アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「立憲民主を自主的支援」は日本共産党の自殺行為

2024年04月12日 | 日本共産党
   

 16日に衆院3選挙区(東京15区、島根1区、長崎3区)の補欠選挙が告示されます(投票は28日)。日本共産党はそのいずれの選挙区でも、自党の候補者は立てず、立憲民主党の候補者を「支援」します。とくに東京15区ではすでに発表して予定候補者活動を行っていた地区委員長を下ろしてまで。

 これはいろいろな意味で、共産党にとって自殺行為ともいえる愚策です。

 第1に、“政策協定なき共闘”だということです。

 政党間の選挙協力は当然ありうる戦術ですが、その大前提は政策協定(合意)があることです。政策の一致があるからこそ、その実現のために自民党に勝てる体制をとる。それが野党の選挙協力です。政策協定の必要性は志位和夫前委員長はじめ共産党も公式の会議や会見で何度も強調してきました。

 ところが、島根1区、長崎3区において共産党は立憲民主を「自主的支援」するといいます。「自主的支援」とは政策協定を結ばず共産党が一方的に立憲民主を支援することです。

「島根1区では、立民元職の亀井亜紀子氏を「自主的支援」する。立民の支援組織の連合が共産との連携に後ろ向きな事情から表立った協力が困難だからだ。立民県連幹部は「共産は勝手に動いているだけ」と距離を置く」(10日付京都新聞=共同)

 東京15区でも両党間で正式な政策協定(合意)がなされたという報道はありません。

 第2に、共産党が独自候補を擁立しないことは、自党の政策を訴える重要な機会を自ら放棄するということです。

 選挙(国政・地方問わず)が重要なのは、当落の結果だけでなく、それが政策を訴え支持を広げていく場だからです。それは議会制民主主義の基本中の基本です。共産党はそれを放棄するのです。総選挙を前にした重要な3つの補欠選挙で。

 れいわ新選組の山本太郎代表は、「今、野党が固まっても仕方がない。党が候補者を降ろすのは筋違いだ」と述べ、党の独自政策を訴える必要性を強調しました(3月10日、3月20日のブログ参照)。それが正論です。

 共産党の小池晃書記局長は9日の記者会見で、東京15区で発表していた予定候補を下ろしたことについて、「補選に限った例外的な対応だ」(10日付共同)と述べました。この発言は補選の著しい軽視であり、選挙区の有権者を愚弄するものと言わねばなりません。

 第3に、共産党がそうまでして支援する立憲民主は、「経済安保法案」に公然と賛成する(9日の衆院本会議)など、最近とりわけ日米安保条約=軍事同盟のいっそうの強化に関連して政策的右傾化を強めています(10日のブログ参照)。

 その立憲民主を支援することは、共産党が公式にはまだ下ろしていない「日米安保条約廃棄」の政策にも反し、戦争国家化の危険な動きを容認することに通じます。

 共産党が3つの衆院補選でこうした愚策をとる根底には同党の「野党共闘」論があります。共産党がその誤りから脱却し、自党の政策を活発に主張して支持を広げる路線に立ち返らない限り、同党の衰退に歯止めはかからないでしょう。

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