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ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

東谷暁著 「金融モラル崩壊ー金より大事なものがあるー」文春新書 第5回/全8回

2007年04月01日 | 書評
第5回/全8回
第四章  ウェルチ革命 GEの金融資本化

金融工学(財テク)は儲かると言う伝説的なお話を紹介する。米国のゼネラルエレクトリック(GE)という会社は東芝・日立のような電気会社だと思っていた。ところがウェルチが1981年に会長兼CEOに就任してから、物つくりから金つくりの会社に変容させ、いまや世界に冠たる金融サービス会社にした。ウェルチは自社の持つ製造部門を強いものだけ残して次々と売却し、金融部門や情報部門を買いあさるM&A戦略を展開した。その結果40万人いた社員は20万人に激減し、348の事業を売却した。その買収資金は買収の成功時に急騰する自社の株価を現金のように使った。ウェルチの強欲と性急さは社内の忠誠心とモラルを抹殺するものだった。株高のみが富でありそのためにM&Aに狂奔するのがウェルチの哲学である。かくもGEは富の生産からマネーに急激にシフトしたアメリカの経済の縮図である。その原因は日本・ドイツの生産力がアメリカを追い詰め、米国の製造業の不振が長引いたので巻き返しのため強いドルを目指して金融ビジネスで世界支配を目指したことによる。それは成功し世界中のドルが米国に還流するようになった。日本の生産力が中国に追い詰められる時が日本も挙げて金融王国を目指すことになるのだろうか。そのための準備が金融規制緩和なのであろう。



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