ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

受験シーズン  神様も泥棒様も頼りにされてます

2008年01月18日 | 時事問題
asahi.com 2008年01月18日03時04分
「難関すり抜けたい」 ねずみ小僧の墓に合格祈願 東京
 子年(ねどし)の受験シーズンを迎え、東京・両国の回向院(えこういん)にある江戸時代の盗賊「ねずみ小僧次郎吉」の墓に合格祈願の参拝客が相次いでいる。屋敷に忍び込み、狭い梁(はり)の間や厳しい警備をすり抜けたねずみ小僧のように、難関をするりと通れる――というのが受験生らの人気を集める理由だ。19、20の両日は、大学入試センター試験がある。
 墓の前には「お前立ち」と呼ばれる石がある。昔から墓石を削り、かけらや粉を持ち帰ってお守りにする習わしがあるが、本墓を削られてはたまらない。そこで、代わりに置いたのだ。

小塚原の回向院
南千住駅前にある小塚原の回向院にも鼠小僧の墓があって、昔から墓を削ってゆく人が多くて、今では墓は金網で覆われています。小塚原の回向院は小塚原の刑場で処刑された盗賊や明治維新の志士の墓があります。桜田門外の変で処刑された水戸浪士や橋本左内、吉田松陰などの志士などに思いを寄せるのもいい歴史の勉強になるでしょう。一度参拝してはいかが。

サブプライム焦げ付き、数十兆円見通し

2008年01月18日 | 時事問題
asahi.com 2008年01月18日08時33分
サブプライム焦げ付き、数十兆円見通し FRB議長
 バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は17日の下院予算委員会で証言し、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きは、現時点で1000億ドル(約10兆7000億円)に達し、今後「その数倍」に膨らむ恐れがあるとの見方を示した。ただ5000億ドル(約53兆5000億円)には達しないとしている。

益々広がるサブプライムローンの不良債権 日本の国家予算規模へ
サブプライムローンは米国の住宅事情と云う対岸の火事ではない。1990年代の日本の銀行のバブル崩壊後の不良債権以上の額にならんとしている。今年後半から回復するだろうと云うのは甘い期待かも知れない。日本はかって「失われた十年」といわれ世界中から不良債権処理の不手際と当事者能力を馬鹿にされた。今度はアメリカの金融機関の番です。アメリカが風邪を引けば日本は肺炎を起す。さて皆さん財布の紐を締めて、アメリカのヘッジファンドに金を強奪されないように気をつけましょう。

温室効果ガス 排出ピーク時期は対策進行と石油枯渇できまる

2008年01月18日 | 時事問題
asahi.com 2008年01月18日06時07分
温室効果ガス 排出ピーク時期の世界目標呼びかけへ
 政府は17日、今月下旬のスイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、福田首相が演説で、世界の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる時期(ピークアウト)について、世界で目標を共有するよう呼びかける方向で最終調整に入った。「温暖化対策に消極的」とのイメージをぬぐい、7月の北海道洞爺湖サミットに向けて首相の意欲を世界に印象づける狙いがある。

IPCC「将来の気候変動に関する予測」
 IPCCの描く「将来の気候変動に関する予測」では三つのケース(使いたい放題、中間的な抑制政策、本格的抑制政策)での今後百年の温度上昇は第一ケースで4℃(2.4ー6.4℃)、第2ケースで2.8℃(1.7-4.4℃)、第3ケースで1.8℃(1.1-2.9℃)である。そのときの海面上昇は第1ケースで26-59cm、第2ケースで21-48cm、第3ケースで18-38cmの予測である。一方石油の生産量と発見量であるが、発見量は1965年をピークとして指数関数的に減少しているのと、石油生産量は増え続けているので、2040年ごろには石油は枯渇する予想である。石油はなくなりつつあるのに石油燃焼による後遺症をくよくよ考えるのは「両価性」と云う矛盾に気がつかないようだ。
 いまこそ日本は徹底した脱石油生活と経済と技術をアメリカより先立って開発するいいチャンスと考えて努力すべきだろう。京都議定書に縛られるよりは、縛られた振りをして、脱石油文明を築いててゆくなら、今日の地球温暖化防止策も背面教師の役目はあるだろう。

