ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文芸散歩 大畑末吉訳 「アンデルセン童話集」 岩波文庫

2013年06月08日 | 書評
デンマークの童話の父が語る創作童話集 156話 第29回

50) カラーの話
紳士の首を飾るカラーが靴下止めに恋をしてちょっかいを入れますが相手にされません。そしてカラーはアイロンや鋏や櫛に結婚を申し込みましたがどれも失敗です。カラーは高慢でほら吹きだったからです。とどのつまりは梳かれて白い紙になりました。白い紙には良くないことも印刷されて皆に知れてしまいました。カラーはとんだ「伊太公」でした。

51) アマの花
アマの花がきれいに咲いて、今に人の役に立つんだと元気いっぱいでした。それを聞いた生垣の杭は「ブルルン、ブルルン!ぐるぐる回る。楽しい歌もおしまいだ」と皮肉を言っています。アマの一生の変遷を見ましょう。成長したアマは繊維をとるため、裂かれて打たれてさんざんな目にあい、糸車にかけられて美しい大きなリンエルになりました。リンネルは反物になり切られて縫われて、下着が12枚も出来上がりました。下着も古くなるとつきつぶされ、ゆでられこうして白い上等の紙に梳かれました。その上に思想が印刷され1冊の本ができました。最後は紙は残らず焼かれて灰となりました。アマは「楽しい歌はおしまいじゃない、これこそすべての中で一番美しいものだ、だから自分は一番幸せ」といいましたとさ。

52) 不死鳥
アダムとイブのパラダイスの園のバラの花よりに一羽の鳥が生まれました。イブが禁断の美を食べパラダイスを追われた時、焼け落ちたパラダイスの巣にいた鳥がうまれました。これを不死鳥フェニックスといいます。フェニックスはアラビアの零鳥だけでありません。北欧のオーロラの中でもイギリスでもインドでも、フェニックスは輝いています。これは「詩」のことです。
(つづく)



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