なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

せっかく馴染んでいたのに

2012年08月02日 | Weblog

 82歳女性。アルツハイマー型老年認知症で施設に入所していたが、1か月前から飲み込みが悪くなっていて、誤嚥性肺炎を起こして入院した。抗菌薬投与で肺炎自体は治ったが、嚥下障害のため経口摂取はできなかった。家族と相談したところ、経管栄養を希望された。ただ、経口摂取していなくても痰が多く、経管栄養に馴染まない可能性が高いと家族にお話しした。内視鏡的胃瘻増設術(PEG)を行い、栄養剤を少量から開始してみたが、意外にうまくいった。これなら施設に再入所できると思われた。

 今日、口から泡状のものを吐き出して、チアノーゼ・冷汗がみられた。酸素飽和度が70%台まで落ち込んだ。吸引できるだけ吸引して酸素をリザーバー付きマスクで10L/分投与して、次第に酸素飽和度が90%台に戻った。早すぎてまだ陰影ははっきりしないだろうと思いながらポータブルの胸部X線検査を行った。右肺と、特に左肺に斑状の陰影が散在していた。2-3日経つと炎症反応のため陰影が広がってくるだろう。病院肺炎用の抗菌薬(ゾシン)を開始した。少し注入しても、すぐに嘔吐したり発熱がみられたりして、経管栄養の見込みはないと思われていたが、予想よりもうまくいっていたので、肺炎を治して、また経管栄養を試みたいが、はたしてどうなるか。家族には肺炎を乗り切れず、悪化する可能性があると伝えた。

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