2月が終わります。今月はどんな月であったのでしょうか。
私にとっては楽しい月でしたよ…。念願の「新聞博物館」に行けたし、近くの山下公園も散歩できたし、寒かったけれど何十年ぶりの思いがかなったような気がします。
思い…は忘れないで思いつづければどんな形であれ、かなうものかもしれません。
さて、東京は金曜日(25日)に春一番が吹いたそうです。
もうすぐ春です。
とは、うれしい反面、花粉症の私は今年ばかりは戦々恐々の心境です。今年は相当、重い様子だそうです。この重い(思い)は忘れたいです。
今月の週末は読書の紹介です。
今月はこんな本を読んでいました。
♪今月読んだ本…2月編。
2月は何かと中途半端な月です。仕事もちょっとはあいた時間があり、残業も少なかったため、読書にとってはいい環境でした。そんなわけで、これまで読んで挫折した本にも挑戦してみようという気持ちにもなれました。そして、今月は特に「男」という感じが強く印象に残った月でした。なぜなら、読んだ小説の主人公はほとんど男性の主人公ものが多かったのに気づきます。
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◎どんな小さなものでもみつめていると宇宙につながっている(まどみちお100歳の言葉)/新潮社
「幸せとは…自分が生きている現在…その現在を肯定的に見ることができる人は幸せだと思います。すべての生きものが生きているそれらの生命に感謝しながら…という風に」(p113より)
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わたしもすでに半世紀も生きてきて、あとは残す時間は生きている時間より、死にむかっている時間のほうが早くやって来るだろうと意識します。その前に自分の人生をどうまとめあげるかなどと思うと、残された時間がいとうしくもなります。
そんな気持ちで、私の好きなまどおみちおさんの一冊を選びました。100年もの間、生きているとさぞかし、くたびれもするだろうし、楽しみもあるだろうなと思いつつ読んだ本でした。
若い時にはその時のあらゆる人間のもつ欲望(願望)に対する「フンギリ」があるのだろう思いますし、年を重ねてからはまた違った考え方もあります。そのフンギリをつける時、この本で自分の人生は一人だけで終わるものではなく、森羅万象すべてのものにどこかで知らないうちに係わってでフンギリをもって生きているのだろうと思えました。その係りが重いか、軽いかは個人差があるにしてもすべての物体とつながっているものだとつくずく考えた一冊でもありました。そして、それらの係りをもう一度考えてみることができる人間のすごさも味わえました。
よくも悪くも年はとります。それをどう表現するか、詩人の言葉はすばらしいと思います。さて、最後の言葉がどんなことばがあるのでしょうか。
私はとりあえず、働いている間は若い人たちの刺激を受けて頑張っていこうと思います。
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◎夜明け前第一部・上(島崎藤村・新潮社)
「木曽路はすべて山の中にある」という書き出しで始まる「夜明け前」という小説は、冒頭の書き出しでわかるように長野県木曽、本陣宿の人々の物語(歴史小説)です。
物語は木曽本陣宿をまかされたいた頭主の吉左衛門、年寄役、金兵衛さらには吉左衛門の息子の半蔵が後を継ぎ、お民という女性と結婚し子をもうけ生きていく半蔵と彼を取り巻く人々の歴史小説でもあります。
時は幕末。昨年NHK大河ドラマで「竜馬伝」が放映されいましたが、ちょうど世の中かが鎖国か開国か真っ二つに割れている時代でもあります。ペリーが浦賀にきて開国をせまり、ロシア、オランダ、ポルトガル、イギリスと世界から包囲される日本になってきた時代でもあります。外国とのせめぎあいの中徳川幕府の崩壊していく様、その原因を作っていく薩摩・長州という名前が表舞台に登場してくる時代でもありました。(ちなみに最も詳細に書かれているのは「天皇の世紀」大仏次郎がある)
