11月13日

 レオ・ペルッツ/鈴木芳子訳『レオナルドのユダ』を再読した。
 
 ペルッツ再読8冊目。とても好きな作品だが、刊行順をたどって読み返してきたので、遺作なのねぇ…としみじみ。『第三の魔弾』の解説には、未完で見つかったのを弟子で友人でもあった人物が完成させたとある。

 “「君はユダの秘密と罪を知っているのかい? なぜユダがキリストを裏切ったのか、わかるかい?」/「ユダは、自分がキリストを愛しているとわかったから、キリストを裏切ったのです」少年は答えた。”

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11月7日

 コルヴォー男爵/大野露井訳『教皇ハドリアヌス七世』を読んだ。
 
 すこぶる面白かった。久しぶしに奇書を読んだという満足感。
 「澁澤龍彦が絶賛」というのもさもありなん…と思いつつ、訳者あとがきでかなり自伝的な内容と知って驚いた(そして19世紀末のロンドンに生まれた作者が、何故カトリック教会なのか…という理由にもw)。
 “人間嫌いの利他主義者” ジョージの半生がほぼ自伝であるなら、その後の型破り教皇爆誕からの展開は幻想文学…か。

 “教皇には大きな目標と、見通しのきく目と、よく聞える耳と、機知と、ひねくれた性格と、大胆さと、寂しい心とがある。おまけに世界から敵意を向けられていた。”

 

 

 

 

 おはよございます。明太子🍙 #OnigiriAction 青空ごはん部
 

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10月27日

 レオ・ペルッツ/垂野創一郎訳『夜毎に石の橋の下で』を再読した。
 
 ペルッツ再読7冊目。やはり、すこぶる好みな作品。
 古のプラハという街が、美しい幻想の紗と甘やかな薔薇の香る夜気に蔽われている。憂愁に捕らわれたルドルフ2世と、ユダヤ人の伝説的な豪商とその麗しい妻の繋がりを中心に、幾つもの運命が絡まり結ぼれていく様も見事だった。優しい詛、天使たちの軋轢、占星術…。
 著作リストの刊行順をたどって読み返してきたので、ペルッツの作風が前作までと比べるとしっとりしているように感じられる。愛ゆえに、愛に煩う物語。枠物語としての閉じ方もよかった。
 “それにしても何てすばらしい夢だったのだろう。主は褒むべきかな。”

 

 

 

 

 おはよございます。高菜ピラフのおにぎり。 #OnigiriAction 青空ごはん部
 

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10月25日

 ギョルゲ・ササルマン/住谷春也訳『方形の円 偽説・都市生成論』を再読した。
 
 36もの幻想都市。惜し気なく溢れてくる奇想が勿体ないほどで圧倒されるが、都市(社会)構造に正解などあり得ないことを明かすようにそれらは呆気なく滅亡する。一つ一つの物語はかなり短く、幾つもの滅びと独裁や文明のバリエーションを一方的に眺めて通り過ぎていくのは、ひやりと不思議な読み心地だった(具体的な登場人物がいると割と珍しい)。
 そして様々な建築物のアイデアには目を瞠り、とりわけ幻想文学寄りの物語には魅了された(ダヴァからオリュンピア…セレニア…アトランティスの流れが好き)。
 方舟には何がのるのだろう…。

 

 

 

 眼科受診して、新しいコンタクトレンズと、ちょっと不安な追加検査の予約をお持ち帰りした。
 よるとしなみへい、、、よろしく哀愁、、、、

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10月20日

 レオ・ペルッツ/垂野創一郎訳『スウェーデンの騎士』を再読した。
 
 とても素晴らしかった(ペルッツ再読6冊目)。
 仕掛けの見事なペルッツ作品を読む醍醐味と、どっぷり幻想文学な雰囲気(民間魔術の呪文、亡霊との約束…)を存分に堪能した。
 人を欺いて手に入れた幸福らしさ(愛する家族と、己の才能を発揮出来る身分と)を、真の幸いとして享受することは結局叶わない。それはいずれ誰かに返す借りものに過ぎない。
 とは言え、主人公に他の選択があり得たとも思えず、逃れる術のない運命への道筋は神によって既に描かれていた…という皮肉が胸に痛い。 あと、名前を喪失する物語としても読めてそこも面白かった。

