この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

君は田中芳樹という作家を知っているか?

2020-11-11 16:54:29 | 読書
 本文のタイトルは「君は田中芳樹という作家を知っているか?」ですが、読書が趣味という人であれば、その作品を読んだことはなくとも、名前ぐらいは知っていると思います。
 自分が本当に問いたいのは、「田中芳樹が面白い作品を書いていたころのことを知っているか?」ということです。

 昔の田中芳樹は本当にすごかったんですよ。
 何しろ刊行から30年以上を経て未だにアニメ化される『銀河英雄伝説』と今の異世界ファンタジーブームの元祖と言っていい「アルスラーン戦記」と伝奇アクションの傑作である『創竜伝』を同時に手掛けていた時期があるのですからね、まさにあの頃の田中芳樹は面白い小説を書く才能にあふれていたと言ってよいと思います。
 
 ただ、残念ながらその時期は長くは続かないんですけどね。
 そう、田中芳樹の作家としての才能はある時期を境に枯渇していくのです。
 その時期はある程度明確にわかっています。
 『創竜伝』において小早川 奈津子というキャラクターが登場する7巻が刊行された以降、彼の作品は急激にその輝きと面白さを失っていきました。
 『銀河英雄伝説』が最高に面白いと思っている人で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』も同様に面白いと評価する人ってどれぐらいいるんでしょうね。
 とてもいるとは思えないのだけど、いたとしたら、逆にこの2つの作品に何かしら共通項があると思うのか、聞いてみたいところです。

 田中芳樹の作家としての才能が枯渇したっていうのはお前が勝手に思っているだけだろ、と仰る方もいるかもしれませんが、ある程度客観的なデータもあります。
 それは3年前に完結した『アルスラーン戦記』のアマゾンでのカスタマーレビュー、及び評価点です。
 『アルスラーン戦記』は巻を追うごとに評価が低くなっていき、最終16巻での評価点は何と驚異の2.7!!
 とても30年かけて完結した物語とは思えません。
 そしてレビューがまた酷評の嵐なんです。
 いや、酷評というのとはちょっと違うかな。
 何しろ星一つをつけている人に共通するのは「悲しい」という思いですからね。
 田中芳樹は30年かけてようやく完結させた作品を愛読者から「悲しい」と評価されてどう思っているんでしょうね。
 昔の田中芳樹ならともかく、今の田中芳樹であれば、「完結させてやっただけでもありがたく思え!」って思うかもしれません。いや、マジで。

 そんなわけで昔は大大大ファンでしたが、今の田中芳樹には全く興味が持てません。
 田中芳樹の作品を読むことはもう2度とないだろう、そんなふうにも思っていたのですが、久しぶりに田中芳樹関連の著作で目を引くものがありました。
 タイトルは『銀河英雄伝説列伝』です。
 田中芳樹関連の著作と書きましたが、田中芳樹の著作ではないんですよ。
 『銀河英雄伝説』を心から愛するプロの作家によるトリビュートアンソロジーです。
 今の田中芳樹が『銀河英雄伝説』の続きを書いてもまともなものは書けないと思いますが、彼以外の作家というなら話は別ですね。
 これは面白そうだと思って早速地元のツタヤに行ったのですが、創元SF文庫が入荷されているわけもなく、手に入りませんでした。
 読みたいことは読みたいので今度天神に行った時に買うつもりですが、意固地にならずアマゾンで購入した方が賢いかもしれませんね。
 新刊をアマゾンで購入したことはないんだけどなぁ。
コメント
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