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この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

『庭から昇ったロケット雲』、TVQも侮れない。

2010-11-08 22:18:48 | 旧作映画
 全国のテレビ東京系列でそうなのかはわかりませんが、TVQ九州放送では毎週日曜日、よくまぁこんなの真っ昼間から放送するよな、と感心するようなB級映画ばかりを放送しています。
 例えばレニー・ハーリン監督の『マインド・ハンター』とかね。
 いやー、あれはつまんなかった。
 一応サイコサスペンスなんだけど、出演者の中で一番有名な俳優が一番最初に死んじゃうってこと以外、これといって見所のない作品でしたね。

 そんなわけでこの『庭から昇ったロケット雲』もまったくのノーマークでした。テレビ雑誌の紹介欄を読んでも、所詮テレQで昼間からやってるような映画だからな、とあまり鑑賞意欲はわかなかった。
 それでも当日やることがなくて見るともなしに見てたんだけど、これがメッチャ面白かったです。かなり感動しました。

 かつて宇宙飛行士だった農場主が、宇宙に行くという子供からの夢を捨てきれず、家族の協力の元に、自費でロケットを組み立て宇宙を目指すというお話。

 主人公の農場主チャーリーをビリー・ボブ・ソーントンが演じるんだけど、このチャーリーが相当な夢追い人で、フツー伴侶を得て、子供が出来たら、まず家族のことを第一に考えると思うんだけど、彼の場合宇宙に行くという夢が何より第一なので、ロケット作りのために農場さえ抵当に入れちゃう。
 はっきりいってトチ狂っているんだけど、見てると次第にチャーリーのことを応援したくなるんだよね。
 こんな破天荒な人物がアメリカにはいるのか!と驚かされたのだけど、実はこの映画、完全なフィクション。う~ん、気持ちよく騙されました。
 
 だけど、本作が実話を元にした映画ではないということが気に入らなかった人もいるようで、アマゾンのカスタマーレビューを読むと、個人の資産でロケットが作れるわけがないとか、個人で有人宇宙飛行なんて出来るわけがないとか、科学的なシーンが一つもないとか、結構滅茶苦茶に叩かれています。
 確かに、この映画は科学的には正しくないのかもしれないし、また現実的には個人で有人宇宙飛行なんて出来るわけがないのかもしれない。でももしそれが本当に可能だったら素敵なことなんじゃないのかなぁ?そしてそれを家族全員がサポートしてたらやっぱり素敵なことなのでは?

 映画って別に科学の教科書ってわけではないのだから、100パーセント常に科学的に正しくなければならないってことはないはずだし(ある程度のリアリティは必要だと思うけどね)、現実の世界では不可能なことが映画の中では可能だって方が夢があると思うけどな。

 ともかく自分はこの映画が好きだし、TVQも案外侮れないな、と思いました。
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ツイッター的つぶやき。

2010-11-07 23:04:54 | 戯言
■今さらながら『エアベンダー』ってパイプベンダーの商品名でありそうな気がする。

■「奢る」と「屠る」、どっちがどっちだか、わかんなくなるときがある。

■コタツを出したよ!そのついでにカーペットの掃除もしたんだけど、引っぺがすと毛が落ちてる。こんなところに誰が落としたの?妖怪の仕業?それともアリエッティ?

■ミクシィで毎日のようにアプリのリクエストをしてくる人がいて、それ自体は何てことなくて応じていいんだけど、たまにはこっちのブログにもコメントして欲しいって思う自分は器量が小さすぎですかね?

■日本シリーズ、ロッテマリーンズ優勝おめでとう!連日の熱戦、お疲れ様でした。でも一番疲れるのはこれから帰宅するファンの方たち。

■昼間テレビでやってたビリー・ボブ(略)主演の『庭から昇ったロケット雲』に感動。録画すればよかったよ。

■そんなにつぶやきたければツイッターやれよ、って声が聞こえてきそうだ。でもあれは有名人か、もしくは携帯電話での入力が苦にならない人がやるもんだと思う。

■地元のシネコンで『マチューテ』を上映していることに今さら気づく。遠出までして観ようとは思ってなかったけど、地元ならいいかな。誰か観た人、もしくはこれから観ようって人いますか?
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近況など。

