ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

東シナ海新ガス田を廻る日中の駆け引き

2006年08月29日 | 時事問題
asahi.com 2006年08月29日06時05分
中国、東シナ海で新ガス田開発に着手 日本政府が抗議
 「東シナ海のガス田開発問題で、中国が「八角亭」と呼ばれる新たなガス田開発に本格的に着手していることがわかった。8月に入り掘削やぐら(プラットホーム)の上に生産施設が立てられているのが見つかったため、日本政府は中国政府に抗議。八角亭は、日本が主張する中間線から離れた中国側の海域にあるが、日本の排他的経済水域(EEZ)内に含まれており、政府は開発の動きを注視していた。」

日本はエネルギー資源が欲しいのか、経済的水域を政治問題化したいのか?どっち
 もしエネルギー資源が欲しくてかつガス田が有望なら経済産業省がし切って日本の関連企業に開発を急がせればいい。そういう具体行動を採らずに、犬の遠吠えのような抗議を繰り返しているのは何のためなのか。靖国問題にたいするカウンターカードにしようとしているのか。現在のところこのガス田が操業したという実績はない。本当に有望な資源が埋蔵されているのだろうか。なお「東シナ海」という侮蔑的名称をいまだにメディアが使用しているのは解せない。

イラク内戦 武力衝突続く

2006年08月29日 | 時事問題
asahi.com 2006年08月29日01時29分
イラクで2日間で死者100人 武力衝突、テロ続く
 「イラクで28日、武装組織の衝突や自爆テロなどが相次ぎ、ロイター通信によると、計50人以上が死亡した。前日も各地で計約60人が死亡しており、2日間で100人以上が犠牲になった。マリキ首相は27日、米CNNとの会見で「暴力は減っている」と語ったが、実際には治安の悪化は止まっていない。
 同通信によると、同国中部の町ディワニヤで28日、シーア派の対米強硬派サドル師率いるマフディ軍と治安部隊が衝突し、部隊の兵士25人と市民9人が死亡した。マリキ首相は、公約である民兵組織の解体に向けて治安部隊の増強を続けており、「部隊の能力は増している」とCNNに述べた。だが、現実にはその力は依然、主要な民兵組織に劣るとみられる。」

今イラクで何が進行しているのか。伝統的イラク社会と宗教界の動きに注目
 戦争直後から宗教界での勢力争いは先鋭化し、指導者の惨殺・爆破事件が後を立たず、その中から若いムクタダ・サドルは軍隊の保有を宣言し内戦状態に突入した。
 私は日本人だからか、イスラム社会の勢力抗争は複雑で教義や人脈の違いで恐ろしいほどに憎みあうことが理解できない。もともと戦闘的なマホメットが書いたコーランでは少しの違いが重要なのかも知れない。親鸞が死んですぐに教団内で内紛がおこり、嘆異抄が書かれたくらい浄土真宗内部の対立は峻烈なことは有名である。宗教界では何処でも同じ争いはあるようだ。
 現在イラクで主流派であるシーア派は従来非政治的存在をモットーとしてきたが、戦後はイラクにおいて秩序形成に大きな影響を与える存在になってきた。今後イラクの宗教界がどの方向に進むかは予測不能であるが 、イスラム過激原理主義の台頭も見逃せない。
 2006年現在同盟国軍の撤退が進み。フランス、ドイツ、ロシアの復興事業からの締め出しによってアメリカがイラク利権の独り占めという欲望むき出しの状態では、所詮アメリカの直接支配に他ならず国際的な承認どころか、イラク人の理解を得ることは全く難しい。そういう意味でアフガニスタンを見ると、石油会社顧問の傀儡政権を立てたものの、実行支配の及ぶ地域は少なく、山岳地帯はいまだにアルカーイダの拠点が存在し、世界(特にイギリスに)でテロを指導しているようだ。空爆の劇場戦争で何も変わっていない。