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読書ノート 高橋正仁著 「無限解析のはじまりーわたしのオイラー」 ちくま学芸文庫

2012年03月19日 | 書評
近代数学を創造した一番はじめの人 第11回 最終回

3)ベルヌーイの等式とオイラーの公式(複素解析の誕生)
 対数の概念はジョン・ネイピア(1550-1617) の創案になるが、オイラーは負数や虚数の対数とはどういうものだろうかという問題を究明した。オイラーは1747年「負数と虚数の対数に関するライプニッツとベルヌーイの論争」を書いて、「対数の無限多価性」の認識に至った。あのあまりに有名なオイラーの公式e^xi=cosx+isinx  (i=√-1)はその副産物であった。ベルヌーイとはオイラーの師にあたるヨハン・ベルヌーイのことである。オイラーの「無限解析序説」において超越曲線の考察で、非有理の冪指数が姿を見せる。これを描くには対数の支援が無ければ論じられない。さらに負数の対数となるともうお手上げである。ベルヌーイは「負の対数は虚数である」といい、log(i)/i=π/2を発見する。これはオイラーの公式においてx=π/2とおけば得られる。ライプニッツとベルヌーイの論争においては、ベルーヌーイはlog(+a)=log(-a)が常に成り立つと主張し、ライプニッツは指数と対数の無限級数展開を援用して、負数と虚数の対数はいずれも虚数であると主張した。双方のやり取りは矛盾点を引き出すことで延々と続いたのあるが、煩雑になるので省略したい。一気にオイラーの見解に入る。オイラーはそもそも各々の数に対応する対数はただひとつしかないと思い込んでいることを検討した。そして対数の底を常用対数または自然対数に固定し、y=logxとおいて、指数の無限級数表示においてnが無限大でx^(1/n)は無限の多くの異なる価を持ち、logxも無限に多くの価を与える。
正の数の対数:A,、A±2πi、A±4πi、A±6πi、A±8πi・・・・
負の数の対数:A±πi、A±3πi、A±5πi、A±7πi・・・・・
虚数の対数:C+Φi、C+(Φ±2π)i、C+(Φ±4π)i・・・・
(完)


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