2010-11-06 22:22:43 | 日常
 会社の健康診断で体重が去年より四キロも落ちていてビックリ。 
 世の女性であれば「体重が四キロも落ちてる!ダイエット成功♪」と小躍りして喜ぶところかもしれないけど、自分の場合元々体格が貧弱で、どーにか体重を増やそうと毎朝欠かさず腕立て伏せや腹筋など筋トレをして、よーやく増えた(と思ってた)体重だったので、この結果にはビックリしてガックリ。

 それ以上に驚いたのが視力検査で右目の視力が1.5だったこと(左目は0.7だったけど)。
 1.5なんて視力、小学校低学年以来だよ!!
 単純に勘が冴えていたってだけのことなのかもしれないけど、あー、驚いた。

 市立図書館がリニューアルオープンしたので行ってみる。
 廃棄図書の無料配布をやっていたのだけれど、開館して一時間も経ってから行ったので目ぼしい物はこれといってなし(一人二十冊持って帰ってよかったからねー)。
 手ぶらで帰るのも癪だったのでSFマガジンの何冊かもらう。
 2009年の五月号もあったりして、結構新しい。
 市立図書館だからスペースの問題があるのだろうけど、雑誌は一年間ぐらいしか蔵書として置かないのかな?

 それとは別にジェフリー・ディーヴァーの最新刊『ロード・サイド・クロス』を借りることが出来た。望外。
 これでリンカーン・ライムシリーズは、スピンオフのキャサリン・ダンスシリーズも含めて、全巻図書館で借りたってことになるなぁ。
 図書館様様です。

 ジェフリー・ディーヴァーは自分にとって図書館で借りられたら読みたい作家ではあるけれど、ディーヴァーとは違って新刊が出たら必ず購入するようにしている辻村深月の最新刊『ツナグ』がどこの本屋にも入荷していない。
 近隣で一番大きな積文館書店までわざわざ足を伸ばしていったのだけれど、やっぱりなかった。なじぇ?
 これが宝島社とか太田出版とかならわからないでもないけど、メジャーな出版社である新潮社から出てるんだよ?
 辻村深月って次代を背負う若手作家の一人なのに・・・。
 『ツナグ』が直木賞を受賞したら入荷しなかった本屋はどう言い訳するつもりなんだろうね。
 基本的に本は本屋で買うようにしてるんだけど、贔屓の作家の本を本屋で見つけて、それを手に取り、レジに持って行くという行為が好きなので、こういうことがあるようではアマゾンで発注するしかないなぁ。
 世の中どんどんデジタルになっちゃうね。。。
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我未だ入金せず。

2010-11-05 22:34:30 | インターネット
 しばらく前の記事で、「ヤフオクで『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』のDVDが500円で落札できてラッキー♪」みたいなことを書きました。
 落札してかれこれ二週間近くにはなるのかな。
 でも自分は未だに出品者の方に入金をしていません。

 別に落札したDVDを購入する気がなくなったってわけでも、入金するお金がないってわけでもありません。
 ただ、どーせならあと二、三枚はDVDを落札しようかと思ってオークションを様子見してるんです。まぁ送料はそんなに変わんないだろうし。

 しかし、なかなか掘り出し物って出ないものですね。
 レンタルショップの閉店によるオークションってことで、それなりに期待するものがあったんですけど(あくまで自分の基準では、です。『インファナル・フェア』シリーズ三部作が700円とかレンタル落ちであっても人によってはかなり安いんじゃないかと思います。)。
 オークションの始めの頃に『エンゼル・ハート』というお宝DVDが出品されてたから余計にそう思うのかもしれません。

 それで出品者の方に、今後出品予定のDVDの中に自分が欲しいと思う作品のものがあるかどうか尋ねてみたんです。
 そしたら、そのうちの一本があるという回答だったんですよ!
 そのDVDとは『ペリーヌ物語』(完結版)。

