今朝、消化器科医に黄疸・発熱で入院している50歳代男性について談された。症状は黄疸・発熱で軽度の右季肋部痛(消失)もあった。検査では肝機能障害、血清アミラーゼ上昇、炎症反応上昇がある。肝機能異常はAST・ALT上昇はごく軽度で、γ-GTP・ALPの胆道系酵素の上昇が目立ち、総ビリルビンが7(直接ビリルビン)まで上昇した。腹部エコー・CTでは胆嚢全体の壁肥厚(どちらかというと急性肝炎様)があるが、胆道系の拡張はない。MRCPでも胆道系拡張なし・腫瘍結石なしを確認していた。
総胆管結石が自然排石した所見のように思われる。胆道感染として入院後にスルペラゾン点滴静注を開始していたが、発熱が続き、黄疸も少しずつ進行した。抗菌薬をチエナムに変更したという。
総胆管結石の一時的な陥頓と、その後の自然排石だと、もう少し順調な臨床症状と検査値の改善がみられるはずだが、どうも変だという。知り合いの肝臓専門医に電話で相談したら、重症感染症(敗血症)に伴う肝障害ではと言われたそうだ。一時抗菌薬を止めて、あるいは翌日の抗菌薬投与前に血液培養を取るべきか、炎症巣の検索のため全身のMRI拡散強調画像をとるべきか(これは今日撮った)と悩んでいた。
しかし血清アミラーゼの上昇(その後軽減してきた、膵炎の画像所見はない)考えると、元の原因はやはり肝胆道系だったはずだ。幸い昨夜から解熱傾向にある。一時的な胆道閉塞からの胆道感染が軽快したのでは?
この患者さんは獣医さんで、何か変な感染症ではないかと言われたが、よくわかりません。いろいろ騒いで、結局原因は不明だが、なんとなく治ったというパターンもあるが、どうなるか。主治医は気持ちの悪い1週間を過ごすことになる。