この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

衝撃的だけどいろいろ腑に落ちなかった映画『プリズナーズ』。

2014-05-07 21:44:03 | 新作映画
 ヒュー・ジャックマン主演、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、『プリズナーズ』、5/6、Tジョイ博多にて鑑賞。2014年20本目。


 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の前作『灼熱の魂』は実に衝撃的な作品でした。
 あの結末に衝撃を受けなかったという人はまずいないでしょう。
 しかしよくよく考えると細かいところに綻びがあるように思えます。
 ジャンヌとシモンという双子の姉妹が亡き母親の遺言に従い、その存在すら知らなかった父と兄を探すうちに母親の壮絶な過去を知る、というストーリーです。
 半ばネタバレになりますが、亡くなった母親のナワルは実はキリスト教派の闘士で、十三年間に渡って投獄され、苛烈な拷問を受けていたのです。
 しかし、、、これっておかしいような気がするんですよね。
 十三年にも渡って拷問を受けていたのであれば、何かしら障害や傷が残るのが当然じゃないですか。
 であれば、生まれてからずっと一緒に過ごしてきた子供たちが母親の不具にまったく気づかなかった、というのはありえないと思うんですよね。
 それともナワルは十三年間拷問を受けていたが、解放後にはまったくの健康体に戻ったとでもいうのでしょうか?
 鑑賞後だいぶ経つので細かいところまでは忘れてしまいましたが、他にも「ん?」と首をひねりたくなるようなシーンがありました。
 なので自分の『灼熱の魂』に対する評価は、実に衝撃的な作品ではあるが、衝撃的な作品にするためにいろいろ無理を押し通している、といったところでしょうか。
 そして続く『プリズナーズ』も似たような印象を受けました。

 この作品でヒュー・ジャックマンは幼い娘が失踪したケラーを、ジェイク・ギレンホールはその失踪事件を担当する刑事ロキを演じます。
 ロキは有能な刑事であるという設定なのですが、彼の行動を含め警察の捜査がいろいろおかしいんですよ。
 まず、幼い二人の少女の失踪という大事件であれば、近隣の警察署からも応援を受けて、百人規模の捜索班が組織されて当然だと思いますが、劇中捜索班が組織された様子はなく、ロキが陣頭指揮を取るシーンもありません。
 劇中で描写されなかっただけで大規模な捜索班は組織されたのかもしれませんが、それでもロキは常に単独行動なんですよね。
 尾行をするのも張り込みをするのも常に一人、、、っていうのはいくら何でもおかしいと思います。
 おかしいことにかけてはケラーも同様で、彼は娘を誘拐したと思しき容疑者を警察の目を盗んで(!)拉致し、拷問して娘の居所を聞き出そうとします。
 しかしそんなケラーがクライマックスでは真犯人と対峙すると、「出来れば暴力は振るいたくない」みたいな台詞を口にするんですよ。
 無実の人間をあれだけボコボコにしといて、何で今さらそんな弱気な発言をするのかがさっぱりわかりません。
 真犯人の家に乗り込んだら、問答無用で顔面にパンチを叩きこんで娘の居所を聞き出せば済むだけだと思うんですけどね。
 
 まぁ衝撃的なシーンがないわけではないのですが、どちらかというと「それはない!」と言いたくなることの方が多くて、あまり感心しませんでした。
 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品は二度と観なくていいです。 


 お気に入り度は★★、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
 次回鑑賞は『オー!ファーザー』(5/24公開)の予定、期待度は★★☆です。
コメント (1)
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