 『ペリーヌ物語』についてはいずれまた機会があればいろいろ語りたいことがあるのですが(そもそもこんなマイナーなアニメについて熱く語って意味があるのかという気はしますが)、自分がこれまで数え切れないぐらい見てきたテレビアニメの中で二番目に好きな作品なんです(一番は『未来少年コナン』。これはDVDボックスを購入済み)。
 自分が本当に欲しいのは、この『ペリーヌ物語』の本編を収録した全十三巻セットなんですが、これがまた高いんだ。ヤフオクでもたまに出品されますが、だいたい三万円から四万円ぐらいします(三千円ぐらいで売ってる台湾製のバッタもんではなくて)。
 いくら二番目に好きとはいえ、さすがに中古のDVDにそんな大金は出せません。

 それとは別に、『ペリーヌ物語』には「完結版」と銘打たれたDVDがあります。
 ただこれは「完結版」とは名ばかりのシロモノで、実際はテレビシリーズ全五十三話を五十分程度にまとめたダイジェスト版なんです(自分は未見ですが話に聞く限りそんな感じ)。
 全五十三話を五十分ってどんだけ圧縮しとんじゃい!!って言いたくなりますが、それでも全十三巻セットには手が届かない貧乏人には欲しいDVDではあります。
 それが出品されるっていうんです。

 よし、これは落札せねば、と思いましたね。
 ただ、落札するにはまだ条件があって、この完結版、発売されてそれほど日が経ってないのでアマゾンではフツーに発注できるし、(別の)ヤフオクでも千円出せば十分落札できるシロモノなんです。
 だからこのときも千円以上は出せないな、って思ってました。

 さて、オークション終了日、残り時間あと十分、入札者は自分の他に二人いました。
 『トム・ソーヤ』や『南の虹のルーシー』など他の世界名作劇場の完結版のオークションには誰も入札してなかったのに!!
 恐るべし、『ペリーヌ物語』。
 
 残り時間一分半のところで入札額は700円ちょっと、よし、これなら千円以下で落札できる、自分はそう確信して入札のボタンをクリックしました。
 次の瞬間自分は目が点になりました。
 
 このオークションはすでに終了しています。

 千円以下で落札しようとセコいことを考えるあまり、ギリギリで入札しようとして、オークション終了時刻をオーバーしちゃったのです(残り時間の表示もあまり信用出来ないということがこれでわかりました)。

 そんなわけで今に至り、未だに入金せずにいます(あ、もちろん出品者の方の了解は得てますよ)。
 いい加減掘り出し物が出ることは諦めて入金するべきかなぁ。
 でも入金した途端、あ、これ、欲しい!!と思うDVDが出品されそうな気がするんですよね。。。
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3D映画について思うこと。

2010-11-04 21:21:22 | 戯言
 3D映画を『ソウ ザ・ファイナル 3D』、『怪盗グルーの月泥棒 3D』と二本立て続けに観たので、3D映画について思うことをテキトーに書いてみたいと思います。

 まず自分は実のところ3D映画があまり好きではありません。
 理由はいくつかありますが、一番大きい理由は3D映画を観てると疲れるから、です。
 フツーの2D映画を観るのも自分にとっては十分疲れる行為なんですけど、3D映画だとその五割増しぐらいで疲れるかな。

 ただ、映画業界がなぜ3D映画の普及に努めてるのか、その事情はおおよそわかります。
 一言でいえば盗撮対策ですよね。
 現時点では3D映画って盗撮不可能ですから。

 少し前の記事のコメント欄で、映画をパソコンで違法DLすることに「まぁいいんじゃないの(人は人、自分は自分)」ぐらいにしか思わないという人がいて、その人に自分は違法DLによって映画会社が被った損害を最終的に負担するのは我々真っ当な鑑賞者なんですよ!といったことがあるのですが、よくよく考えてみれば3D映画が盗撮対策であるならば、すでに我々は3D料金によってそのツケを支払わされている、ってことになります。
 ポイ捨てされた空き缶の回収費用をポイ捨てしていない人が負担するようなもんですよね。
 理不尽です。
 これでも違法DLする人に憤りを感じることがないというのであれば、その人ははっきりいってお人好しすぎます。

