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ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

環境問題 丸山茂徳・磯崎行雄 著 「生命と地球の歴史」 岩波新書

2009年01月13日 | 書評
地球の変動の歴史と生命の進化 第4回

地球史七大事件と地球の変動原理 (1)

 この章は恐らく丸山茂徳氏の執筆による。 1970年代に、地球表層の変動を統一的に説明できる考えとして「プレートテクトニクス」(地球表層は何枚かの硬い板に分かれて、それらの相対的水平運動によって地球の変動がおきる)という理論体系が出来上がった。まさに地球の皮部分だけの運動であって、それがどうして起きるかはさらに深層の理解が必要である。1980年代になって内部構造を解き明かす「地震波トモグラフィー」という断層手法が開発され、新しい地球観が生まれた。これが「プルームテクトニクス」(マグマの対流的流れが大陸を合成したり、分裂させたりする)という理論によって総合的な地球変動の理解が進みつつある。上の右の図の構造模型図を見ながら、現在の地球の構造を概観しておこう。地球の半径は6400km、外側の1/2半径は岩石で、内側の1/2半径は金属で出来ている。外側の表面は地殻といい、海洋地殻の厚さは約7km、大陸地殻の厚さは約40kmである。外側半分はマントルであり、深度670kmを境にして上部マントルと下部マントルに分けられる。内側の1/2半径の核は液体の外核と固体の内核の二重構造を持つ。この構造を流れから見ると七枚の「プレートテクトニクス」(板状の地殻の流れ)、「プルームテクトニクス」(マントルのきのこ状の流れ)、「核の液体部分の流れ」の三つの孤立した運動が長い周期で影響しあっている。厚さ3000kmにおよぶマントルの巨大な上昇流を「スーパーホットプルーム」といい、下降流を「スーパーコールドプルーム」という。現在アジア大陸の下には「スーパーコールドプルーム」が一つ、南太平洋とアフリカの下には二つの「スーパーホットプルーム」がある。表面には大気圏は上空10km、海洋をあわせると生物圏は20kmにも満たない。地球変動の原因を統一的に理解する道が提示された。地球は冷却しつつある事がすべての原因である。宇宙へ向って熱輻射で表層から冷却されている地球は、先ず表層の外殻プレートが固化して海溝に向って水平移動して、厚いマントルの中へ崩落する。大規模な崩落が外核にまで達するとマントルの大対流(下降する冷たい流れと代わって上昇する熱い流れ)が生じるのである。これが大陸の移動、集合と分裂の原因となる。上昇流はマグマの爆発となって火成活動がおこる。簡単に言えば以上が地球変動の原理である。


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