ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

少年Hと大和魂

2014-08-30 23:41:05 | Weblog
今日は少し体力に余裕があったので
お昼寝しないでテレビを見る。


ちょうど、県の合唱コンクールを放送していた。
ステージの袖から壇上にあがる子供達。
袖からニコニコしていて、歌いだす直前までニコニコ。

時代は変わったなと思う。

私たちの時代はニコニコしていると
「集中していないのか!。
 ふざけているな!」と
叱られた。

悲愴な顔をしていることが当たり前だった時代。
それが真剣な顔を思われていた時代。


今の子はいいな。
リラックして実力を出すことができて。




さて、少年Hはビデオに撮りだめていた作品です。

友達が「感動した!」と以前いっていたので、
録画しました。


ある紳士服の洋服店を営む父と
キリスト教を深く信じる母と
絵の上手な男の子と女の子(取り柄がわからない。)
の家族の物語です。

男の子の視線で
戦前、戦中、戦後を描いています。


私は感動とまでは思わなかったけれど、
いろいろ考えさせられる作品です。



男の子ははじめ君(漢字はよくわかりませんでした)。
イニシャルから「少年H」と人から呼ばれていました。
とっても素直な子でした。

絵が上手で軍艦の絵を描いたことがありました。

でも、父親から「軍艦の絵を描いてはいけない。
以前、描いた絵を人にあげてもいけない」
といわれます。

軍の機密を漏らしたと捕まる可能性があるからと
教えられます。


また、町並みなどのスケッチをしても
それもスパイと思われることがあるから
それもするなといわれます。



ある日、映画館で働く人が出征します。
元は劇団の女形で、本当は女形として舞台に立ちたいけれど
病身の親のために舞台を捨てて、映画館で働いていました。

「病気のお母さんのため、女形を辞めたのに
 出生したらお母さんはどうなるの?」

と疑問を口に出しただけでも、
父は息子の手を引き、家の奥に連れて行きました。


昔から、疑問に思ったことは人に聞く。
お父さんは疑問について正面から教える。
そんな家庭のようでした。

けれど、疑問に思ってもすぐにその場でいわず、
後で聞くようにとしつけられます。


だれが、どこで聞いていて、
どのように判断するかわからない時代です。



教会の外国人の牧師が帰国して、絵葉書をくれました。
絵葉書には大きなビルが書かれていました。

少年はアメリカの技術力にびっくりして
「アメリカはすごいんだよ」と友達に話します。

けれど、その絵葉書をもらったことと、
お父さんが以前、外国人の紳士服の仕立てをしていたことで
外国人と連絡を取り合っているスパイと疑われて
お父さんは憲兵に連行されてしまいます。


それ以来、自分の気持ちを、
口に出さないようにします。



大人はアメリカは道に車が行き交う社会を知っていて、
技術力に差があっても
「そこは大和魂で打ち勝つんだ」といいます。


少年は戦争に勝てっこないと思います。

戦争に勝っているというのも
情報操作がされていると思っています。

もちろん、口に出すとことはなかった。


しかし、冷ややかな目で軍国少年を見ていれば
「非国民」として殴られる。



少年にとって思うことをいえない、
矛盾した時代でした。



終戦。
少年は「戦争が終わってよかったね」と
いってしまいます。
そして少年は友達に殴られます。
周りには戦争で親を亡くした同級生もいました。
戦争が終わっても、まだ苦しむ人はいるという配慮を
忘れていたからです。



戦後、自分たちもお腹を空かせているのに
「もっとお腹を空かせた人がいる」と
自分たちの食べ物を困っている人に分け与える母をみて
父にどう思うと聞くと返事をしません。

そんな父におひつの蓋を投げつけて怪我をさせてしまいます。

自分の意思を持たない父に嫌気が差したのでしょう。


街に出れば、あの軍人としてひたすら殴って指導した教官が、
共産主義に傾き、そして、目下の自分にペコペコしている姿に
幻滅します。

また、ほかの自分を守ってくれた軍人の教官が、
闇市で外国人に対しても商売をしているのと見ます。
「俺は時計屋だ。外人であろうと日本人であろうと
 時計を修理する」といいます。



少年は、なにが正しいのかわからなくなります。






最近、いろいろな法律ができました。

よって、スケッチをすること写真を撮ることが
スパイ容疑に掛けられる可能性があるということです。

外国人と接点があっただけでもスパイ容疑。


いろいろ情報の統制がでてくる。
それを疑問に思い、調べたり聞いても非国民やスパイ。



今の時代が
戦前に戻りつつあるというのは、ありえる話です。


戦争反対と戦争の悲惨さを伝えるだけではなくて、
この作品を通じて
「ごく当たり前のことができなくなる時代がやってくる」
という危険性を、何度も放送して、
いつまでも伝えて欲しいと思います。
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