 そういった業界の事情はさておき、個々の3D映画の出来に目を向けると、十本の3D映画のうち九本は、3D映画である必然性がないか、もしくは3D映画として機能していないか、どちらかだと思います。
 思うに、3D映画を作るのにはフツーの2D映画を作るのとはまた別の才能が必要なのではないでしょうか。
 3D映画の失敗作はとにかく観客に向かって何かがぴょーんと飛び出してくればそれでいい、と監督が考えてるフシがあります。
 十分か、十五分のアトラクションであればそれで構わないでしょう。しかし二時間前後の映画であれば、それだと持たない。二時間ひたすらぴょんぴょん何かが飛び出してくる映像が続けば目が尋常じゃなく疲れるだけです。

 だから、一部の映画レビューブログで「3D映画ブーム、さっさと終われ!」と書いてあったりするのも仕方ないかな、と思います。
 意味のない3D映像のために余計に三百円とか四百円とか払うことが腹立たしいのはよくわかります。

 しかし自分は3D映画を100パーセント否定する気にはなれません。
 なぜなら十本のうち、残り一本の3D映画はやっぱり素晴らしいから。
 3D映画を100パーセント否定する人は『ヒックとドラゴン』を劇場で観ていないんじゃないかって思います。
 あの映画を3Dで観て、なお3D映画を否定できる人はいないと思うのです。

 ジェームズ・キャメロンの『アバター』によって始まった3D映画ブームも陰りが見えてきたといわれています。
 しかしそれでもこれから先、数え切れないぐらいの3D映画が待機しています。
 まずは来月十七日から公開される『トロン:レガシー』ですかね。
 度肝を抜くような3D映像に期待したいところです。
 出来たら目に優しい映像でもあって欲しいんですが。笑。
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『おまえうまそうだな』、そこにあるのは無償の愛。

2010-11-03 21:53:22 | 新作映画
 宮西達也原作、藤森雅也監督、『おまえうまそうだな』、11/3、ワーナー・マイカル・シネマズ・筑紫野にて鑑賞。2010年45本目。

 先日の日記で『トイ・ストーリー3』や『ヒックとドラゴン』は大人から子供まで楽しめる映画であり、『怪盗グルーの月泥棒』は純粋に子供が楽しむ映画である、と書きました。
 その書き方でいくと本作は一見子供だけが楽しむ映画のようであるが、子供は何も考えず楽しみ、大人はいろいろと考えさせられる映画、といったところでしょうか。
 深いものがありましたよ。

 少し前のテレビのバラエティ番組で、犬と一緒に育てられたため自分のことを犬だと思っているライオン(やトラやクマ)がいる動物園が紹介されました(南米だったかなぁ。ADが金太郎の格好をしてライオンやクマの背中に乗ってました。番組の雰囲気はお笑いだったけど、映像としては衝撃的だった)。
 こういうのが環境がDNAを克服したっていえるのかなぁ。
 まぁでもフツーの生き物は人間に限らず、何かしら業(宿命?)を背負って生きているものですよね。
 本作は業に抗って生きようとする恐竜たちのお話です。

 一匹の草食恐竜のメスがある日、川の上流から流れてきた卵を拾います。メスは自分が生んだ卵と一緒にその卵を温めることにするのです。しかし、殻を破って出てきたのは肉食恐竜の赤ちゃんだったのです・・・。

 生まれてきた赤ちゃんがフツーじゃなくて(人間であれば先天的異常を抱えていたとしたら)何かしらトラブルを起こすであろうことが充分予期できたとしたら、親はその赤ちゃんを愛せるものなのでしょうか。
 愛せるもの、ですよね。
 フツーだろうが、フツーじゃなかろうが、赤ちゃんっていうのはトラブルを巻き起こすものですから。
 年がら年中ピーピー泣いて五月蝿いったらありゃしないし、ちょっと目を離した隙に壊したり、破いたり、散らかしたりと世話をするのが面倒なことこの上ない!!しかもしょっちゅう体調を崩して心配をさせる。
 でもそういったトラブルも含め、親っていうのは赤ちゃん(子供)を愛せるんだと思います(自分は独身なので想像ですけどね)。
 そこには何の計算もなく、見返りも求めない、だからこそ、親が子供に注ぐ愛は美しいんじゃないでしょうか。

 本作で草食恐竜のメスが肉食恐竜の赤ちゃん(ハート)に注ぐ愛は究極ですよ。だってその赤ちゃんが大きくなったら自分のことを食べちゃうかもしれないんですから。それがわかっていて彼女は自分の子供と同様、ハートに惜しみない愛を注ぐのです。