半蔵はふとしたきっかけで木曽にきた旅人に自分の祖先の話が出て、相模(神奈川)の方にいるらしいとい話を聞きます。その話を証明するため半蔵と寿平次(お民の兄)、佐平次が旅に出ます。山から海へ旅をしてみたものは日本が変わっていく有様でした。3人が見た日本という国はいよいよ、外国との関係をもたなければ時代の流れに取り残されるであろう思ったことだろう。木曽へ帰ってからますます見てきた光景が現実に山奥でも人々の通り過ぎていく足音をきいたとき、いよいよ現実ものになったこととなっていきます。
半蔵の人生も木曽だけで終わらせたくないという若者であったようです。今も同じで、田舎に住んでいた若者がどうしても都会に憧れるという空気だろう。違うのは都会に出て観て聞いて、本当に自分に必要な学びたいもの、やりたい仕事をみつけられ生きていけるかどうかだと思う。「夜明け前」という小説は、半蔵が時代の学問に目をむけさらに生き様を追求していこうという小説でもありました。
…とまあ、こんな話です。実はこの小説2年前に一度挑戦しましたが一部・下巻で挫折しました。いつかまたリベンジと思い手元に置いていました。昨年の暮れにやっと表舞台に登場してきたわけです。
なぜか…。理由は時代の転換点に人は世の中とどうかかわって生きてきたのか、そして私はどう係っていきたいのかと思うとき読んでみたいと思った小説だったからだろうと思います。
正直なところ字は小さいし、読みずらい。
まだ、あと三冊もあるのですが、頑張ってみようと思う。
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◎苦役列車・西村賢太・新潮社
私は最近の芥川賞作品には興味をもっていませんでした。それが証拠に読んだ作品は、石川達三「蒼茫」、石原慎太郎「太陽の季節」、柴田翔「されど我らが日々」、丸山健二「夏の流れ」、林京子「祭りの場」中上健次「岬」、村上龍「限りなく透明に近いブルー」、辺見傭「自動起床装置」、又吉栄喜「豚の報い」と数えるほどしありません。最後に144回受賞の「苦役列車」という順になります。
芥川賞は主に短編で、小説がその時代の息吹を感じさせていたと思っています。しかし、徐々にその時代の響がなくなったようで読まなくなりました。
とはいってもこの誇り高い賞は作家の登龍門としてあることは間違いない事実なのだ。事実、その後の芥川賞作家は着実の作品を書いているし、世に出しています。
今回の「苦役列車」西村賢太の作品は私小説ということもあって確実に社会の息吹の音がきこえたように思う。私は芥川賞は時代をみる鏡になってほしいと思うし、読者の心中を代弁する作品であって欲しいと思います。
さて、小説は貫太というフリーター兼小説家の生活で巻き起こる周囲の出来事が中心であります。父を性犯罪者にもち、母はパートで頑張る店長、姉の存在も大きい。フリーターの生活は「所詮精神的に百人の友人よりも、一杯のコップ酒の方がよっぽど心の支えになるようだった」と書いているように日々の生活は友なく、港湾の荷おろしの仕事で底にあったようだ。その中で日下部正二という専門学校生のフリーターと出会い、友情が芽生える。貫太にとって、日下部の存在が話し相手から何でも話せる親密さが加わっていくが、日下部は結婚してしまう。そして、別れ。それでも貫太にとって日下部と知り合えたことが一杯のコップ酒よりも温かいものを感じたのだろう思う。窮乏の生活にあっても、人と人のつながりよって人はまた違うもうひとつ面白さを感じていくものだと思えました。
私が今回読みたかった理由に、フリーター、自殺、過労死、鬱病の増加、高齢化、格差社会、孤独死と孤独のなかにある人間の形があると強く思っています。また、秋葉原での無差別殺傷事件がおき派遣労働者がますます追い込まれたいったように思えたからだといえます。それが、派遣労働者の実態。契約・派遣の労働実態も悪いが正規労働者であっても過労死に象徴されるようにますます増加する傾向あるのも問題ですし、それが、裁判の多さで表現されています。最悪なのは死んでから裁判が始まることだと思います。
最近のニュースに100時間を超える残業をさせていた会社に労働基準監督署が監督しないから過労死したという裁判まで起きていました。
また、私小説ということもあってリアルな表現がいいと思います。自分でそこに立ち、そこで働き汗をかいた瞬間を小説に書きとめるという行為もいいです。
現在のようにパソコンの普及によって瞬時によって情報が過多に流れる世のなかにあっては、その行為はますます大切なことだと思え、今後私は、西村賢太という作家がどんな風に年齢をとって小説を書いていくのかが楽しみに思えました。
