中江有里「トランスファー」読み終わりました。
「トランスファー」って何だろう?
って思ったら
飛行機の直行便がない時にどこかで飛行機を乗り換える
それが「トランスファー」なんだって。
小説の中で奈央が洋海に説明してくれていました。
そう!
正に玉青と洋海はトランスファーしたんです
ネタバレ?
生きていくことが辛くなっていた玉青
父は死に母は認知症で施設に入った。
父と母に反対された妊娠・出産
そして
子供の父親の「斎藤」は玉青から逃げた。。
子供は養子に出され・・
それでも玉青の子供「羽流」に対する思いは募った。
居場所を探し出す玉青
そっと遠くから見守るだけ
そんな日々が続く
交際相手の青島はいるものの
ぞんざいな扱いに
「愛」は感じていなかった。
自分はなんのために働き
何のために生きていくのか
分からなくなっていた玉青
そんな時朝の通勤電車で怪我をする
そして入院した玉青は
不思議な出会いをする
呼ばれた気がして入るある病室
機械につながれ眠っていた少女がいた。
その少女の心と玉青はなぜか話す事ができた。
頭の中での会話
その少女は「洋海」だという。
玉青と「姉妹」だという。
初めて知る妹?の存在
そして
もうすぐ死んでしまうという洋海
洋海からの「体を少しだけ貸してほしい」
その願いを玉青は聞き入れる。
洋海が初めて見る玉青の世界
そして
玉青が体験する洋海の動かない身体。。
そして
分からなかったことが分かったことで
お互いの気持ちを分かり合っていく
そして
玉青ができなかったことを
洋海は玉青に成り代わりつなげていく
繋がれなかった友人
離れる必要があった恋人
性質の違う姉妹が
入れ替わることで
玉青のこれからの人生を
豊かなものにしていく
知らない世界に触れていく
洋海の無邪気な姿が微笑ましかった
そんな洋海を快く思う同僚の奈央
今まで玉青が近づきがたい存在だと思っていた奈央
洋海に入れ替わったことで
友情が深まっていく
そんなところも読みどころになっています。
青島の玉青に対するぞんざいな対応も
理由があったことが分かる。
一緒にいることで傷つけあってしまう関係。。
それは辛いよね。。
「ろみちゃん」ばかり口にする母
そんな母が背負っていた悲しい過去
人は見えることで判断しがちだけど
真実は見えないところにこそある。
そんなことも教えてくれた作品でした。
姉妹愛っていいなぁ
読み終わると心があったかくなる