パピとママ映画のblog

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天命の城★★★

2018年07月20日 | アクション映画ータ行

「トガニ 幼き瞳の告発」「怪しい彼女」のファン・ドンヒョク監督がイ・ビョンホン、キム・ユンソク、パク・ヘイルをはじめとする豪華キャストの共演で贈る歴史劇大作。清の大軍に包囲され籠城を余儀なくされた朝鮮王朝を舞台に、命を惜しんで屈辱の降伏か、それとも名誉を重んじて命を賭した徹底抗戦か、対立する2人の重臣と王が繰り広げる国の存亡をかけた決断までの葛藤の日々を重厚に描き出す。

あらすじ:1963年12月14日、清が12万の大軍で朝鮮に攻め込んでくる。16代王・仁祖と朝廷は南漢山城に避難するが、周囲を完全に包囲されて籠城を余儀なくされる。吏曹大臣のチェ・ミョンギルが、清との和睦を進言する一方、礼曹大臣のキム・サンホンは、大義のために死を覚悟して戦うべきと譲らず、激しく対立する2人の重臣の間で葛藤を深める仁祖だったが…。

<感想>一応、イ・ビョンホンの映画と言うことで鑑賞。本当にあった物語ですね。1636年の12月、冬の厳しい寒さと飢えが押し寄せ、外へ出ることも攻撃することもできない、絶体絶命の状況下で繰り広げられた47日間の物語が描かれる。ここでのお話は、国が危機的状況にある時、国王はどのように家臣たちに命じ、民のことを思うのかが問われる、君主たる者の在り方についての物語だろう。

この年は、もっとも寒い年で、雪が吹雪いて偉い人達は綿入れのような軍服を着ているのに、兵隊たちの服が夏服のようで、寒さを凌ぐために藁のむしろを配ったという。そのむしろでいくらかは暖を取ることが出来たのに、今度は馬のエサが無くなり、兵士にあてた藁のむしろを回収して、藁を刻み煮て馬に食べさせたのだ。

ところが、兵士たちの食糧が無くなり、今度は馬を殺して食糧にするというバカバカしいお話。これでは、絶対に戦争に負けてしまうと思ってしまった。案の定、中国大陸で明を脅かすほどの力を付けてきた清の大群が、朝鮮王朝第16代である仁祖に君臣関係を結ぶように迫って来た。

王宮を出て首都漢城(現在のソウル)の南にある南漢山城に立てこもる。この山城を舞台に、和睦か徹底抗戦かをめぐって激しい議論を続ける重臣たちと、彼らの意見を聞きながら国の進退に悩む王の姿を描いたもの。16代王・仁祖を演じるパク・ヘイルは、大臣の2人にどうしたらいいのか、意見を求める。

清に和睦交渉し、百姓の命を守るべきという信念を持つ吏曹大臣のチェ・ミョンギル役をイ・ビョンホンが。

清と戦いで、清の要求に応えるのは、屈服すること。絶対大義を守るべきと主張する礼曹大臣キム・サンホン役をキム・ユンソクが演じる。

他に、山城の鍛冶屋役をコ・スが演じているが、兵士の数が少ないので、鍛冶屋はもちろんのこと、農夫たちも兵士として出陣させられる。この礼曹大臣のキム・ユンソクが、冒頭で凍った川を渡る時に、渡し船の爺さんに道案内を頼むのだが、渡った先で爺さんを殺してしまう。爺さんと一緒に住んでいた孫娘が、一人ぼっちになり、城に助けを求めてやってきて、礼曹大臣が屋敷に匿って面倒を見ることに。

この鍛冶屋が、他の偉い重臣よりも敵に対しての戦略も強いし、礼曹大臣に命じられた密書を朝廷の憲兵たちに持参する役目を受ける。起死回生の作戦を加治屋に賭けるが、敵の中を木に登ったりして巧くかわして朝廷の憲兵のところへと持参するも、予想だにしない近衛兵の裏切りに、鍛冶屋ごときに大事な密書を持たせるとはと、信用してくれず、援軍は来ないことになってしまう。

鍛冶屋が、その後、清の軍勢の中を逃げるのも見どころであり、氷壁を草刈の鎌でよじ登る凄まじさが良かった。助かって城へ戻るが、弟は敵に殺されてしまう。そこへ、清の攻撃に遭い、礼曹大臣から預かった女の子を大事に育てるということになる。もち、礼曹大臣は自決をする。

清の皇帝は、6代王・仁祖の息子を和睦の人質として預かることを申し出るが、父親の6代王・仁祖は、自分の命も息子の命も惜しいし、助かりたいと。どうやって勝つのかを巡る議論ではなく、負けると判っての中でどう負けるのかについてである。

結局は、吏曹大臣のイ・ビョンホンが、6代王・仁祖がどうしても命が惜しいし、助かりたいという“命乞い”の願いを込めて、清に和睦交渉をしに一人で馬で行く。王の命と息子の命、百姓の命を守るべきという信念を持ち、清の皇帝に直訴を願い、大砲の攻撃を止めるように願い、それが叶うのだが、・・・。

呆気なく南漢山城は包囲され、清の大砲とハシゴで塀を乗り越えての軍勢に、降参することになるのだが、中々、大砲の攻撃が止まず塀の中では殆どの民が死に絶えることになってしまう。最後には、6代王・仁祖は、清の皇帝の前で土下座をして何度も平伏し、馬に乗ることも許されず、歩いて西の城へ軟禁状態で生き延びることになる。そこまでして持論の「生きてこそ」を貫くのである。

言葉を大切にした映画ではありますが、一方で言葉というのはどれだけ虚しいものか、という映画でもあります。彼らは言葉と文章で論争し、話し合いますが、結局はそこから生まれるものはありません。音楽は坂本龍一であり、それは重厚な響きを奏でており、映像を見事に引き立たせておりました。

 

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