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◎父の詫び状・向田邦子・文春文庫
人には様々な思い出があるものである。「父の詫び状」というエッセー集は父が保険外交員をやっていたため全国を転勤しつつ、その土地で起きた思い出をまとめたものである一冊です。
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向田邦子といえば、「寺内寛太郎一家」というテレビドラマを思い出しますね…。父役が小林亜星、母役が加藤治子、長男が西城秀樹で浪人中で父と激しく喧嘩する。祖母役が樹木希林(悠木千帆)でジュリーの大ファン 、 浅田美代子が寺内家のお手伝い。伴淳三郎が石貫職人、左とん平も職人という役者が登場しています。
ドラマで描かれているのは人の悩みは喜び、憎しみをそれぞれの役者が抱えて、それを何とか解決してあげようと善意な気持ち人たちが頑張るのだが、カン違いでドタバタするという模様と、めぐりめぐって、誰かの善意で解決していくというホームドラマだと思う。それぞれの俳優が解決して安心させてあげようとするがウトチンカンなところで人の心の機微が、かわいく見えるドラマでもあったように覚えています。
これが家族の思い出話をドラマにするとこんな感じだろうと思うと、それを文字にすると「父の詫び状」のようなエッセーになるのだと思います。
「思い出は完璧なものより、多少間が抜けた人間臭いほうがなつかし」と作者が書いているように、作品には父の失敗談や母のたくましさが面白くかかれているようです。
さて、最後に父親とはいった何なのだろうと思う。子育てが終わり、子どもが働くようになってこれで成就でお役ごめんだと思っていたら、次から次にふりかかってくるプレッシャー。もう、一人の男として自由に生きたいと思うときがあります。母には定年があるが、父には一生に定年がないように思えます。私にとっては「父の詫び状」は悲しい父の物語のように思えました。
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向田邦子:1929年に今の東京世田谷に生まれた。実践女子専門学校・国文科(現在の実践女子大学)卒業後、脚本家として執筆活動を始めた。その後、都市情報誌「銀座百点」で随筆の連載をはじめ、小説家となった。
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◎希望へ!・桃井和馬・大日本図書
-人間は何をしてきたのか?-
おおよそ自然災害以外は人間が考え、実行したものだ。どんなに残忍な悲劇であってもそれは誰かが何のためにやっているのか「本質」にせまっていけば原因がわかるという。その陰には、ひとにぎりの人間の欲望を充たすために争いが始まり、利権と覇権をめぐっての壮絶な戦いの歴史でもあるのが人間の歴史でもあるわけなのだと思います。
今回紹介する「希望へ!」という本は人間がやってきた現地にフォト・ジャーナリストの桃井和馬さんがいった時の記録でもあります。
インドネシアでの違法で伐採される熱帯雨林の現実。南アフリカではエイズが蔓延していった理由、チェルノブイリでの原発事故での放射能を浴びた悲劇を紹介しています。南アフリカ・ルワンダで起こったジェノサイドによる大量虐殺。全部、目を覆いたくなるような出来事だが現実にあったことです。
いま、平和な日本に住んでいるとこれらの現象ばかりニュースで報道されるわけで本質は見えてきえにくい。それで関係ないと思いがちになってしまうが、実は本質はつながっていることが見えていることがわかってくるという本でもあります。悲しみは一夜にして起きたわけではなく、小さな事件が起き、それが膨張されて利用されたり、国と国の競争によって起こされたり、それも本国は無視された状態で起きていく…とうように。
願いは世界共通で、平和で手を取り合っていきたいと思っているのだと思う。そこで、できることをまず考える一冊だと思えばいいのと思います。
児童書で簡単に説明してあるので読みやすくなっているし、まずは難しいことはいらない。隣国の惨状を理解するための工夫が大切なんだといえます。
