70歳代前半の女性が、上腕骨骨折術後で地域包括ケア病棟に入院していた。昨日の午後病棟にいると、意識レベルが低下したという。主治医の整形外科医は小手術で手術室にいたので、他の整形外科医が呼ばれていた。病棟の看護師長さんに、先生診てと言われたので、病室にいってみた。朝昼と食事も半分くらい(いつも通り)食べていたが、覚醒が悪いとは思われていたそうだ。午後のリハビリの時に、閉眼したままだったので、意識低下していると騒ぎになった。
脳出血後遺症・多発性ラクナ梗塞の既往があり、年齢の割にADLは悪いらしい。呼びかけると薄く目を開けるが、またすぐ閉じてしまう。麻痺の有無は判断しにくい。発熱はなく、浮腫もなかった。バイタルは安定していて心肺の問題ではない。
整形外科医が点滴と血液検査の指示を出していた(その後、すぐにどこかに行ってしまった)。血糖の指示がなかったので、簡易血糖測定でみると血糖73mg/dlと低めだが意識低下まではしないだろう。糖尿病の既往も治療歴もないが、やせた高齢女性だと血糖が低めになることがある。
血液検査の結果が出るまで、頭部CTを検査することにした。脳出血後のスリット状の病変と多発性ラクナ梗塞があった。左大脳動脈領域が不整に低濃度になっているようにも見える。MRIができるか聞くと、次に入れてもらえるという。そのまま頭部MRI検査を行った。
結果は新規脳梗塞はなしだった。呼名反応が少し良くなったりもして変動している。脳循環の問題なら点滴して経過をみるしかないかと思った、病室に戻ってすぐに血液検査の結果が出た。血清ナトリウム118mEq/Lで低ナトリウム血症だった。もともとの血清ナトリウムは135くらいで推移していた。ナトリウムが下がるような処方はない。
内科で指示を出してほしいということだったので、点滴を変更してゆっくり補正することにした。それにしても頭部CT・MRIは余計だったか。まあ低ナトリウムとわかっても頭部CTくらいは念のためにとるだろうが。
今日は血清ナトリウム122でまずまずの値だった。開眼していて、会話もできる。2~3日で正常化にもっていけそうだ。止めていた食事も再開することにした。処方の中に、かかりつけ医から処方されている安定剤があり、それだけ中止のままとした(昨日内服できないので全部止めていた)。出し始めた経緯は不明だが、アルプラゾラム(0.4mg)3錠分3はさすがに多いだろう。