ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

パリーダカール レース中止  情勢不安のため

2008年01月05日 | 時事問題
asai.com 08年01月05日17時26分
増岡「中止やむを得ない」 パリ・ダカ
自動車のダカール・ラリー(通称パリダカ)中止を受け、21度目の参戦で5年ぶりの優勝を狙っていた増岡浩(三菱パジェロ・エボリューション)は5日、所属チームを通じて次の通りコメントを発表した。

フランスの旧アフリカ植民地めぐりレース中止はごもっとも
砂塵を巻き上げて砂漠を走る自動車耐久レースも動乱による治安不安で中止のやむなしに至りました。選手や自動車会社の皆さんには残念なことでしょうが、アフリカの住民にとってはふざけたレースは止めて欲しいと云うところでしょうか。フランスを旧宗主国とする植民地めぐりレースはアフリカ住民にとって、金が落ちるので我慢をしていたのでしょうが、これからは民族意識が高まって到底出来なくなるでしょう。フランス国内でやったらどうでしょうか。

共産・社民  民主党と一線を画す

2008年01月05日 | 時事問題
asaho.com 2008年01月05日10時40分
民主党と一線画し、是々非々路線を強化 共産・社民
 年内に予想される衆院選を前に、共産、社民両党は、今年の目標に「自民党政治の打倒」を掲げる一方、野党第1党の民主党とも一線を画す「是々非々路線」を強める構えだ。環境や雇用など個別テーマで独自性を打ち出し、存在感をアピールできないか。党勢回復の取り組みを本格化させる。
「大連立騒動を通じて自民党と同質・同類の党と自ら明かした」(共産党の志位委員長)
「民主党が考える自衛隊派兵、国際貢献は大変危険だ」(社民党の福島党首)

野党の中の野党:共産・社民 米国式二大政党制に異議有り
自民・民主の二大政党論は全員与党化を目指す物であるとして、健全野党を目指す共産・社民は独自路線を歩むつもりらしい。
米国式二大政党の民主党の役割が面白い。多元的価値を標榜する民主党は各国社会の創造を誘導する。新たなシステムの創造が出来たところで、共和党政権がこれを戦争や買収などで破壊して奥の院へ金を運ぶ役割を演じる。これが2大政党の任務分担である。大体8年おきに世界の潮流が変化するのである。「民主党は鳩派」なんていうのは真っ赤な嘘で、軍事費は着実に準備している。
米国の国内でも実は永久的に支配する側と支配される側の関係が固定されている。普段は見えにくい支配する側を「奥の院」と呼ぼう。奥の院は何かというと金融資本主義で利益を上げる複数の閨閥家族である。それはイギリスからの移民者でアメリカを創造した家族の子孫である。具体的にいえばロックフェラー家、カーネギー家、ヴァンダービルト家、アスター家、メロン家、ヂュポン家、モルガン家などを指す。米国は「自由で民主的な国家というイメージで語られるが、これは奥の院の余裕なのだ。

読書ノート 鹿野政直著 「日本の近代思想」 岩波新書

2008年01月05日 | 書評
二十世紀の日本の思想的問題を四つの主題から総括する 第一回

明治時代富国強兵の近代化を成し遂げた帝国日本は、軍事大国を目指して数々の戦争を戦い植民地も手に入れて、ついにアメリカと闘うに到りそして敗戦。戦後は米国の軍事的支配下においてひたすら経済大国を目指した。そして1990年代のバブル崩壊による経済破綻から来る閉塞観に10年以上も悩まされることになった。このような歴史を背負い百年余にわたる日本の近代は思想においてどのような経験を重ねてきたというのだろうか。戦争と平和・民主主義の問題から、暮らし・命の問題まで日本の近代化が経験した思想の情景を描くことが本書の目論見である。鹿野政直著 「日本の近代思想」は、たとえば丸山真男の「日本の思想」は政冶の観点からの思想史であるのに対して、どちらかといえば代表的書物に描かれた日本の時代描写の走馬灯のような映像である。

著者鹿野政直氏は日本の歴史学者で専門は日本近代史、思想史。1960年代以降に盛んになった民衆思想史研究の第一人者。長く早稲田大学の教授を務め、現在は早稲田大学名誉教授である。著書には「戦前家の思想」、「戦後沖縄の思想像」、「日本の現代」、「健康観にみる近代」など多数。1901年福沢諭吉は68歳の生涯を終えた。そして中江兆民も54歳の生涯を終えた。それぞれが19世紀後半の思想家意を指導してきた巨人が相次いで世を去った。19世紀後半に、日本は文明開化・富国強兵の近代化政策を邁進して東洋で始めての近代国家が生まれた。それから20世紀の百年、前半は日本は軍国主義の道を歩み、後半の敗戦後は経済大国の道を歩んだ。そういった歴史の功罪に向き合ってきた人々は、思想のどんな経験をしてきたのだろうか。本書は9つの個別テーマを立てた20世紀の思想の軌跡である。過去を丹念に解きほぐし、自らも陥っている偏見を意識化することで歴史を見つめる価値は出てくる。本書は9つのテーマに71の項目を盛り付け、1つの項目は3頁でコンパクトにまとめている。項目が多すぎて個々に紹介はできないが、項目の立て方がやはり著者らしく独特である。一味違う切り口である。


文芸散歩 卜部兼好 「徒然草」 岩波文庫

2008年01月05日 | 書評
日本の随筆文学の最高峰 第四十九回 (第231段から第235段)

第二百三十一段 「園の別当入道は、そうなき包丁者なり。或る人の許にて、いみじき鯉を出だしたり・・・・」
西園寺実兼入道の言葉に、料理人のわざとらしい技を見せるのは興ざめだ。パフォーマンスで面白がられるより自然なことが一番よい。客人の饗応のときでも、ちょうど良い時をみはからって出すとか、何となくさし出すのがいい。兼好さんの美学でわざとらしいパフォーマンスは嫌いだということ。

第二百三十二段 「すべて、人は無智・無能なるべきものなり・・・・」
若い人の知ったかぶりの賢しら振りを嫌う二つの説話を紹介した段。

第二百三十三段 「万の咎あらじと思はば、何事にもまことありて・・・・」
すべてに難のないようにしようとするのは、誠実に、誰にでも同じ態度で、礼儀正しく、言葉が少ないのが一番である。特に若く容貌のいい人の言葉が上品なのは忘れがたい。ここでなぜ容貌のいい人が入るのか、貴族趣味丸出しの兼好さん。

第二百三十四段 「人の、物を問ひたるに、知らずしもあらじ、ありのままに言はんはおこがまし・・・・」
人の質問には、事実通りに答えるのがよろしい。人の知らないことを物知り顔に断罪してもその人をかえって不審がらせるのでまずい。素直に分るように回答するのがいい。誠にその通りです。

第二百三十五段 「主ある家には、すずろなる人、心のままに入り来ることはなし・・・・」
主のいない家には、人や狐、ふくろう、木の霊も住みつく。空っぽの心には諸々の妄想が入り込む。心に主が必要と云う哲学的論議である。しっかりした考えを持てば人生誤らぬと云う説教にも聞こえる。


自作漢詩 「冬夜読書」

2008年01月05日 | 漢詩・自由詩

黙座看書夜色     黙座して書を看 夜色闌なり

凝陰徹骨思千     凝陰骨に徹し 思千般

雪飛燈乱幽斎寂     雪飛び燈乱れ 幽斎寂たり

風急穿窓竹影     風急に窓を穿ち 竹影寒し

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(赤い字は韻:十四寒 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)