この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

『悪人』、う~~~ん、さっぱりわからん。。。

2010-09-17 23:50:47 | 新作映画
 吉田修一原作、李相日監督、妻夫木聡主演、『悪人』、9/7、Tジョイ久留米での試写会にて鑑賞。2010年37本目。


 今年は何だか試写会づいています。
 この九ヶ月で五本、二ヶ月に一本以上のペースで当選しているのですから、かなりのハイペースと言ってよいでしょう(東京なんかと違って、こちらはそもそも試写会の開催数が少ないですからね)。
 去年までの、応募すれど応募すれど落ちまくっていた連敗街道が嘘みたいです。
 さらに試写会で観た作品が(現時点での)今年観た映画のナンバーワンである『ヒックとドラゴン』だったりするのですから、試写会様々です。
 まぁ『TSUNAMI』の試写会はどうやら落ちてしまったようだけど、この作品が『ヒックとドラゴン』より上ってことはちょっと考えられないのでよしとしましょう。
 さて、話題作である『悪人』も試写会に当たったのでヨッシャ!とばかりに観に行ってきましたよ。

 実は、、、って勿体ぶるほどのことではないのですが、うちは朝日新聞を購読しているので、原作の『悪人』の連載が始まったときは興味津々で読んでました。
 何しろ「三瀬」だの「基山」だのめっちゃ馴染みのある地名が作中バンバン出てきますからね。興味が湧かないわけがない。
 しかし、、、それも長続きしませんでした。ぶっちゃけ言って面白くなかったからです(朝日新聞の連載小説が面白いと思えないのは昔からで、それは今もです。直木賞を受賞した宮部みゆきの『理由』ですら途中で読まなくなったので。今連載されている『獅子頭』も何が面白いのかさっぱりわからない。)。

 ところが途中で読むのをやめた小説が、いざ単行本化されると、著者の最高傑作との呼び声すら高く、評判が評判を呼んでベストセラー、さらにこのたびの映画化ですよ。
 別に自分の批評眼が絶対だとは思っていませんが、いや、どちらかというと世間一般とはズレている自覚すらありますが、そのズレがこうも大きいと何だか落ち込んでしまいます。
 
 なので今回の試写会は新聞連載時にはわからなかった『悪人』の面白さを理解し、自分のズレを修正するいい機会だと思ったのですが、、、映画を鑑賞しても『悪人』という作品のよさがさっぱりわかりませんでした。

 そもそも事件の発端からして理解不能でした。
 三瀬の山中で増尾に車から蹴り出された佳乃が、彼女を助けようとする祐一に向かって悪口雑言を吐くんですよ。「アンタにレイプされたって訴えてやる」とか何とか。観てるこっちは「はぁ?」ですよ。祐一をボロクソに罵る佳乃の心理がまったくわからない。
 自分の無様な姿を見られたくなかったのか、それともパニックに陥っていたのか、もしくは増尾に車から蹴りだされた際、ガードレールに頭をぶつけて頭がおかしくなっていたっていう可能性もありますが、それでも山の中に置き去りにされて、下手すりゃ命の危険すらある状況であれば、そこに誰かが現れてくれたなら、それが例えダサい土木作業員であっても、自分をストーカーしていた男であっても、その人は天の使いか、白馬の王子じゃないですかね。
 それを悪し様に罵るか?
 う~~~ん、さっぱりわからん。。。

 事件の発端がまったく理解出来なかったので、そこから先どんな悲劇が起こっても、はー、そうなんだ、へー、こりゃまったく大変だね、ぐらいにしか思えませんでした。
 少なくともこの作品が現代社会の闇を照らすとか、本当の悪人とは何か?を定義するとか言われてもまったく同意出来ません。
 現代社会の抱える闇がこんな単純なものだとは思えなかったし、第一この作品を観て、祐一のことを悪人だと思う人がいるんですかね?

 ついでにいっておくと、本作のヒロインを演じた深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞したんですけど、自分には彼女の演技はごくごくフツーのレベルにしか映りませんでした。もちろん下手とかいうわけでは全然ないのだけど、役者なら演じられて当然のレベルに思えました。

 そんなわけで本作への自分の評価は著しく低いんですが、それでも上述の通り深津絵里はモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞し、作品の興行成績もかなりいいようです。
 やっぱり自分と世間一般の評価、及び認識のズレは如何ともしがたいものがあるようです。

 お気に入り度は★☆、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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12 コメント

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深津絵里さん (マリーコ)
2010-09-19 19:10:38
この賞を受賞する時の深津さんのお化粧が「いかにも」外人ウケしそうな化粧だったので、こりゃ外人のメークさんがやったのかな?とか思って見てました。

悪人、本から何から全然話を知らなかったんですが、原作ではもっとおばさんで不細工な女性だそうですね。
それを深津さんが演じるってんで内容も変わってたーとか何とかテレビで言ってたのを耳にしました。

そういえば、私も近所のTOHO試写会に応募してたなぁ。
試写会には全く当たりません
当たったらあの人を誘おう!とか下心があるから当たらないんだろうな

ーって私のこのコメントも作品とはまーったく関係ない所で発生した感想ばかりなので、せぷさんも安心して下さい!
だってせぷさんは私よりはズレてないですよ!(笑)
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ふかっちゃん。 (せぷ)
2010-09-19 20:32:06
授賞式での深津絵里は見てないのですが、まぁ女優だからいくらでも化けられるのでしょうねぇ(世の女性は皆女優であるという考えもありますが。笑。)。

