ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

佐川急便子会社SGL 二重派遣で改善命令

2008年01月07日 | 時事問題
asahi.com 2008年01月07日06時00分
佐川子会社が二重派遣 グッドウィル労働者 改善命令へ
 厚生労働省は、佐川急便グループで物流大手の佐川グローバルロジスティクス(SGL、東京)に対し、労働者派遣法に基づく事業改善命令を出す方針を固めた。日雇い派遣大手グッドウィルから労働者を受け入れ、別の企業に送り込む違法な二重派遣をしていた。物流大手への改善命令は極めて異例。グッドウィルもすでに、SGLにからむ二重派遣を含め、違法派遣の多発で事業停止命令の通知を受けており、違法派遣問題は広がりをみせている。
 SGLは04年11月から07年8月まで、グッドウィルから派遣された労働者延べ約1万1000人を、浜松市内の大手通信販売会社の倉庫に送り込んで働かせていた。1回の派遣で最大数十人程度とみられる。二重派遣は雇用責任があいまいになり、派遣企業の手数料(中間マージン)もかさむため禁止されている。

給料のピンはねは、一回でも、二回でも憲法違反だ。 労働法規制緩和の悪の根源である「労働者派遣法」の即時廃止を!!!

レトロトランスポゾン遺伝子断片「スシイチ」ノックアウトマウス 胎児死亡?

2008年01月07日 | 時事問題
asahi.com 2008年01月07日07時37分
「スシイチ」、胎児成長に大事 フグから発見DNA断片
 フグで見つかり、すしにちなみ「スシイチ」と名付けられたDNA断片が、進化の過程で変化し、哺乳(ほにゅう)類では胎児が育つ際に重要な役割を担う遺伝子として定着していることを東京医科歯科大や東海大などのグループが突き止めた。6日付の米専門誌ネイチャージェネティクス電子版に発表する。
 グループは、この遺伝子を働かなくしたマウスでは、胎児と母親を結ぶ胎盤の毛細血管が異常になり、誕生前後に死ぬことを見つけた。胎盤の毛細血管は、栄養や酸素・二酸化炭素の通り道だ。
 今回の一連の研究の中で、この遺伝子はニュージーランドの研究者が発見した「レトロトランスポゾン」DNA断片「スシイチ」が変化したものであることもわかった。

研究はえてして偶然から意外な展開をするものだが(セレンディピティ)、この研究の戦略が分らない。
何か役割の分らない遺伝子をノックアウトしてどんなことになるのかを調べるのは手法であって戦略ではない。胎児が死ぬのは、どんな因果関係の結果なのかも分らない。これからがお楽しみ。

読書ノート 鹿野政直著 「日本の近代思想」 岩波新書

2008年01月07日 | 書評
二十世紀の日本の思想的問題を日本、マイノリティ、日常性、人類の四つの主題から総括する  第3回

民主主義

 不抜の民主主義者は足尾鉱毒事件に対抗した田中正造翁であった。彼の思想は人民国家というべきもので、人民の生存権をかけて闘った。20世紀の日本の民主主義にとっての課題は、天皇神権説と天皇機関説である。美濃部達吉は天皇を最高機関とするがそれも憲法によって制約されるという解釈をだした。大正デモクラシーを主導したものは吉野作造の民本主義で、「一般民衆の利福と意向を重んじる」という提唱で、選挙権拡大(普選)と責任内閣制、脱帝国主義の要求となった。天皇機関説も民本説も1935年治安維持法によって国体に飲み込まれてしまった。新しい女を目指した平塚らいてうは家制度との戦いに挑んだ。市川房枝は女性選挙権の獲得を目指した。しかし思想言論の自由は1925年治安維持法、1938年国家総動員法、1941年元論出版集会等臨時取締法によって特高が踏みにじった。戦後1947年の日本国憲法によって軍国日本は民主国家へ転身した。オピニオンリーダー丸山真男は超国家主義の呪縛を解き放った。そして自由なる日本の主体となるのは日本国民となった。小田稔は反権力主義に徹し、直接民主主義、住民運動、国際連帯を打ち出し「ベトナムに平和を(ベ平連)」活動は人々の運動を起した。憲法25条の生存権を巡って朝日茂などの運動は権利としての社会保障の観念を根付かせた。ルポライター鎌田慧は権力に屈せずNOを主張して行動する人たちを取材した。自衛官の護国神社合祀拒否訴訟は最高裁で破れたものの、湾岸戦争以降の国益の名が人々を押しつぶしてゆくことへの警告である。

文芸散歩 卜部兼好 「徒然草」 岩波文庫 

2008年01月07日 | 書評
日本の随筆文学の最高峰 第五十一回(第241段から第243段) 最終回

第二百四十一段 「望月の円かなる事は、暫くも住せず、やがて欠けぬ・・・・」
第四十九段、第五十九段をあわせた繰り返しの段である。人生は望月の欠けるようにすぐさま衰え死期を迎える。妄想のような願い事にかまけて仏道を怠ってはいけない。幻のような生、万事を投げ打って仏道に向いなさいというお説教です。

第二百四十二段 「とこしなへに違順に使はる事は、ひとへに苦楽のためなり・・・・」
人は苦を遁れ楽を求めるが故に、逆境と順境にさ迷うのである。楽とは、世間欲、色欲、食欲のことだ。これは楽ではなく苦の原因に過ぎない顛倒の考えと云うものだ。誠に格調高いお説教です。

第二百四十三段 「八つになりし年、父に問ひて云はく、仏は如何なるものにてか候ふらん・・・・」
兼好さん八才の時、父に問うた佛教問答で、父をやり込めたほのぼのとしたお話でこの長い徒然草のお話も終わりにします。南無阿弥陀仏

(完)

自作漢詩 「厳冬」

2008年01月07日 | 漢詩・自由詩

銀界山陰風払     銀界の山陰 風煙を払う

騒人閲古汲寒     騒人古を閲し 寒泉を汲む

案頭磨墨氷生硯     案頭に墨を磨すも 氷硯に生じ

爐冷今宵雪満     爐冷に今宵 雪天に満つ

○●○○○●◎
○○●●●○◎
●○○●○○●
○●○○●●◎
(赤い字は韻:一先 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)