読書ノート 武田邦彦著 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2」 洋泉舎

2008年01月18日 | 書評
地球温暖化、バイエタノール、ペットリサイクルの環境問題のウソ 第4回

地球温暖化防止枠組み条約「京都議定書」(1997年)での欧州・米国の政治的狙い (3)

アメリカの離脱はブッシュ共和党政権がもたらしたのだと云う見解はウソである。1997年7月(京都会議の3ヶ月前)に上院において民主党と共和党の共同提案で「バード・ヘーゲル決議」が95対0で採択された。アメリカでは条約の批准は上院が行う。アメリカは最初から京都議定書と云う条約を批准しないことを表明してからゴア副大統領を京都へ送り出したのである。その目的は、日本の手を縛るためであった。誠に複雑な手をアメリカはとる。正論で日本をおだててトリックの満ちた条約をつくり、日本だけに削減目標を定めた。欧州の目的はアメリカは批准しないことは分っているので、自分達が会議を主導したと云う世界認識を持たせ、やる前から目標達成は出来ていた「出来レース」に日本を乗せて、日本の経済発展を阻止することであった。さらに手の混んだことに、複雑な「京都メカニズム」という計算方程式を与えて、削減できない時の手を準備した。しかしただではない。日本にお金を使わせることである。日本の金がODAに準じて途上国やロシア・旧東欧へ流れ込む手である。ここまで皮肉に世の中を見なければ、欧米の手練手管にはいつも負けてしまう。真珠湾攻撃を挑発され中国紛争から太平洋戦争に誘導されたようなものである。京都議定書はいわば第一次世界大戦後の世界の軍事力を制限する国際連盟の軍縮協定の枠組み交渉と同じように見える。アメリカはモンロー主義というか手を縛られたくないので国際連盟に参加していない。京都議定書離脱の米国の戦略は当時と変わりはない。日本は軍艦の比率をめぐって国際連盟を脱退した。当時すでにアメリカは巨大軍艦の時代が過ぎ去り、航空母艦を主とした空軍力に重点を移していたのである。京都議定書のように石油にこだわらず、日本こそが次のエネルギー戦略に邁進すべきではないだろうか。


文藝散歩 日本の乱世  室町時代を歩く

2008年01月18日 | 書評
戦乱に明け暮れた南北朝から戦国時代、混乱の中から豊かな日本文化が興った室町期

2)山崎正和著 「室町期」 講談社文庫  第2回

本書「室町期」(講談社文庫)は1974年朝日新聞社から刊行された。著者は1963年戯曲「世阿弥」によって、将軍義満を光の存在とし世阿弥を影の存在とする、乱世の世における芸術の存在理由を追求した劇作家でもある。しかし私は劇作家よりは評論家としての山崎氏を読んできた。陰のような室町幕府の将軍の存在と乱れに乱れた戦乱の武将の戦いばかりが目立つ中世は分りにくい時代であった。この「中世」と云う言葉も正しくない。中世は平安時代から鎌倉じだいをさし、室町時代は近世と云うほうが正しい。この14、15世紀の時代は世界史的にはルネッサンス期に相当し、山崎正和氏の「室町期」は明らかに室町から戦国時代を文化的にはルネッサンスとして日本的文化の開花期としている。そして政治経済史的には、中央集権体制から分裂小国家群の乱立と価値観の多様的並立、貨幣経済の成立と商人・土豪といった中間階層の自立と捉えている。したがって本書は前半が室町期の政治・社会史、後半が文化史という構成である。勿論本書の主眼が文化史にある事は当然である。