>原作ではもっとおばさんで不細工な女性だそうですね。
あー、それはあるでしょうね。
原作ではブサイク、ブスだったキャラクターを、二枚目俳優、美人女優が演じるってことはよくあることですよね。
まぁ逆に二枚目、美人のキャラクターをブサイクな俳優、ブスな女優が演じることに比べたら簡単ですからね。笑。

>って私のこのコメントも作品とはまーったく関係ない所で発生した感想ばかり
いえいえ、マリーコさんがコメントしてくれたのはマリーコさんの優しさからだということは充分わかってますから。
ありがとうございます♪
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良人 (achi)
2010-09-20 14:57:39
『悪人』面白くないだろうと確認しに行くために観に行きたいですね。
予告編とせぷさんの感想を参考にする限りではとても真新しい表現は想像できなかったです。
映画『セブン』みたいな思わせぶりな作品にしか見えませんね。
まあ観てないのに言うのもなんですが…。
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良人? (せぷ)
2010-09-21 00:08:26
>『悪人』面白くないだろうと確認しに行くために観に行きたいですね。
まぁそういう鑑賞の仕方もありとは思いますが、基本は面白いと予想される作品だけを観に行った方がいいですよ。
お金も勿体無いし、、、といっても面白くなかった、といってるのは自分を含めて少数派みたいですけどね。

>予告編とせぷさんの感想を参考にする限りではとても真新しい表現は想像できなかったです。
あー、そうですね。
同じく人間の心の闇を描いたといわれる『告白』に比べたら、ずいぶん心理描写が薄っぺらいような気がしました。

>映画『セブン』みたいな思わせぶりな作品にしか見えませんね。
あれ、achiさんは『セブン』の評価が低いようですね。
自分は『セブン』、好きですけどね。
あの思わせぶりを極めたようなラストがいい、、、などといいつつ、DVDは持ってないんですが。笑。
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セブン (achi)
2010-09-21 17:56:36
思わせぶりを極めたようなラストですか~
自分はその思わせぶりにがっかりしてしまいました。
七つの大罪とかわけのわからん思い込みで人殺しまくった異常者に最後まで満足させてやる必要はなかったと思います。
高橋洋も著書に書いていましたが、あそこはもう足とか腕とかに撃ったあとにボコボコにして逮捕でENDですよ!
モーガンフリーマン、彼も彼で何をやってるんだと言いたくなりますね。
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確かに。笑。 (せぷ)
2010-09-21 23:45:38
>高橋洋も著書に書いていましたが、あそこはもう足とか腕とかに撃ったあとにボコボコにして逮捕でENDですよ!
あはは、それだと作品としては滅茶苦茶になるけど、そう言いたくなる気持ちはわかります。

現実社会でも死刑になるために凶悪な犯罪を犯す異常者がいますよね。
異常者を死刑にしたところで彼らの望みを叶えただけじゃん!!って言いたくなります。
死刑が犯罪を抑制するのではなく、誘発しているのだとしたら、ほんと死刑って何のためにあるんだろうって思ってしまいます。
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Unknown (ブリ)
2012-06-10 07:27:02
>自分の無様な姿を見られたくなかったのか、それともパニックに陥っていたのか、もしくは増尾に車から蹴りだされた際、ガードレールに頭をぶつけて頭がおかしくなっていたっていう可能性もありますが

これは佳乃がビッチ過ぎだから・・と解釈しましたがw。個人的には満島ひかりに助演女優賞をあげたかったです。

この年の日本アカデミー賞は俳優部門は『悪人』総なめでしたね。作品賞は『告白』。俳優としては『悪人』で作品のクオリティとしては『告白』だと思いましたな。『悪人』は『告白』よりレベル落ちるなぁ・・と思いながら観たもの。
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はじめまして。 (せぷ)
2012-06-11 20:47:55
はじめまして、ブリさん、コメント、ありがとうございます。

>これは佳乃がビッチ過ぎだから・・と解釈しましたがw。
えぇ、ビッチはビッチなんですけど、あそこで祐一にまで見捨てられたら、佳乃は帰る手段を失い、下手したら遭難しかねないと思うんですよね。
そこまで佳乃は頭が悪いのか、それとも混乱していたのか…。

満島ひかりの佳乃は見ていてムカつきましたが、見る者をムカつかせることが出来るというのは演技が上手いということだと思います。

『悪人』は別に出来が悪い映画だとは思いませんが、同時にアカデミー賞を総なめにするほどの作品だとも思いませんでした。
あまりに賞を独占すると出来レースっぽくて嫌ですよね。
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そうなんですよねぇ。 (ブリ)
2012-06-12 18:48:03
『悪人』は主役の2人はどうでもいいのですが特に樹木希林さんのお婆ちゃんが素晴らしかった。柄本明さんもw。もう・・全員に賞をあげたかったですよね。

バスの運転主役のモロ師岡さんにグッときました。「グッジョブ」と叫びたかったよ。「あなたのお孫さんね~人を殺したんですよ」と大声で言ったマスゴミが大嫌い。
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確かに。 (せぷ)
2012-06-12 23:26:25
>『悪人』は主役の2人はどうでもいいのですが
確かに。
妻夫木聡や深津絵里が異性に縁のない男性、女性を演じていても説得力がないですよね。
もっとブサイクな俳優、女優を起用としないと、、、まぁそうするとお客が呼べないわけですが。笑。

>「あなたのお孫さんね~人を殺したんですよ」と大声で言ったマスゴミが大嫌い。
ブリさんにそう思わせた時点で監督の演出は的確だったってことなんでしょうね。
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