ブログ 「ごまめの歯軋り」

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脳科学の発展は人類を幸せにするのか。 曖昧なアンケート

2008年01月06日 | 時事問題
2008年01月06日06時21分
脳科学「歯止め必要」56% 文科省研究班が調査
 脳科学への期待は大きいけれど、規制も必要になる――。文部科学省の研究班(代表=福山秀直・京都大教授)による脳科学に対する意識調査から、国民のこんな考え方の傾向が浮かび上がった。脳科学の急速な発展で他人の心を読んだり、知的能力を高めたりできる可能性が出てきたことから、社会的影響を検討し、政策につなげるために調べた。
 「脳科学の発展は人々を幸福にする」との意見に「賛成」「どちらかといえば賛成」は合わせて49%。「脳科学の研究は、きびしく規制されなければならない」に対しては、「賛成」「どちらかといえば賛成」が計56%と過半数を占めた。

環境倫理と生命倫理
人間のより快適に生きたいという欲望が文明を生み技術の進歩をもたらしたが、同時に環境と生命そのものを侵蝕している。

環境倫理の基本的な考え方は加藤尚武著「環境倫理学のすすめ」がまとめている様に、(1)有限な地球環境のもとで人類が生きてゆくためいは新しい倫理が要求される。(2)今生きている人だけではなく、将来世代のことまで考えて現在の行動を決めてゆこう。(3)人間だけでなく、生き物すべてを配慮して自分達の行動を決めてゆこう。というものである。

また生命倫理学が考えていることは、(1)医療現場の人間関係(患者対医者)を近代市民社会に近づける。自己決定権やインフォームドコンセントなど。(2)人間の生と死に医療がどうかかわるのか合理的に考える。脳死判定や臓器移植、胚選択、遺伝子診断など。(3)健康政策や病院での治療方針に関して、倫理委員会を設けて明確な指針を考える。

近年の体外受精などの生殖工学の進歩により、受精卵診断による命の選別や余剰卵の研究利用、脳死体の人体実験利用などの生命への侵蝕が危惧される時代になった。これを医学者の密室的専横に任せてはいけない。合理的な倫理基準を確立しなければならない。人の子供が欲しいという欲望がこの生命倫理の侵害を生む原因であるのは悲しいことだ。

ところが今回の脳科学の発展で、人間の心を自由に操られることを心配している人がいるのだろうか。今でもメディアやアジテーションで、人殺しに喜んでゆく人は多い。爆弾を抱えてゆく自爆テロ、日本の特攻隊、人間魚雷などいくらでも狂信の徒を生み出すマジックはある。一つは宗教であり、一つは国家宗教(イデオロジー)である。人造人間やクローン人間を生むわけではなく、脳科学は人の心の評価に過ぎない。コントロールする術は文明の発祥とともに何千年の歴史を持っている。政治家とは人の心をコントロールすることではなかったですか。つまらないアンケートをしたものです。


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