ブログ 「ごまめの歯軋り」

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教育基本法みたいなどうでもいい作文で国会が空転する政治の怪

2006年11月22日 | 時事問題
asahi.com 2006年11月22日11時47分
国会審議、野党出席し1週間ぶり再開

 教育基本法改正案の衆院採決をめぐり審議がストップしていた臨時国会は22日、参院教育基本法特別委員会での同改正案の趣旨説明と質疑に野党4党が出席し、1週間ぶりに与野党そろっての審議が再開した。
 臨時国会開会後、いじめによる自殺や必修科目の履修漏れ、教育タウンミーティングでの「やらせ質問」などの教育関連の問題が噴出。野党はそれらについての全容解明や関係者の処分などを求めており、「国と郷土を愛する態度」「不当な支配」など条文の解釈とともに、参院での論戦の焦点となる。

もっと重要な問題山積をどうするのだ!!!

受験科目でない授業の飛ばしが平気で行われる教育現場こそが規範の欠如そのものだ。いじめによる自殺をどう防ぐのだろうか。官僚誘導の審議会では委員の選別から論点の誘導、交通費などの支給は慣例であった。タウンミーティングでのやらせは官僚では常識の手法であった。「なにをいまさらちゃんちきおけさ」と鼻歌も出てくる現状だ。そんなことは全部分っていての国会の茶番劇はなんなのだ。
教育基本法なんて愛国心の一字を入れるための騒ぎに過ぎない。入れてどうなるのか。望まれる人間像が出来るのか。ばかな話さ。授業飛ばしが行われる現場に「作文」がどんな意味を持つのか。最近公立学校の中高一貫教育が行われ将に受験一色の教育になっている。全部の高校が受験校になったら競争が激化するだけで、少しも有利ではなくなる。(各国が核保有すれば核の抑止力がなくなるのと同じ)教育の内容を変えずにパズルみたいな受験テクニックだけを教えてこの国はどうなるのか。私の時代では、京大は国語、理化2科目、社会2科目、英語の6科目受験だった。私は頑固に社会は世界史と日本史、理科は化学と物理を選択した。点数の取りやすさからすれば社会は地理、理科は生物の暗記物を選んだほうが有利なのは分っていたがそうはしなかった。受験テクニックを教えられる生徒は可哀そう。勉強の楽しさが生涯分らない哀れな人間が養成されている。

ブッシュ後へ向けて、パワーポリチックの流動は加速している

2006年11月22日 | 時事問題
asahi.com 2006年11月22日00時01分
イラン 「核」決着見据え、米との対話へ地ならし

 25日にも予定されるイラン訪問で、イラクのタラバニ大統領はアフマディネジャド・イラン大統領と、中間選挙で敗北した米国のイラク政策の転換問題を話し合うとみられる。イラン側がタラバニ氏を招待した。アフマディネジャド政権は核問題の有利な決着を見据え、イラン革命後27年にわたり断交する米国との直接対話に向けた地ならしをはかる可能性がある。
国連安全保障理事会で、決議に反してウラン濃縮活動を続けるイランへの経済制裁の論議が続くが、ロシア、中国が制裁に慎重な姿勢を変えないまま、米ブッシュ政権は中間選挙で大敗した。
ラムズフェルド国防長官が更迭され、対イラン強硬派のボルトン国連大使も辞任が取りざたされる。米政権内の地殻変動でウラン濃縮活動温存のための「外交戦」は一挙にイラン有利になった。大統領は20日も国営テレビで「制裁になっても何の問題も起きない」と強硬姿勢を誇示した。

アメリカ一国主義からパワーは何処へ流れるのか。混迷を深める世界情勢

アメリカ共和党政権が中間選挙で敗北したことを受けて、早くもアンチアメリカ勢力は意気軒昂である。中南米の反米国主義者、イラン、北朝鮮の核保有希望国はますます鼻の息が荒くなった。もはやブッシュは怖くない。民主党の弱腰政権誕生を待ち望んで対話の準備に余念がない。アラブ諸国やイランはイラクから米国が撤退すれば対イスラエルが有利に戦える。ロシア、中国はもはや覇権よりも経済的利益を優先させるため安全保障の懸念はない。扱いやすい友好国にすぎない。韓国は民族統一の前には節操はない。北に併合されても結構だ。金大中や盧泰愚は北が核兵器を作ってくれてありがとうといっているようである。
 とにかく2年後のブッシュ政権の終了を待って、世界は多角(核)的世界政治の舞台へ移行する。そして力のある国が再び覇権を取るだろうが、その間は世界は混迷と戦争が激化するだろう。

