なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

感染性心内膜炎

2015年03月12日 | Weblog

 先月の初めに肺炎として入院した84歳男性は、心不全の悪化で心臓センターのある病院へ転送した。応援医師の当直の時に、肺炎として入院になった。もともと10数年前に大動脈弁置換術を受けている。昨年は通院している診療所の紹介で当院で心カテ検査を受けた。冠動脈は全体的に動脈硬化を認めるが、極端な狭窄はなく、経過観察になった。

 結果的には、少しずつ心不全が悪化して肺うっ血が進行していたようだ。入院2日目の夜から頻脈性心房細動(発作性だった)となり、一気にうっ血性心不全が悪化した。翌日の土曜日に心臓センターへ転送した。利尿薬を使用して当院で頑張るのもあるが、血圧が100前後と低く自信がなかった。

 転院後の経過は、心不全については軽快した。入院後に血液培養2セットから同種の細菌が検出されたそうだ。Aerococcus urinaeというグラム陽性球菌だった。さすが専門で、経食道エコーが行われたが、人工弁を含めて疣贅はなかった。感受性のあるセフトリアキソンを3週間投与して軽快した。血液培養再検で陰性を証明して今月初めに退院となった。

 退院後すぐから発熱・倦怠感・食欲不振があり、退院の翌々日に当院を受診した(その時入院中の経過を記載した診療情報提供書を見せてもらった)。心不全の悪化はなかった。肺炎や尿路感染症は否定的だった。血液培養2セットを提出して当院入院とした。

 抗菌薬は同じセフトリアキソンとした。入院後は解熱して食欲良好となった。血液培養の結果が出て、同じAerococus urinaeが検出された。当院の感受性検査にセフトリアキソンが入っていなかったので、細菌検査室の技師さんにお願いしてセフトリアキソンの感受性を追加してもらった。臨床的には効果があったが、昨日報告が出て、セフトリアキソン耐性(R)と出た。抗菌薬と感受性のあるセファメジン(1g1日3回)に変更した。

 今日循環器科で心エコー(大学病院循環器科から応援医師担当、経胸壁)を施行してもらった。人工弁の後尖がやや厚くなっているという微妙な記載だった。人工弁の一部がprolapseしているという所見もあった。明らかな疣贅はない。状況証拠からは、人工弁の感染性心内膜炎と思われた。循環器科医から、前回入院治療をお願いした心臓センターのある病院に連絡したもらった。当院に応援に来たことのある先生に電話すると、明日転院で診てくれるという。当面は抗菌薬投与継続となるだろうが、その後どうするのだろう。大動脈弁再置換はリスクがあり過ぎると思うが。まずは経食道エコー再検だろうか。

コメント
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