行かずの路地

ムシ暑い中、探し物をして歩いた。
そうだ、最後の最後に、あそこに寄ってみようと思った。
路地の、しかもゼッタイに人がすれ違うことができないほどの細い路地の奥に灯りがともっていた文房具屋さんだ。

さすがにそんな場所だと、入って行くには勇気がいる。
だから、ずっと躊躇していたのだ。

でも、今日は探し物がある。
いい理由だ。こんなことでもなければ、死ぬまで入って行くことはなかっただろう。よーし！

えぇ～っと・・・
あれ？
たしかこのあたりだったよなぁ・・・変だなぁ

何度か行ったり来たりしたが、あのホントに細～い路地が見当たらないぞ。
あれは幻だったのか？
でも、以前写真を撮った記憶もあるよなぁ。

どうしても見つからないので、近くのお店のおばちゃんに尋ねてみた。すると・・・

「つい先日、閉めちゃったのよ」

というわけで、何年も前から気になっていた細い路地の奥にチラリと見える文房具屋さんには、やっぱり一度も入ることはなかったのである。
周辺には閉まっては新たなお店に入れ替わるケースが頻繁だけど、さすがにこのロケーションではないだろうなぁ。

写真は、その近くの空き地。御成通り商店街の一角。