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計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

人間の感性を数値化せよ!

2007年02月09日 | 気象情報の現場から
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https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897843356.html


 天気予報は総合科学。いかにも!って感じですが、このような名言を聞いたことがないのは私だけでしょうか~ぁ。本当に最近はLESに加えて空間補間やニューロ理論にまで手を出してしまっているので、頭の中がスパゲッティ状態です。

 今日の御題の「人間の感性を数値化せよ!」と言うのは、局地気象に関する問題です。局地気象にも様々なその地域特有の現象があります。特定のところで強い風が吹く、気温が異様に高くなる・・・等等。問題はこの「強い風」「高い気温」というのは人間の主観が基になっていて(確かに実害が出るケースもあるので主観だけとは言い切れない)明確な数的基準が無いのです。局地気象の予測や評価の際は、この基準を明確に定めなくてはなりません。しかし、もともとが人間の感性なので、明確な線引きが難しいのです。

 さて、来週の金曜日は、共同研究でお世話になっている大学の研究室内で、今年度の総括を兼ねた研究会が行われるそうです。学生がそれぞれの研究成果をプレゼンするというもので、一種のゼミナールですね。そして何と、そのゼミに弊社の担当スタッフも参加せよとの呼び出しがっ!要は、大学院生のプレゼンを聞いて席上討論やアドバイスをせよ、と言うものですが、折角なのでこちらの取り組み状況について紹介を・・・との事。そーいえば最近、進捗報告が・・・(爆)

 今度は大学院生が相手ですか~。まさに日本の頭脳じゃないですか!科学技術立国・日本の未来は理系大学院生である君たちの双肩にかかっているのだーー!! (思いっきり煽ったる!)
あ゛・・・かつては私も大学院生だったんだ・・・(ヒトゴトじゃなかった・・・)。昔々の事ですが(すっかり歳をとりました)。

 そういえば、大学の専門科目では一部、各大学が独自の講座を開講する事ができるらしく(そういえば私の大学には豪雪都市工学なんてものがあった)、この共同研究のご縁で「エネルギー変換工学」という科目の何コマかを気象に割り当てて(要するに自然エネルギーにつなげたいと言う事)、弊社の気象予報士が講義を行うのはどうかと言う提案を頂きました。気象予報士が学部の教壇に立つ時代なんですね~~(しみじみ)。そんなノミの心臓(?)の私ですから、ここはプロジェクトリーダーの気象予報士にお願いして(もちろん、「おしつけた」のではありません)、ホッと胸を撫で下ろしていた矢先・・・

 ま、こちらのゼミは大学院生が相手との事。乱流理論や数値解析スキーム等の話も遠慮なくできるわけですね。日頃から乱流の数値シミュレーションの研究に明け暮れている(鍛えられている)事でしょうから、さすがの私も会話についていけなくなるかも知れません

 何はともあれ、折角の機会なので自分たちの行っている研究が気象とどのようにつながっていくのかを理解できるような討論をしたいと思っています。この三連休はその準備に追われそうです。彼らは機械工学の専攻、私もかつては機械系でそこから紆余曲折を経て気象に辿り着いた者です。不思議な巡り合わせですね。

 私が気象の道を志したとき「機械なのに何で気象なのか」と陰口を叩く者もおりました。しかし、計算気象を極めた者にとってこれは明らかに愚問ですね。

 私が思うに、気象屋の仕事はただ単に天気の仕組みを解明するに留まらず、各種データを分析し、的確に予測し、またそれらの情報を駆使して問題を解決していく。すなわち気象に関する問題に対して自分なりの答えを出す、と言う事。答えに至るまでのプロセスは無数にあると言うこと。機械工学のやり方もあれば知能情報処理のやり方もあるし統計的手法もある。無論、天気図を分析するアプローチもある。要は、局地気象のプロフェッショナルとしての「答え」を出せるか、それだけなんです。真に問われるべきなのは。

 だからこそ、日々勉強に研究なのです。
コメント
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