わりしていて、姪夫婦が世話をしている。高齢者3人の介護になるので大変らしい。施設にも申し込んでいるが、年金で払える施設は申し込みが殺到していて入所の見込みはまったくないという。虚血性腸炎は腸管が壊死に陥ったりしなければ、1~2週間で退院できそうだが、病院に預けられれば、その間は介護を休めるので喜んでいた。

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間質性肺炎をどうするか

2012年08月11日 | Weblog

 88歳女性。2か月前に急激な呼吸困難で外来を受診した。血圧が低下して酸素飽和度は極端に下がっていた。家族が自宅の車で連れてきたが、救急車を要請すべき状態だった。当初は重症の感染症と思われた。胸部X線・胸部CTをみると、浸潤影様の陰影もあるが、間質性と判断される淡いすりガラス用陰影が両側肺に広がっていた。急性間質性肺炎と思われた。当然呼吸器科の専門医へ紹介すべきだが、高齢なので受けてくれるかどうか、わからなかった。基幹病院の呼吸器科医に電話して病状を伝えると、すぐに受けてくれたので救急車で搬送した。助からないだろうと思われた。

 その後、家族がたまたま別の患者さんのお見舞いに病院に来た時に会った。気管送管されて人工呼吸になったが、なんとか離脱したという。ステロイドに免疫抑制剤を使用しているらしい。さすが専門医というべきか、そこまでやるかというべきか。確かに呼吸器疾患のなかでも間質性肺炎が専門なので、高齢者でも徹底的に治療するのだろう。

 先日その先生から電話が入った。退院できるようになったが、集中治療を受けてベット臥床生活が長かったので、すぐには家庭に戻れない。当院に転院して、しばらく診てほしいという。先方は救急病院で長く入院させられない。当院で引き受けることにした。昨日FAXで紹介状がきたが、ガッチリステロイドと免疫抑制剤が入っていて、あまり動けないのはもちろんだが、食事摂取も十分できていないようだ。こちらで診るのはかまわないがまた増悪した時にどうするかを、家族と相談して決めておくことにした。

 今週初めに、緩和ケアで入院していた肺癌・間質性肺炎の患者さん(81歳男性)が、外泊していた自宅で倒れて救急車で病院に戻った。肺癌に細菌性肺炎を合併したと思われたが、どうもおかしい。3日後に胸部CTを再検すると、進行した肺癌の陰影の間を埋めるように間質性陰影が広がり、淡い間質性陰影のみの部位も見られた。短期間に血清LDHの上昇を認めた。、肺癌の進行に伴い、間質性肺炎が増悪したものだった。週一で大学病院から来てもらっている呼吸器科医(もともとこの間質性肺炎の患者さんを外来で診ていた)に相談した。抗菌薬は継続して、まずステロイドパルス療法を行うことにした。倦怠感・食欲不振・癌性疼痛で入院したが、オピオイド増量・ステロイド投与・補助薬の追加で症状が改善した。いったん退院できるかと思われたが、一気に危険な状態になってしまった。

 間質性肺炎の患者さんは呼吸器科医に紹介している。診断だけできればいいという立場だが、ある程度は間質性肺炎を知っている必要があり、間質性肺炎の医学書を持っている。以前は京都大学の泉教授監修の本を使っていたが、10年近くたつとさすがに古くなった。最近間質性肺炎の本が数冊出ているので、そのうち一番わかりやすい本を買ってきた。顔を知っている先生も書いていた。

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わからない単関節炎

2012年08月10日 | Weblog

 20歳女性。2か月前から左膝関節の腫脹・疼痛があって1週間前に整形外科外来を受診した。他の関節は異常なく、急性単関節炎だった。発熱はなく、炎症反応はほぼ陰性(白血球数正常でCRP0.6)。関節穿刺の結果では化膿性ではない。外傷の既往はなく、特にスポーツ・運動のやり過ぎたわけでもない。NSAID(セレコックス)で1週間経過をみたが、症状は変わらなかった。今日内科外来へ反応性関節炎の疑いとして紹介された。内科新患の担当医が、判断に困って相談にきた。単関節炎であって、それ以外の症状がないので、なんともいえない。急性単関節炎といえば、化膿性か結晶誘発性か外傷性だが、どれも違うようだ。整形外科で診たところでは関節内の靭帯の問題でもないらしい。内科で扱えるとすればリウマチ膠原病科の医師くらいだろう。とりあえずまだ1週間なので、整形外科で経過をみてもらうことにした。

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