50歳台の男性。一昨日の夕方、全身けいれんで救急搬入された。搬入時、けいれんは治まっていた。救急担当の外科医から連絡が来て、救急室に診に行った。神経内科医は2人入院があって、その後にきた開業医からの紹介もことわるこらい忙しいらしい。それで内科の私を読んだのだった。名前と顔を見て思い出した。1年前に内視鏡的胃瘻造設(PEG)をした患者さんだった。30歳台に事故で頭部外傷を受けて、高度脳機能障害と四肢の運動障害が後遺症で残り、寝たきりで介護を受ける生活になっていた。救急病院からリハビリ病院などへ病院を何か所か移り、最終的には精神遅滞の人たちの施設に入所していた。妻子がいたはずだ。昨年嚥下障害から誤嚥性肺炎を繰り返して、経管栄養になった。症候性てんかんに対して2種類の抗てんかん剤が使われていたので、けいれ自体は数分で治まり、重積にはならなかった。けいれん発作はたまにしか起きていない。抗てんかん剤の血中濃度は治療域にあった。発作時に施設で使えるように、ジアゼパムの座薬(ダイアップ座薬6mg)を処方して、施設に戻ることにした。午後6時ごろ病院を出て駐車場に向うと、施設車が迎えに来ていた。30歳台から介護を受ける生活になった人生か、と思った。
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