大きな台風が過ぎさっていきました。
皆様、お障りなくお過ごしでいらっしゃいましょうか。
先日、私達は愛知県美術館の長沢蘆雪展に伺って参りました。
蘆雪についてはよく皆様もご存じかと思いますが、やはり画家の一生の仕事を一堂に鑑賞することは大切なことですね。
今回、初めて、蘆雪という画家の本質に触れることができたように思えます。
虎図や龍図をご紹介するまでもないと存じますので、私が今回感銘を受けました2点だけ少しご紹介申し上げます。
朝顔に蛙図襖 和歌山県高山寺蔵
この大きな画面にこれだけしか描いていないのに。。
柔らかな墨の色の、しかも細く、優しい線だけで、自然の持つ深みと大きさをここまで表現できるのだと感動いたしました。
しかも、朝顔の花の描写、蛙の描写には細心の注意を払い、生き物の息遣い、緊張を見事に捉えています。
牧童吹笛図 京都府 久昌院蔵
所謂十牛図ですが、これを[指頭図 しとうず]といって、筆でなく指に墨をつけて描いた作品だということを
知り大変驚きました。
この画像ではよくわかりませんが、牛のお口から一筋長く、よだれが垂れているのです。
牛の腰から後ろ足の表現といい、本当に素晴らしいなぁと思いました。
蘆雪は46年の短い人生に実に様々な描法を駆使した画家です。
時には「やり過ぎではないのか?」と思うほどの画面構成も、応挙のもとで修業した技量がそれを補い、力強い作品として完成させてしまいます。
面白い物、可愛い物、怖いもの、、子供のような興味をそのままに絵を描き続けたようにも思え
蘆雪という画家の人柄は、よく言われる豪放磊落なものでなく、案外気が弱く、人懐っこいものであったのではないかと想像してしまいます。
画面からあふれるように描かれた象の背中にのるカラスは
つねに師である円山応挙という大きな名前のもとに、自由に遊び続けた蘆雪という画家そのものであったように感じます。
京(みやこ)のエンターティナー 蘆雪 開館25周年記念 長沢蘆雪展 愛知県美術館 11月19日まで
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