なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

耳鼻科領域のリンパ腫か

2012年08月23日 | Weblog

 44歳女性。2週間前から発熱と咽頭痛があった。耳鼻咽喉科クリニックを受診して、セフェム系の抗菌薬を処方された。熱は37℃台だった。今日の早朝に前胸部痛で地元の病院を受診した、心電図で虚血性心疾患の所見はなかったが、症状が続くため当院へ搬送されてきた。昨日当直の外科医が受けた。まだ胸痛があり、上背部痛もあるというが、持続痛ではなかった。吸気で胸痛が生じるわけでもない。心音・呼吸音は正常だった。心電図ではやはり虚血性変化を認めない。胸腹部造影CTで急性大動脈解離はなかった、酸素飽和度は正常で気胸でも肺梗塞でもない。原因がはっきりしないが、重大な心肺疾患はないということになった(日勤帯になり、放射線科医も循環器科医も来ていた)。むしろ血液検査で異常があり、内科の私に連絡がきた。

 頸部リンパ節(前頸部と後頸部)が拇指頭大とピンポン玉大の中間くらいの大きさで複数触知した。CTでは両側腋下部のリンパ節腫脹もあった。血液検査でリンパ球系異常細胞が20%認められた。肝脾腫もある。肝機能検査でAST・ALT・LDHの上昇を認め、LDHの上昇が目立つ。単なる化膿性扁桃炎(咽頭炎)や伝染性単核球症ではない。耳鼻咽喉科領域から出たリンパ腫が疑われ、すぐに血液科のある専門病院に紹介することにした。当院でもリンパ節生検や骨髄穿刺(ある程度見当はつくが、診断は外注)はできるが、耳鼻科領域とすると気道閉塞の問題があり(今のところは呼吸苦なし)、早急に紹介するべきと考えた。当直の外科医は、当直終了前の依頼だったので、検査をして循環器科に回せばよいと判断したのだろうが、予想外の展開だった。

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