なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

間質性肺炎をどうするか

2012年08月11日 | Weblog

 88歳女性。2か月前に急激な呼吸困難で外来を受診した。血圧が低下して酸素飽和度は極端に下がっていた。家族が自宅の車で連れてきたが、救急車を要請すべき状態だった。当初は重症の感染症と思われた。胸部X線・胸部CTをみると、浸潤影様の陰影もあるが、間質性と判断される淡いすりガラス用陰影が両側肺に広がっていた。急性間質性肺炎と思われた。当然呼吸器科の専門医へ紹介すべきだが、高齢なので受けてくれるかどうか、わからなかった。基幹病院の呼吸器科医に電話して病状を伝えると、すぐに受けてくれたので救急車で搬送した。助からないだろうと思われた。

 その後、家族がたまたま別の患者さんのお見舞いに病院に来た時に会った。気管送管されて人工呼吸になったが、なんとか離脱したという。ステロイドに免疫抑制剤を使用しているらしい。さすが専門医というべきか、そこまでやるかというべきか。確かに呼吸器疾患のなかでも間質性肺炎が専門なので、高齢者でも徹底的に治療するのだろう。

 先日その先生から電話が入った。退院できるようになったが、集中治療を受けてベット臥床生活が長かったので、すぐには家庭に戻れない。当院に転院して、しばらく診てほしいという。先方は救急病院で長く入院させられない。当院で引き受けることにした。昨日FAXで紹介状がきたが、ガッチリステロイドと免疫抑制剤が入っていて、あまり動けないのはもちろんだが、食事摂取も十分できていないようだ。こちらで診るのはかまわないがまた増悪した時にどうするかを、家族と相談して決めておくことにした。

 今週初めに、緩和ケアで入院していた肺癌・間質性肺炎の患者さん(81歳男性)が、外泊していた自宅で倒れて救急車で病院に戻った。肺癌に細菌性肺炎を合併したと思われたが、どうもおかしい。3日後に胸部CTを再検すると、進行した肺癌の陰影の間を埋めるように間質性陰影が広がり、淡い間質性陰影のみの部位も見られた。短期間に血清LDHの上昇を認めた。、肺癌の進行に伴い、間質性肺炎が増悪したものだった。週一で大学病院から来てもらっている呼吸器科医(もともとこの間質性肺炎の患者さんを外来で診ていた)に相談した。抗菌薬は継続して、まずステロイドパルス療法を行うことにした。倦怠感・食欲不振・癌性疼痛で入院したが、オピオイド増量・ステロイド投与・補助薬の追加で症状が改善した。いったん退院できるかと思われたが、一気に危険な状態になってしまった。

 間質性肺炎の患者さんは呼吸器科医に紹介している。診断だけできればいいという立場だが、ある程度は間質性肺炎を知っている必要があり、間質性肺炎の医学書を持っている。以前は京都大学の泉教授監修の本を使っていたが、10年近くたつとさすがに古くなった。最近間質性肺炎の本が数冊出ているので、そのうち一番わかりやすい本を買ってきた。顔を知っている先生も書いていた。

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