『あの頃のまま』の30年後かぁ…。
ちょっといかしたテーマだよななんて思ったが、よく考えてみるとそのぶん僕だってシッカリ年をくってしまったわけで、なんだか悲しくなってきた。
ところがだ。そのアルバム『海岸へおいでよ』(ブレッド&バター/SONY MUSIC DIRECT)を聴いてみると、年をとること、じいさんになっていくことも悪くないような気がしてくるから不思議。
力が抜けている。やわらかい。優しい。心地いい。そして相変わらずちょっと危ういところが絶妙で、またいいのだ。
特に好きなのは『夏の音符』。
このせつなさはどうだ。じいさんたち泣かせんなよ。
『あの頃のまま』どころか、もっとずっと先の頃まで連れていってくれる。
海岸へおいでよ。
海を見て、波の音を聞き、潮風に包まれると、なぜかいろんな想い出がよみがえってくる。若者たちよりも長く生きてきた分、僕たちはたくさんの想い出をかかえている。それを振り返る楽しみもまた、増えていくばかりだ。