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運命の人(四)山崎豊子・文春文庫
昨年9月頃から1か月1巻とういうことで出版された最後の4冊目の本です。
沖縄密約に関してジャーナリストの「言論の自由」を盾に権力に抗したたたかいもこの4冊目で終わるります。
皮肉にも、その沖縄に移り住んでその歴史を勉強しうるようになる。ここで、実際に起こった「沖縄返還」の裏側の歴史でもあると思えました。表面的には沖縄返還は平和裏に行われたかのように見えた。その結果、当時の佐藤栄作首相はノーベル平和賞をいただく。しかし、その本質は日本の多額な資金が米国側に要求されたという歴史がある。その文書が表に出たということがこの小説のメインテーマでもありますね…。
最近この文書が明らかに存在したというニュースが報道されました。実際にあったということだです。その結果、これまでの沖縄返還に関する追求された結果こうなったのだと思います。
ここまでくるまで多くの人の苦労があったことはあまり語られない。その背景を書くのが小説の出番だとしたら「運命の人」は実に大切な本です。
今週、ニュージーランドで地震が起きた。その日、英語を勉強の語学学校・キングス・エデュケーションの建物が倒壊し、日本人留学生が亡くなった。さらに行方不明者も探索しているところでもある。亡くなられた方にはご冥福をお祈りいたします。そして、一刻も不明者の安否ができればいいと思います。
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今週、私の働く職場や他の部門の職場が水浸しになった。原因は入居するビルの水道管破裂よってとのこだという。部分的に職場のパソコンが水浸しになり起動不能となったその結果、仕事は午前中全員出で水浸しになったところを清掃と片付けになった。
床においたダンボールはたくさんの水を吸ってしまって、穴のあいたバケツから水が落ちる勢いで床を濡らしてしまっていた。それでも、どうにか床一杯に新聞を何度もしいたり、とったりとするうちに水が乾燥しなくなっていった。お客様に事情を話して作業は午後からと謝罪したようでした。
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それにしても、片付けをしていて便利だと使っていたパソコンが壊れるとその部分を人がリスクを負わなければならないとは…やりきれないなと思った。
いずれにせよ、便利さ、快適さの裏側には何らかのリスクが潜んでいるものだとわかっただけでも勉強になった。まして、自分が働いている職場のリスクを「こうなるんだ…」ということがわかったことだけでも、勉強になったと思う。さらには、水浸しになって思うのだが、自分の身のまわりがいかにだらしないかと反省しきりの一日でした。
当然こわれたパソコンなどは、入居しているビル会社に弁償していただく。それも時間がかかることだろう。
世の中多くの快適な生活のなかにはバンドラの函じゃないが多くのリスクを背負っている。それを、どう克服するか、さらにはどう展開して、日常にもっていくかが問われたな…と思える一日であった。なんであれ、災難にあったとき、私はどうするのか…。
私は何事にも「最悪な状態」を想定することも大切なしごとなだろうと思う。それを乗り越えていかなかれば、次に進めないとしたら多くの人に協力して…というより巻き込んでやっていくことが大切だと思いますが…。
■今週の主なニュース
◎赤字国債法案に社民党反対(2/22
◎小沢一郎民主党元代表の党員資格を停止(2/22)
◎ニュージーランドで大地震(2/26)
◎パンダが上野動物園にはいる(2/21)
◎イオンが1万人以上採用(2/23)
■楽しかったコラム
◎マニュアル医師が増える(「医療を開く」朝日2/23)
◎採用見直し・学生は教室にモ戻せ(「社説」毎日2/21)
◎聞き間違いの深層審理・小林洋子(「上司の本音」毎日2/21)
◎名著に光を・一人出版社の奮闘(朝日2/26)
◎息子へのエール・自分を磨く(「男のひととき」朝日2/26)
では、この辺で。ながながとなってしまいました。
少しずつ温かくなってきました。来月はボチボチ山歩きを始めたいと思います。お楽しみに…
◆たまたま、読んでくれた方ありがとうございました。