 成長したハートはやがて独り立ちするのですが、何の因果か今度は彼が草食恐竜の赤ちゃん(うまそう)を育てる羽目になります。
 ハートが他の肉食恐竜から命懸けでうまそうを守ろうとする様は、カッコいいというより、やはり美しいといえると思います。

 たぶん上映期間はこの先それほど長くないと思いますが、一人でも多くの人に観てもらいたい上質の感動作です。機会があれば是非ご覧になってください。

 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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『怪盗グルーの月泥棒 3D』、大人にゃつらいよ。

2010-11-02 23:49:45 | 新作映画
 ピエール・コフィン/クリス・ルノー監督、『怪盗グルーの月泥棒 3D』、10/31、TOHOシネマズ トリアス久山にて鑑賞。2010年44本目。

 たぶんそんなに悪くない映画だと思います。
 子供が喜ぶ要素がこれでもか!って詰め込まれてますしね。
 遊園地のシーンとか近くの席で観ていた子供はキャッキャッいって喜んでました。
 グルーの屋敷の地下研究所にわんさかいる、バナナから作られた(!)、「ミニオン」と呼ばれるミニサイズの人造人間はいかにも子供受けしそうなキャラクターです。
 残虐なシーンは一切なし!もちろんこれ以上ないっていうぐらいのハッピーエンドです。
 ひたすら子供たちが楽しむことを考えて作られた作品だと思います。

 でも、、、逆にいうとこの映画、子供が喜ぶ要素しかないんですよね。
 例えば『トイ・ストーリー3』や『ヒックとドラゴン』なんかは大人から子供まで楽しめる極上のエンターティメントだと思うのですが、本作は、童心を失った大人が楽しむのはちょっと難しいんじゃないかなぁ。
 少なくとも自分はまったく楽しめませんでした。

 例えば、野暮を承知で重箱の隅を突付かせてもらうと、独身で一人暮らしの(地下には怪しげな生物がうじゃうじゃおるけど)グルーの元に幼い三姉妹が里子に出されるってことは現実には絶対にありえないよね(グルーの職業が泥棒だということをひた隠しに出来たとしても)。
 なぜありえないかというと、そんなことが可能だったら性犯罪者の人たちが喜び勇んで養子縁組に乗り出しちゃうから、、、っていうのは大人の事情で子供には関係ないんだろうけど、やっぱりねぇ。
 もし三姉妹をどうしても里子として引き取らなければいけないというのであれば、グルーが養護施設の担当者の前ではまともな家庭人のふりをする、夫と妻の一人二役を演じる、ぐらいの工夫は欲しいよ。

 あと、月を盗むのに、ドラえもんの秘密道具のような光線銃を使って月を小さくするのはいいとして(その描写もあまりにあっけないのだが)、小さくしたものが時間が経つと元の大きさになることがわかってなかった、っていうのはねぇ、、、なんていうか、それぐらい最初からわかっとけよ、っていいたくなる。

 お話っていうのはすべからくご都合主義であるのだけれど、でもご都合主義が鼻についてはいけないんだよね。
 そうならないようにするのが脚本家や監督の腕の見せ所だと思います。
 本作は脚本や演出に工夫が見られなさすぎでした。
 まぁそういった小難しいことは小さい子供たちには関係ないんだろうけどね。

 それと本作ではグルーの声を笑福亭鶴瓶が当てていて、自分は決して有名人の声優起用に反対の立場にはないのだけど、それどころか、上手い具合にイメージに合うもんだなあと感心することも多いのだけれど、最後まで違和感を拭えなかったなぁ。
 鶴瓶を起用することでグルーが関西弁を話すキャラになってるんだけど、自分にはグルーはそういうキャラには思えなかったんですよね。どちらかというと渋い、伊武雅刀のような声?
 まぁこれは自分の主観だから、鶴瓶の声でピッタリだったよ、と思う人もいるだろうけどね。

 お気に入り度は★、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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『ソウ ザ・ファイナル 3D』、『ソウ』シリーズってつまり・・・。