夕張市財政破綻 再建なるか

2006年11月22日 | 時事問題
asahi.com 2006年11月22日09時51分
夕張市再建案に市民ら悲鳴・怒り 「出るも残るも地獄」
360億円を約20年で返済する――財政破綻(はたん)した北海道夕張市がまとめた財政再建計画案が、波紋を広げている。厳しい再建案に、地区ごとに連日開かれている説明会では、住民の不満が相次ぐ。しかし、「第2の夕張」を防ぎたい総務省は、計画をさらに削り込む構えだ。
〈夕張市の財政破綻〉 炭鉱で栄えた夕張市は60年の人口が約12万人だった。相次ぐ閉山で住民が流出、「観光の街」への転換を図った。だが、遊園地やスキー場への客足が伸びず、観光施設の人件費がかさみ、05年度決算で赤字が約257億円に。今年度分を加えると、財政再建団体になる来春の累積赤字は約360億円になる見込み。現在の人口は約1万3000人。

昔農民が重税に耐えかねて逃げたように、夕張市民が全員逃散すればいい。

かって炭鉱で栄えた夕張市は人口が12万人いたそうだが、今はその十分の一に減少している。中曽根首相は土地バブルを煽る様に日本列島のレジャー産業化を奨励し、厚生省・郵政省などもあまった資金でレジャー施設を建設したものの、土地バブルが崩壊し、施設の官僚経営が失敗して殆どの施設がただ同然で売られた。その流れの中で夕張市の閉鉱からレジャー立国政策を見て行かないと、夕張市だけの失敗になる。中央官僚はどんな巨額な失敗をしても平然と税金で穴埋めをして責任を感じることはない。夕張市をかっては優等生のように見て金を貸したのは誰か。夕張市もご他聞に漏れず失敗して巨額の借入金だけが残った。夕張市をここまで追い詰めたのは、バブル後十五年間の不景気であろう。何時までもバブル景気を夢見て借金を重ねた市当局と総務省の責任は重大である。一万人が360億を返済するには子供も含めて360万円を負担することである。20年で返済するには18万円を1年で支払うことである。この愚かな夕張市と日本政府の圧制から逃げるには江戸時代の農民のような一揆か逃散しかあるまい。すでに10万人以上が逃げているのだから、残っている人も全員逃げればいい。江戸時代と違い幸い憲法には移動の自由がある。夕張市を壊して更地にして海外企業に貸し付ければどうだろうか。

小林秀雄全集第4巻    「Xへの手紙」より「アンドレ・ジイド」

2006年11月22日 | 書評
「アンドレ・ジイド」
小林秀雄氏の作品に啓発され刺激されたりして興味を覚え読み出した文豪の本は多い。しかしこのアンドレ・ジイドの作品は皆目読んでいないので、私には発言する資格はない。作品名を挙げると「アンドレ・ワルテルの手帖」、「贋金造り」、「背徳者」、「地の糧」、「パリュウド」、「法王庁の抜け穴」、「ドストエフスキー論」などである。氏の論点の一部を紹介するに留める。
「アンドレ・ジイドほど世のいわゆる定評を許さない、変貌に変貌を重ねてきた作家はいない。固定した方向をもった感情,明確な輪郭を持った思想というものは絶無である。かれの心はいつも複数だ。」
「アンドレ・ジイドはまず何をおいても鋭敏な透徹した批評家である。苛烈執拗な自己解剖家である。知性が勝ちすぎた人は世間から敬遠されやすい」
小林秀雄氏はどうもアンドレ・ジイドの信奉者か、批評家としての生活信条を学んできた形跡が大である。自分とジイドをダブらせて筆を進めているのでどこからが小林氏の見解か不明になる。

「批評について」
「実際の処を言えば,芸術の領域には、作品がとりもなおさず問題の充分な解決でないような問題はない」というジイドの「背徳者」の序文を引用して批評活動の難点を言葉の問題に見出した。「言葉の表現による理論一般がこの言葉の伝統的な力に傷ついている」といって、日本の文芸批評の頼りなさを嘆いているようだ。結局「この世を如実に描き、この世を知り尽くした人にもなお魅力を感じさせる技を文学上のリアリズムと言う」を理想としたようだが、日本にそんな文学があったためしはないのだが。

「未成年の独創性について」
小林氏はドストエフスキーの「未成年」と言う作品を「青年が自己を語った小説で、青年を完全に虜にして,青年の内心に滑り込み、青年を唆し一切をさらけ出させたかくの如き作品を私は知らない」と絶賛した。私はトルストイにしてもドストエフスキーにしてもその複雑怪奇な人間相関を頭に叩き込んで読み進めないと話を見失う。いつも人間相関図を作ってメモにして読み進めるのが常である。これ以降、小林氏はドストエフスキーの作品を執拗に取り上げる。氏は世のロシア文学者よりもはるかにロシア通である。そこで氏が説くドストエフスキーの特徴の一つに「およそ彼ほど哲学とか思想とかを好んだ小説家はいない。彼の作品程思想の重荷を負った小説はない。全作中、抽象的思索或いは常識的思想の片鱗を見せない作品は見出せない。」を挙げるに留め、あとは次の論文から仔細に検討しようと思う。難解だけでなく、地獄まで見抜く大変なリアリスト・思想家だそうだ。乞うご期待。