なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

今日は日直

2015年03月08日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた。外来はそれなりに問題があったが、リハビリ病棟に入院していた74歳男性が急変したのが大きかった。もともと腎機能障害がある。昨年の12月に多発性脳梗塞(左右の大脳半球にラクナ梗塞が散在していて、一過性心房細動から血栓が飛んだようだ。当地域の基幹病院神経内科に入院して急性期の治療を受けて、今年の2月に当院のリハビリ病棟へ転院してきた。ただ、リハビリ病棟に入る患者さんにしては、虚血性心疾患と慢性腎不全があり、本来はリハビリというよりそれぞれの疾患の治療を要する状態だった。紹介状には脳梗塞についての記載しかないため、当院の神経内科医から問い合わせがされていた。

 入院後、血清クレアリニンが2台から4に悪化した。腎臓内科の外来にコンサルトされて、腎臓内科でフォローしていくことになった。一昨日から体調が悪かったらしいが、この方は中国人で日本語はわからない。日本で暮らす娘を訪ねてきて、脳梗塞が発症して帰れなくなっていた人だった。たまたま主治医が遠方に出張で不在だった。その先生から電話が来て、必要な血液検査を指示された。

 昨日から発熱があり、尿量が減少した。この方は中国で膀胱癌の手術を受けていて、右腎臓から回腸廔を通して排尿がある。左腎臓は数ミリに委縮して、機能廃絶していた。頼りの右腎臓もかなり萎縮していた。

 尿路感染の判断がむずかしい。尿は常に混濁している。胸部X線、さらにCTで確認すると左肺に肺炎像があった。誤嚥性肺炎なのかもしれない。心電図では正常洞調律だった。心房細動は発作性らしい。ワーファリンを内服していたが、腎機能の悪化で効きすぎに傾いていた。血液培養2セットと尿培養(判断できないか)を提出して、抗菌薬を投与した。血液ガスでpH7.3よりややアシドーシスに傾いている。 Na156、K5.8と高ナトリウム、高カリウムを呈していた。血清クレアチニンは7になっていた。胸部X線でCTRは前回より減少して、むし脱水症になっていると判断された。

 電解質を考慮した補液の増加と抗菌薬投与(腎不全があり1日1回投与になる)を開始した。血圧は120程度で、酸素飽和度は3~5L/分で90%半ばになっていた。外来を診ていると、病棟から連絡がきて、呼吸が弱いという。病棟に上がると、さらに悪化して下顎呼吸になっていた。気管挿管しようとしたが、うまく入らなかった。外科医(大学病院からの応援)に変わってもらうと2回目でなんとか挿管された。リハビリ病棟から循環器科・腎臓内科・神経内科病棟のICUに移して、人工呼吸器を装着した。血液ガス再検で代謝性アシドーシスが悪化していた。血圧が120から低下してきて、洞性除脈からさらに心室調律のような波形に変わった。脈が触知されず、心臓マッサージ(胸骨圧迫)を外科医と交代で行った。薬剤もできる範囲で投与したが、残念ながら効果はなく、蘇生を中止した。

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