消化器科医から糖尿病の患者さんのことで相談を受けた。92歳女性で一人暮らしをしている。この暑さのせいで脱水症になり、入院していた。点滴数日で回復して食事摂取は普通になった。もともと糖尿病があり、食事療法のみでは血糖が200~300mg/dlになる。DPPⅣ阻害剤から開始したが、ケットウの改善はもうひとつだった。飲み間違いや低血糖の危険性を考えるとSU剤は使いたくない。軽度だが腎機能障害があり、メトホルミンは使いたくない。まずアクトスを追加して経過をみることにした。それにしても退院したら、また一人暮らしに戻ってやっていけるのだろうか。
低血糖で入院していた80歳女性は、循環器科からSU剤とDPPⅣ阻害剤とアクトスが処方されていた。最近は食事量も低下してきて、実際は寝たきりに近く、病院に連れてくるのも大変という。症状も軽度の意識障害ののか認知症かのか、初めて救急外来で診ると判別しにくい。HBA1cが5.3%と良好な値なので、SU剤は中止とした。
65歳男性は消化器科にアルコール性肝硬変と糖尿病で通院していた。一人暮らしで、以前から民生委員が時々自宅に様子を見に行っていた。たまたま民生委員が自宅に行って話をしている時に低血糖症状が出現して、救急要請してくれた。一晩低血糖で倒れていたら低血糖脳症で大変なことになっていただろう。ランタス注とDPPⅣ阻害剤とSU剤が処方されていた。SU剤を中止すると多少血糖は高くなるが、肝硬変があるため低血糖に弱い、SU剤中止で経過をみることにした。
最近の糖尿病治療はすっかりDPPⅣ阻害剤が中心になった。極力SU剤を避けるか、ごく少量使うかという方針になる。