2010-11-01 21:11:05 | 新作映画
 ケヴィン・グルタート監督、トビン・ベル主演、『ソウ ザ・ファイナル 3D』、10/31、TOHOシネマズ トリアス久山にて鑑賞。2010年43本目。

 日本の秋の風物詩、『ソウ』シリーズ最新作を観てきました。
 やっぱり一年に一度はジグソウの元気な顔を拝まないとね!!(劇中すでに死んでるけどさ)

 さて、大人から子供までみんな大好き(←これはソウ。じゃなくて嘘。)『ソウ』シリーズを個人的に総括させてもらうと、パート1こそホラー映画史に残る衝撃的な作品であるが、続く2~6は雑な作りで矛盾に満ちている、といったところでした。
 この『ソウ ザ・ファイナル 3D』を観るまでは。
 いや~、感服しましたね。
 雑な作りで矛盾に満ちていると思った箇所すらも実はすべてミスリードだったんだよ~ん♪という作り手のにやけた笑いが目に浮かぶような、実に見事な伏線の回収ぶりでした。
 もし『ソウ』シリーズから同じようなことばっかやってんじゃねーよ!!と次から次へと登場人物を増やしてんじゃねーよ!!とかいう理由で脱落した方は、きちんと2から6まで復習した上で本作を観た方がいいです。
 シリーズの完結編はこのように作るのだ、というお手本みたいな映画でしたよ。

 などとベタ褒めするのはそれぐらいにして、以下ネタバレレビューです。
 
 『ソウ』シリーズって、つまり伝統産業に従事する職人が、後継者を育てるのに苦労するっていうのと同じお話だったんですね。生きることの大切さを説く割にはずいぶん命の扱いが雑だな、と思っていたのですが、あれは全て不肖の弟子がやっていたことなのか!深く納得しちゃいましたよ。
 
 それで最終的にジグソウが後継者として選んだのがパート1で右足先を切断して監禁部屋から脱出したゴードン医師だったのですね。
 なるほどー、と一瞬感心したのですが、待てよ、と首を捻りました。
 ゴードンの考えてることが今ひとつよくわからない・・・。

 本作においてまず驚くのはジグソウの後継者の最有力と考えられていたホフマンの八面六臂の大活躍です。
 自動車の解体工場で人種差別主義者に天誅を与え、ターミネーターばりに警察署を襲撃し、同じく後継者の一人と考えられていたジグソウの元妻ジルを激殺、それと同時にゲームの生存者だと偽っていたペテン師にもお仕置き、って観ている者は皆こう思ったはずです、ホフマン、あんた働きすぎ!!と。

 しかし警察を手玉に取り、ライバルであるジルを弑したホフマンを上回るのがゴードンなんですよ。
 彼はジル殺害直後のホフマンを拉致すると、パート1の監禁部屋に閉じ込めて、「ゲームオーバー」と嘯くのです。

 一見すると見事な完結ぶりなのですが、よくよく考えてみるとこれっておかしくないですか?ゴードンが本当にジグソウのことを師と仰いでいるのであれば。
 なぜなら、ジグソウは本当に望んでいたのはジルの幸せなのですから(ジルに何かあったときは、といったけれど、実際それを望んでいたわけではないはずです)。
 であれば、なぜゴードンはホフマンがジルを殺すのを止めようとしなかったのか(その気になればいくらでも止めれたはず)。
 その答えは一つしか思い浮かびません。
 それはつまり、ゴードン自身がジルの死を望んでいたから。
 なぜゴードンがジルの死を望んだか、それははっきりしません。
 推測ですが、ジグソウの元妻であるジルの存在はジグソウの真の後継者たるゴードンにとってもやはり目障りだったんじゃないでしょうか。
 しかし、自身の手で葬るという選択は出来ない(それだとジグソウの遺言に背くことになる)。
 なので、ホフマンによってジルが殺されるように仕向けた・・・。

 そう考えるとゴードン=ジグソウの愛弟子という構図は崩れ、それどころか彼はジグソウに対する最大の叛逆者ということになります。
 この仮説を証明するには些かピースが足りないのですが、自分はそのように想像します。

 やっぱり後継者を育てるのって難しいですね!!!笑。


 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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