思い返すと他のJクラブでの実績が認められて招へいされた監督が名古屋で過去に成功したためしがございません。ベルデニック、ネルシーニョ、西野朗・・・唯一の例外は'99年に天皇杯を制したジョアン・カルロス氏ぐらいですが、彼もまた最後は名古屋伝統のドタバタ劇の中で寂しくクラブを去っております。
そして今回、残念ながら風間監督もまたこのリストに名を連ねることとなってしまいました。退任(契約解除)の最大の要因が結果が出ないことであり、それによって起こる強化部とのすれ違いや求心力の低下、ひいては大人(お金)の事情などによってチームはどしようもない状況にまで陥っていたとのこと。なによりピッチで戦う選手達の士気が下がってしまっていたとなればもはやこの決定を受け入れるしかありません。
仮に問題なく監督が続投していたとして目指すサッカーが大成したかどうかは神のみぞ知るところだし、夢破れて終わる可能性の方がはるかに高いのかもしれませんが、私としてはそれでも任せてみたかったと思っています。そしてそのチャンスを与えられなかった風間監督はさぞかし悔しいことでしょう。氏にはJ2時代を含めた名古屋での3年弱の仕事に感謝しつつ、是非とも他のクラブで理想とするサッカーでタイトルを獲得して、クラブ及び我々ファミリーを見返していただければと思います。
マッシモ・フィッカデンティ氏の招へいについては「開いた口がふさがらない」というのが現時点での私の正直な感想。FC東京や鳥栖で見せたサッカーにはこれといったインパクトはなく、また特に目立った成績をおさめているわけでもないだけに?な決定です。監督就任のコメントの中に攻守一体という言葉があるとはいえ、嗜好するサッカーは間違いなく堅守速攻でありスタイルの転換は確実でしょう。残留のための8試合限定の就任ならまだしも、今回の決定には攻撃的なサッカーを標ぼうするというクラブの信念を疑いたくなるというものです。
加えて言えば、氏の就任により前監督が目指しているサッカーを一足早く花開かせているユースはどうなるのか、そのユースとトップチームの密だった連携は本当に継続可能なのか、また、トップ昇格が決まった石田と三井や前監督の肝入りで?再来年の入団が決まっている児玉駿斗君の心境も気になるところです。そもそもリスクが大き過ぎるこのタイミングでの監督交代などあり得ないと考えていた私としては、当分は一歩、否、三歩下がった視点で名古屋グランパスというこの未熟なクラブを見守っていきたいと思います。