ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

NY株式市場 急反落 

2008年01月12日 | 時事問題
asahi.com 2008年01月12日08時14分
NY株、急反落 消費の冷え込みを嫌気
週末11日のニューヨーク株式相場は、米個人消費の冷え込みを嫌気した売りが広がり、3日ぶりに急反落して引けた。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比246.79ドル安の1万2606.30ドル、ハイテク株中心のナスダック総合指数は同48.58ポイント安の2439.94で終了。
急落のきっかけとなったのは、クレジットカード大手アメリカン・エキスプレスが前日発表した業績見通しの下方修正。中高所得層を顧客とする同社でも延滞が増加していることが嫌気された。(時事)

株式市場の値の毎日の動きのコメントは必要なのか
株は機関投資家が強く、個人投資家が損をすると云う構図が出来上がっている。それは機関投資家は常にリスク管理をしているからで、個人投資家は値が下って妬け売りをして損をする。株価の上がり下がりは短期的にはランダムウォークで予測出るものではない。後付けのコメントに何か真実はあるのだろうか。ノイズのような毎日の動きで儲けようとする人もいるだろうが(デイトレーディング)、素人は反応しないほうがいい。素人はファンダメンタルで動けばいい。企業業績にかんする「ファンダメンタル分析」に基づいた投資は、勝つ可能性が高い「投資(リスク)」ですが、「チャート分析」から上がるかもしれないと思って投資するのは「賭け(危険)」になる。

読書ノート 鹿野政直著 「日本の近代思想」 岩波新書

2008年01月12日 | 書評
二十世紀の日本の思想的問題を日本、マイノリティ、日常性、人類の四つの主題から総括する  第8回

社会主義という経験

1901年は日本で最初の社会主義政党「社会民主党」が片山潜、安部磯雄、木下尚江、幸徳秋水らによって結党されたが、治安警察法ですぐに禁止された。そこで幸徳秋水らは社会主義、平和主義を唱えて「平民新聞」を発刊した。政府の弾圧は運動をアナーキズムへ変容させ、大逆事件と落とし込まれた。山川シズエは無産婦人運動を興した。知識人の間ではマルクス主義は労農派(高坂逸郎、櫛田民蔵)と講座派(野呂栄太郎、平野義太郎、大塚金之助ら)と呼ばれた。1930年代は厳しい政府の弾圧拷問で佐野学らの転向を生んだ。「極左から大衆日和見主義への転向」は戦後吉本隆明「転向論」に解析されている。鶴見俊輔は「転向はさまざまな条件の変化に耐えて思想を行動化する大人の思想」と解析した。1990年のソ連と社会主義の崩壊は、「日本人が近代に経験した全ての中で再吟味すること」を塩川伸明は提唱する。


文芸散歩 日本の乱世  室町時代を歩く

2008年01月12日 | 書評
戦乱に明け暮れた南北朝から戦国時代、混乱の中から豊かな日本文化が興った室町期  

1) 永井路子著 「太平記」  文春文庫  第四回

後醍醐天皇践祚から鎌倉幕府滅亡まで(1)

 鎌倉三代将軍(頼朝、頼家、実朝)のあと権力を確立した執権北条七代(義時、泰時、時氏、経時、時頼、時宗、貞時)の間、天下の政治は武家の手により武家間の争いを公平に調停し、民の生活を安定させる善政が行き渡っていた質実清廉な政権であり、彼らは執権は自身は決して四位以上に律令の位を貰おうとはしなかった。朝廷に対しては、将軍を迎えて、京に六波羅探題を置いて行政や警護の任に当たった。蒙古襲来後、九州に鎮西探題を置いて外敵への守りとした。各地では幕府に任命された守護の地位が重くなり、貴族が拝命する律令の国司は有名無実になった。

 しかるに北条高時の代になると放漫な政治が行われ、1318年後醍醐天皇践祚以来、政治好きの天皇は院政を廃止して政治改革を行い天皇親政をひいて、幕府から権力奪取を夢見るようになった。当時の天皇家は持明院系と大覚寺系の二つの家筋で争い鎌倉幕府の朝廷でほぼ十年ごとに交代するという慣わしであった。後醍醐天皇は比叡山を頼りにし、護良親王を天台座主とした。

 当時の寺社勢力は膨大な荘園をかかえ、さらに武士の匹敵する武力を持っていた。寺社には不輸不入といって年貢も納めず警察権の介入も許さないと言った特権を持った半独立的存在で、平家以来永い間武士勢力と抗争を続けた。1329年円観、文観、日野資朝・俊基、四条隆資らは討幕を計画した(正中の変)が、土岐頼員の密告により脆くも破れた。日野資朝は佐渡に流され殺害され、文観らは流刑、日野俊基は鎌倉へ送られ殺害された。当時の寺社勢力の雄比叡山は天台宗総本山だが、円観は真言宗醍醐寺派の代表であった。真言宗の総本山は高野山だが、地理的に真言宗の代表は京都の醍醐寺で政治的な発言力を強めていた。

自作漢詩 「長河暮烟」

2008年01月12日 | 漢詩・自由詩

古渡暮潮日浴波     古渡暮潮 日は波に浴し

渚烟寂漠満長     渚烟寂漠と 長河に満つ

霜侵凛凛郷心砕     霜侵し凛凛と 郷心砕け

月到稜稜寒夢     月到り稜稜と 寒夢多し

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(赤い字は韻:五歌 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)