東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

古いクラウン製トランジスタラジオ HT-70の修理(2/5)

2015年06月19日 | 古ラジオ修理工房

 この古いクラウン製トランジスタラジオ HT-70の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
  修理(1/5) 修理(2/5)  修理(3/5) 修理(4/5)
  修理(5/5)

 朝から雨が降っているため外に出ることができません。そんな時は、ラジオなどの修理をすることにしています。いろいろな電子部品や測定器の前に座ると、工作や電子回路が大好きだった10代に気持ちが若返ります。
 さて、電子回路基板をよく観察できるように、筐体からシャーシを外しました。これで、シャーシを手に取って回路基板をいろいろな角度から観察できます。ただ、筐体に付いているスピーカーは外せませんでした。このため、小型のスピーカーをシャーシに仮付けしました。

           筐体から外し、小型スピーカーを仮付けしたシャーシ


 さて、このラジオの故障は全く音が出ないことです。低周波増幅部は音は小さいものの大きな問題は無いようです。周波数変換部から中間周波数増幅部を調べる事にしました。そこで、自作のシグナルインジェクター&トレーサーで回路を順番に調べました。すると、中間周波増幅部の初段以降の回路は正常のようでした。このため、周波数変換部の故障が疑われました。

シグナルインジェクター&トレーサーで調査         調査に使用したコンデンサ
 

 初段の周波数変換トランジスタ2SA152の周辺基板を丹念に観察しました。しかし、見かけ上の故障はありません。そこで、テスターを使って周辺の電圧を調査しました。しかし、特に問題点となるような電圧異常は見つかりませんでした。そこで、オシロスコープで観察しました。すると、局部発信をしていない異常が見つかりました。電圧は正常でしたので、OSCコイルやIFT1コイルが断線しているとは思えません。考えられるのはコンデンサです。

                 トランジスタラジオ周波数変換部の標準回路


 そこで、 上図のCBとCEのコンデンサを疑いました。最初にCEを取り替えてみました。変化はありませんのでこのコンデンサではありません。次に、CBに正常なコンデンサを取り付けてみました。すると、局部発信するようになりました。このコンデンサの容量抜け故障であることが分かりました。電解コンデンサの容量抜けはよくありますが、フィルムコンデンサの容量抜け故障はあまり聞きません。

               故障したコンデンサと並列に仮付けした正常コンデンサ


 正常に局部発振するようになったため、いろいろな周波数の電波をSG(シグナルジェネメータ)から出してみました。すると、電波をちゃんと受信しました。また、このラジオのバリコンを回して受信周波数を確認しました。すると、530~1750KHzでした。低い方は正常ですが、少し高い方に寄っていることが分かりました。なお、バリコンを回しているとラジオ放送らしきものを受信しました。スピーカーの音が小さいので、低周波増幅部も故障しているようでした。

      故障したフイルムコンデンサ              綺麗な中間周波波形             
 

コメント
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