一昨日の記事「温帯低気圧と前線形成のイメージ」では、次の図のような「寒気と暖気のぶつかり合い」からスタートして、温帯低気圧や前線が形成される様子を描きました。
この結果、寒気と暖気の接触面と地上が交わる領域上に、前線や低気圧が形成される構造が描き出されました。そして、その上空では西風が強まって偏西風の強い流れが現れます。これは、昨日の記事「層厚と温度風のイメージ」で触れました。
上空で西風が強化されるメカニズムについては、昨日の記事「層厚と温度風のイメージ」や過去の記事「「温度風の関係」のイメージを描く・・・」で述べた通りです。
北半球では、等圧面の高度は「南側の方が高く、北側の方が低く」なります。この高低差は、大気の層の(南北方向の)温度差(寒暖差)に相当します。南北間の高度差(温度差)を生じるという事はつまり、等圧面は南北方向に傾いていることであり、この性質を「傾圧性」と言います。
上空へ行けば行くほど、等圧面の傾きは顕著になるので、西風成分はより顕著に強化されることになります。
地上では西風の影響はそれほど強く現れるとは限りませんが、上空へ行けば行くほど、ある程度のバランスを保ちつつ、西風の影響が強まることを意味します。ここで、次の図の様に、バランスが保たれている状態を「安定」な状態と呼ぶことにします。
この状態から、さらに南北間の温度差が大きくなると、傾圧性が強まり、温度風の関係に基づいて、上空の西風がより強化されていきます。そうすると、上空の西風が著しく強化されることになります。次の図のように、西風のバランスがおかしくなってきます。
このアンバランスな状態を「不安定」な状態と言います。この不安定な状態は、傾圧性が強められたことによって引き起こされるので「傾圧不安定」と言います。
不安定(アンバランス)な状態が強まると、やがて(バランスのとれた)安定な状態に戻ろうとする働きが生じます。何らかのアクション(現象)を起こすことで、バランスを取り直そうとします。
つまり、不安定な状態においては「位置エネルギー」をため込んだ状態であり、この状態を解消すべく何らかのアクション(運動)を起こすことで「運動エネルギー」に変える働きを生じるのです。
アンバランスな状態では、西風成分が強化され過ぎていました。従って、この西風成分の大きさを、バランスの取れるレベルまで落とすことになります。その際、余剰な成分を南北方向に分散させようとします。このため、全体的な流れは、真っ直ぐの東西流(ゾーナル・タイプ)から、南北に蛇行する南北流(メリディオナル・タイプ)へと変化します。
この波動は、傾圧性が強化されたことに伴うアンバランス(傾圧不安定)を解消するために生じる波なので、傾圧不安定波と言います。冒頭で示した「寒気と暖気のぶつかり合い」によって、上空でもこのようなメカニズムが働いています。温帯低気圧は、傾圧不安定波としての一面も持ち合わせています。
この結果、寒気と暖気の接触面と地上が交わる領域上に、前線や低気圧が形成される構造が描き出されました。そして、その上空では西風が強まって偏西風の強い流れが現れます。これは、昨日の記事「層厚と温度風のイメージ」で触れました。
上空で西風が強化されるメカニズムについては、昨日の記事「層厚と温度風のイメージ」や過去の記事「「温度風の関係」のイメージを描く・・・」で述べた通りです。
北半球では、等圧面の高度は「南側の方が高く、北側の方が低く」なります。この高低差は、大気の層の(南北方向の)温度差(寒暖差)に相当します。南北間の高度差(温度差)を生じるという事はつまり、等圧面は南北方向に傾いていることであり、この性質を「傾圧性」と言います。
上空へ行けば行くほど、等圧面の傾きは顕著になるので、西風成分はより顕著に強化されることになります。
地上では西風の影響はそれほど強く現れるとは限りませんが、上空へ行けば行くほど、ある程度のバランスを保ちつつ、西風の影響が強まることを意味します。ここで、次の図の様に、バランスが保たれている状態を「安定」な状態と呼ぶことにします。
この状態から、さらに南北間の温度差が大きくなると、傾圧性が強まり、温度風の関係に基づいて、上空の西風がより強化されていきます。そうすると、上空の西風が著しく強化されることになります。次の図のように、西風のバランスがおかしくなってきます。
このアンバランスな状態を「不安定」な状態と言います。この不安定な状態は、傾圧性が強められたことによって引き起こされるので「傾圧不安定」と言います。
不安定(アンバランス)な状態が強まると、やがて(バランスのとれた)安定な状態に戻ろうとする働きが生じます。何らかのアクション(現象)を起こすことで、バランスを取り直そうとします。
つまり、不安定な状態においては「位置エネルギー」をため込んだ状態であり、この状態を解消すべく何らかのアクション(運動)を起こすことで「運動エネルギー」に変える働きを生じるのです。
アンバランスな状態では、西風成分が強化され過ぎていました。従って、この西風成分の大きさを、バランスの取れるレベルまで落とすことになります。その際、余剰な成分を南北方向に分散させようとします。このため、全体的な流れは、真っ直ぐの東西流(ゾーナル・タイプ)から、南北に蛇行する南北流(メリディオナル・タイプ)へと変化します。
この波動は、傾圧性が強化されたことに伴うアンバランス(傾圧不安定)を解消するために生じる波なので、傾圧不安定波と言います。冒頭で示した「寒気と暖気のぶつかり合い」によって、上空でもこのようなメカニズムが働いています。温帯低気圧は、傾圧不安定波としての一面も持ち合わせています。
ご参考になれば幸いです。
傾圧不安定の理解に役立ったとの事、とても嬉しく思います。
物理現象は数式だけで議論されることが多く、イメージ(本質)が掴みにくいことが理解を困難にしているように感じています。
私も数式の議論で勉強していましたが、微分方程式の変形を追うことはできても、肝心の「そこから導かれる数式が何を意味するのか」までは辿り着けないことが多々ありました。
また、ご要望を頂きました「順圧不安定」については、未だイメージを思案している段階ですので、もう少し、時間を頂ければ幸いと存じます。