 

 

 

 

 

 おはよございます。ピラフで無理くりおにぎり(パラパラで纏まらない) #OnigiriAction 青空ごはん部
 

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10月18日

 レオ・ペルッツ/垂野創一郎訳『聖ペテロの雪』を再読した。
 
 流石、面白かった(ペルッツ再読5冊目)。
 物語の舞台は1932年のドイツの寒村、なので珍しく歴史ものではない。とは言え、神聖ローマ帝国復興の夢の実現だのフリードリヒ2世(シュタウフェン家)の末裔だのと、やはり頗るペルッツらしい作品なので嬉しくなった。
 巧妙な仕掛けは心憎く、なんと読み返し甲斐のあることよ。
 …そして狂おしい願望が創りあげた物語への執着は捨てがたい。彼にとってその世界の記憶は美し過ぎる。 (人とは斯様、そうあって欲しいことをそのまま真と思い込み、進んで信じようとする可愛く切ない存在であるなぁ…と。)

 

 

 

 

 おはよございます。朝ごぱん〜🥖 青空ごはん部
 

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10月16日

 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳『閉ざされた扉 ホセ・ドノソ全短編』を読んだ。
 
 〈全短編〉がそのまま初期短篇集(長篇から短篇小説には戻らなかったから)と。
 面白く読んだのは、表題作と「シロンボ」「チャールストン」(語り手を含む男3人とも◯◯と思ったけどw)、「散歩」「サンテリセス」。

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10月11日

 レオ・ペルッツ/垂野創一郎訳『アンチクリストの誕生』を再読した。
 
 流石、面白かった(ペルッツ再読4冊目)。
 表題作を始め、恐ろしい難題に向き合う者の孤絶、運命に召される者の最期、物狂おしい幻想に取り憑かれた者の破滅、遠い過去からの呼び声…など、そうそうレオ・ペルッツといえばこれですよと言いたくなる、ぎゅっと濃ゆい中短篇が揃っている。一篇ずつの余韻も格別で、あれこれ思いを馳せながら眩暈し、堪能した。
 お気に入りは、「一九一六年十月十二日火曜日」や「月は笑う」(ルナフォビアって何故か惹かれる)「霰弾亭」「夜のない日」。 

 

 

 今季初おでん🍢仕込んだ。例年より1週間遅い。 玉子は半熟にて別鍋に。 青空ごはん部
 

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10月6日

 レオ・ペルッツ/垂野創一郎訳『どこに転がっていくの、林檎ちゃん』を再読した。  
 
 流石、面白かった(ペルッツ再読3冊目)。
 レオ・ペルッツといえばどっぷり幻想文学のイメージだが、この作品はその点では趣が違う。ただ、ロシアの捕虜収容所からやっと解放された主人公が、復讐の念へと自らを駆り立ててひたすら転がっていく(そも内戦中のロシアへ舞い戻るのが狂ってる)のは、かなり尋常ではない。
 それに復讐とは言うものの、あくまでも決闘という形式に拘っているところにドン・キホーテ味が溢れていて、ヴィトーリンまだ若いのに…などと思った。そんな皮肉がレオ・ペルッツらしくて好きだ。






 おはよございます。鶏そぼろと紅生姜のおにぎり。 #OnigiriAction 青空ごはん部
 

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9月27日

 レオ・ペルッツ/垂野創一郎訳『ボリバル侯爵』を再読した。
 
 流石のレオ・ペルッツ、面白かった(再読2冊目)。
 ナポレオンのスペイン遠征、劣勢へ傾き始めたフランス軍の2つの連隊が壊滅するに至った経緯を、元ドイツ将校が綴った回想録。その内容は、後世の人々には信じがたいものだった。
 何となればそこには、ある言葉の呪縛に囚われた数人の将校たちが、避けるべきことにむしろ引き寄せられ、その為に彼らの軍を破滅へと突き進ませることになる顛末が描かれており…。
 情報の優位を全く活かせない将校たちのぐだぐだな迷妄っぷり(そこが読ませるんだけど)と、さまよえるユダヤ人の存在が落とす昏い影の比よ。

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