第1図・2012年07月23日12時のレーダーアメダス解析雨量図
第2図・2012年07月23日12時の地上気温(範囲:15~30 ℃)
第3図・2012年07月23日12時の地上風ベクトルと発散D(範囲:-500~+500 × 10-6 1/s)
D≡(∂u/∂x)+(∂v/∂y)
梅雨明けが発表され、この週末はちょっと気温も下がり気味でしたが、夏らしくなってきました。レーダーアメダス解析雨量図(第1図)のエコーを見ると、ちっこい?エコーの塊がチラホラ・・・。中には大きなものもありますね。このような雲の出現を予測するのは、非常に難しいのです。
今回の雲域の発生について、実際の観測テータや数値予報のGPVを組み合わせて状況を考察してみると、次の4点を挙げることができます。
(1)上空の風が弱い(目安としてはWv_850 < 5~8m/s)。
場において支配的な流れ(主流)がはっきりと定まらず、水平運動が不明瞭となります。主流の影響がドミナントであれば、主流の力で付近の空気全体がドンドン下流側に流されて行くため、同じ場所で対流が持続する事はできません。
(2)大気の状態が不安定(目安としては:T_500-T_sfc ≧ 30℃)
鉛直方向の運動(対流)が励起されやすくなります。ベナールセルもこのような対流の一つです。対流が活発になると激しい上昇気流を生み出し、やがて積乱雲を生じやすくなります。
※ベナールセルの数値シミュレーションを行う際は、初期状態における速度成分は0として、鉛直方向の温度勾配を与える事が多いです。これは(1)の条件と合致します。
(3)エコーが解析されている付近では、Dの極小域やシアラインが形成されている(第3図)。
Dの極小域やシアラインは流れの「収束域」を意味します。地上で収束するとその上空に向かって局所的に上昇気流を形成しやすくなります。
(4)大気の下層で湿度が高い(目安としては:Rh_sfc≧80% と Rh_925≧80%)
熱のエネルギーと水分が対流雲の発生要因です。
(※)
・T_500 :500hPa面の気温
・Wv_850:850hPa面の風速
・Rh_925:925hPa面の湿度
・Rh_sfc:地上の湿度
・T_sfc :地上の気温
第4図・2012年07月23日13時のレーダーアメダス解析雨量図
エコーがあちこちに解析されています・・・。色々な特徴を探っていくと、予測の糸口が見つかる・・・かもしれない?