なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大学病院へ転院

2015年03月27日 | Weblog

 消化器科医が診ている黄疸・発熱の50歳代男性はなかなか改善しなかった。当初の肝機能障害(胆道系優位)と血清アミラーゼ上昇から、画像上胆道系の拡張がないので、総胆管結石の陥頓・自然排石を考えていたが、どうも違う。発熱は続き、頭痛(意識清明で髄膜刺激症状なし)・腹痛(腹部は軟)・嘔気が続いた。

 トランスアミナーゼは正常化して、胆道系酵素も入院時より低下してきた。黄疸だけが強くなっている。血清アミラーゼは正常化した。炎症反応は横ばいか漸増だった。抗菌薬は最初にスルペラゾンで、その後はメロペネムに変更していた。感染症は感染症だが、ふつうの細菌感染症ではないのかもしれないと思い始めた。

 主治医が困って大学病院から応援に来ている感染症科の偉い先生に相談したところ、その講座のある先生と相談するよう指示された。電話で相談して、一昨日から抗菌薬を追加(クラビットとアミカシンの指示)することになった。そして今日大学病院の感染症科に転院となった。大学病院の消化器科の先生とも相談しないとと言っていたそうだ。感染症科はコンサルテーションだけでベットを持っていないと思っていたが、今は入院も診るのだった。リケッチアなどの特殊な感染症とか血管炎やリンパ腫も鑑別に上がるのだろうか。さっぱりわからない。皮疹・関節痛はない。優れた総合診療医(ドクターGに出てくるような)に見せれば、一発診断になるのかもという話が出た。

 この消化器科の先生は、もうひとり肝機能障害で入院した30歳代後半の女性を診ている。こちらはA型・B型・C型(E型は結果がまだ来ない)肝炎は陰性だった。自己免疫性肝炎を想定していたが、抗核抗体が陰性だった(自己免疫性肝炎は否定できない)。プレドニン30mg/日を使っているが、AST・ALT500~600の肝機能障害は変わらなかった。EBVとCMVの検査は提出していないので否定はできない。

 こちらは今日大学病院から週1回応援に来ている消化器内科・肝臓グループの先生に相談した。やはり自己免疫性肝炎だろうと言われたそうだ。来週大学病院へ転院して肝生検をする予定となった。自己免疫性肝炎と決まればステロイドパルスを行うらしい。その後はプレドニン50~60mg/日からの漸減だろう。凝固系検査で問題はないので(優位差は微妙だが入院時より軽快)、転院までプレドニン30mg/日で継続することになった。

 私は単なる聞き役だったが、主治医としては難しくて抱えきれない患者さんについて話をするだけでも気がまぎれるのかもしれない。個人で診るというよりも、病院全体で考えるのが大事だとは思う。3人寄れば文殊の知恵とはならず、一緒に頭を抱えるだけというのが実態だが。

コメント
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