日々徒然に

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「ハダカの城」を観てきました…の感想

2007年11月04日 | Weblog
 11月に入りました。近所の神社ではかわいい「あんみつ姫」や「お殿様」スタイルのはれぎをきた七五三参りの親子連れに出会います。それぞれの親達は自分の子どもにだんな期待を寄せているのでしょうか。
 最近のニュースでは親が子を殺す、あるいは子どもが親を殺してしまうなんとも理不尽で暗いニュースがあります。いったい日本という国はどこへむかっているのでしょうか。そうはいっても自分の子がまさか、こんな事件を起こすなどと考えながら七五三参りに来ている親はどこにもいません…。いつの日か「可愛い子には旅をさせよ」と思う時もくるのでしょう。今は、そんなことは「どこ吹く風…」と思ったほうがいいのでしょうか。
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 さて、久しぶりに私の好きなドキュメンタリー映画がポレポレ東中野で上映されているということで行ってきました。
 題名は『ハダカの城』(柴田誠監督)です。
 最近の続々起こっている「食への不安」をあおる製造表示の偽装。「不二家」「北海道ミートボール」「白い恋人」「赤福餅」など次から次へと企業が偽装表示が問題になっています。この偽装はいまにはじまったことではないでしょう。それが証拠に『ハダカの城』ではこの問題がおきる数年前に起きています。その始まりが「雪印食肉偽装事件」なのです。
 事件は天下の雪印が兵庫の西宮冷蔵という会社にあずけていたオーストラリア産の食肉を偽って「日本産」にして国からの補助金を騙しとろうとした詐欺事件でした。ときはBSE(狂牛病)問題でゆれていた時です。政府はBSE問題で危険とした日本食肉のみ消却し、その食肉に補助金を出していました。うまくいけば、消却され証拠は残らず完全犯罪の成立でした。しかし、補助金(2億円の税金)を騙したろうとした雪印が西宮冷蔵(水田洋一社長)の訴えによって告発されたという事件です。
 映画は告発ということより、告発してその後、西宮冷蔵は他企業からの取引停止、冷蔵庫の生命線の電気までとめらながら廃業まで追い込まれていきます。20人いた社員もそれぞれ辞めていきます。
 水谷社長の告発によって西宮冷蔵は危機に陥り、されでも再建にむけてカンパ活動などを繰り返し、マスコミにもとりあげられ全国的に支援がひろがりはじめ、また操業を再スタートしたというドキュメント映画です。
 一方、この告発によって偽装事件を起こした雪印側も逮捕者をだし、その仕事に従事していた人たちも失業することになります。それまでスノーブランドに恩恵を受けていた人たちがこの告発を機にすべての職を奪われていき、西宮冷蔵はこれらの全てを敵にまわすことになりました。
 毎日、大阪の梅田の歩道橋で再建と事件の真相の理解を訴えつづける水田さん親子の月日を追いかけてのドキュメントでもあります。
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 印象に残っているのは、歩道橋で水田さんの前をいったり来たりしていた買い物帰りのおばあさんが、とうとう、立ち止まりカンパをして握手をして別れたシーンがありました。私にはなのおばさんが、観ている私たち自身のような気がしました。
 食の安全は大切です。そのための第一歩として消費者に嘘はつかない食品であってほしい。表示があるいはその会社の経営がお客の方をみていれば「売り切れ」であってもいいのではないかと思います。消費者が多くの選択肢をもっていることが大切です。それが、消費者の権利であるし自分に一番あうものを見つけることができるということです。
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 当日、幸運にも、映画が終わり15分ほど柴田誠監督の挨拶がありました。そこで「この映画は雪印偽装事件を扱っていますが、雪印を追いかけて告発を糾弾するもではありません。最近、起きている製造日偽装表示はルールを守っていないという言い方があります。では、ルールを守っていれば食の安全はできるのでしょうか。そう思うと内部告発の入口でしかありあません」というあいさつがありました。
 また、「正義は我にあり」(西宮冷蔵・水谷洋一の闘い)ロシナンテ社編集部のなかで「世の中のこと、社会のこと、政治のこと。怒ること、諦めないこと。守ること、許すこと、そして知ること。生きるあために行動を、真剣に実行し、語る、実行者である水谷洋一は力強かった…」と述べています。
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 1人の人間の「正義」の私憤としての告発が多くの人をまきこみ公憤として社会の不正があばかれていく…。そんな社会にいる!!という確認ができたドキュメント映画であった思います。それは「異常」なのではないかと思います。
 そして1人ひとりに問い掛けてくる「生きざま」重いものがあるなあーと思いました。
 *読んでくださった方、ありがとうございました。