湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

ガラスのうさぎの夏の空

2005-07-31 16:20:55 | 湘南ライナーで読む


「八月五日、朝からまた暑い日だった。父は朝のうち、二宮駅に小荷物を出しに行ってきた。」
そして、その日のお昼前に駅に着いた敏子と父親は米軍機の機銃掃射を受ける。
高木敏子著『ガラスのうさぎ』は、ここから小学6年生の主人公に次々と試練が押し寄せてくることになるのだ。
先日、書店の夏休み推薦図書コーナーで見つけた。存在を知ってはいたけど、読もうと思ったことはなかったのに、なぜか手にとってみると即、購入。一気に読んでしまった。
僕たちは子供の頃から戦争中の映像や話を見聞きしてきたので、読めば状況がある程度想像はつくが、果たして今の子供がこの話を理解できるだろうか、という気はする。
でも、紛れもなく本当の話なワケで、やっぱりしっかり伝えていかなければならないことだ。
というわけで(ってどういうわけだ?)、朝から二宮駅前にあるという「ガラスのうさぎ」像を見に行った。まあ、いつもの自転車でブラブラの目的地が欲しかったわけなんだけどね。
さて、60年も前とはずいぶん変わっているだろうけれど、駅前はひなびた感じで人影もまばら。そして、ロータリーの端の大きな木の下にひっそりと像は立っていた。
銅像なのに、彼女が抱えているうさぎが本当にガラス製なのが妙にリアル。
自分が小学6年生だったら、(そうしていくしかないとはいえ)彼女のように行動できただろうか。
いやいや、できない。像の「敏子」は悲しげな表情をして、でも大人びていた。
曇っていた空から太陽が顔をのぞかせて、カッと暑くなる。
10機編隊のP51がやってきたという南の空を見上げてみた。街も人も時代も変わったけれど、たぶん空はあの頃と変わってはいないだろう。