パピとママ映画のblog

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スノーホワイト ★★★★

2012年06月16日 | アクション映画ーサ行
グリム童話「白雪姫」をモチーフに、悪に立ち向かい、タフに進化していくヒロインの姿を描くアクション・アドベンチャー。監督は、CM界で華やかなキャリアを築き上げ、本作が長編デビューとなるルパート・サンダース。出演は「トワイライト」シリーズのクリステン・スチュワート、「ヤング≒アダルト」のシャーリーズ・セロン、「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワース

あらすじ:スノーホワイト(クリステン・スチュワート)は、マグナス王と王妃に大切に育てられた外見も心も美しいプリンセス。しかし、母亡きあと、新しい王妃に迎えられたラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)に父王を殺されたスノーホワイトは、国を乗っ取られ、7年間の幽閉生活を送ることになる。
一方、女王ラヴェンナは魔法の鏡にいつも問いかけていた。「鏡よ、鏡。この世でいちばん美しいのは誰?」「もちろん女王様です」しかしある日、鏡はこう言った。「この世でいちばん美しいのは女王様ですが、やがてあなたよりも美しい娘が現れます。その時、娘の心臓を食べれば、あなたは永遠の美と若さを手に入れ、不死身となるでしょう」その娘が自分の継娘スノーホワイトと知った女王は、彼女を殺そうとするが、闇の森へ逃げられてしまう。
女王は森に詳しいハンターのエリック(クリス・ヘムズワース)を雇い、刺客として解き放つ。だが、スノーホワイトは彼と手を組み、危険をかわしながら、たくましく生きる能力を身につけていくのだった。女王はその後も、あの手この手でスノーホワイトを追跡、罪のない命と自然を破壊していく。すべては自分のせいと心を痛め、たとえ地の果てまで逃げても女王の魔の手から逃れられないと悟ったスノーホワイトは、抵抗軍を組織し、女王を倒すべく進軍を開始する……(作品資料より)

<感想>グリム童話の中でも人気の高い「白雪姫」といえば、雪のように白い肌で黒檀のように黒い髪を持つ美しさと素直さが取り柄だが、困難に対して極めて受け身。対して本作でのスノーホワイトは能動的でタフな女性、自ら甲冑をまとい戦場を駆け巡る“勇ましさ”をプラス。
塔から脱走したスノーホワイトが、ただのか弱きプリンセスではないことが目に見えて明らかになる。ラヴェンナの側近を殴り付け、地面のくぼみにスライディングして追手をかわし、断崖から海へ迷わずダイブする。

そして、何が待ち受けているのか分からない薄暗い森の中でも、勇気をもって突き進む。霧が深く正体不明の黒い生物がうごめくこの森の描写、映像のトーンを徹底してダークな幻想的で、ゴシック風の恐怖を感じさせる。
黒いカラスが砕け散るかのような暗闇の中の軍隊消滅や、森の中でカラスの群れに変貌するラヴェンナの変身などのVFX描写も、とりわけ目を引くのはラヴェンナが対話する「魔法の鏡の精」、通称ミラーマンである。鏡の中から液体のように流れ出して人型に姿を変える、その様は「ターミネーター2」の殺人マシン、T-1000金色バージョンとも言うべき異様な雰囲気を醸し出している。
そしてラヴェンナが若い娘の精気を吸い取る時には、犠牲者の顔が瞬時に老けるシーンのインパクトも抜群。観るものに否応なしにダーク・ファンタジーの世界に引き込まれるに違いない。

黒い森でサバイバル術を身に着け、リーダーシップに目覚め、闇に支配された凶暴な怪物トロールに遭遇するも、しまいには先陣をきって攻め込む勇ましさ。女王が放つ追手を退治していくさまは、「バイオハザード」のアリスを彷彿とさせるアクション・ヒロインの誕生を予感させる。演じるは「トワイライト」シリーズでお馴染みのクリステン・スチュワート。研ぎ澄まされた美貌、決して可愛子ちゃんと呼ばせない自分の身は自分で守ろうとする頼もしさ、彼女にとってはまさに新境地の役でしょう。

ラヴェンナが永遠の美を手に入れるためには、スノーホワイトの心臓を口にするしかない・・・。ラヴェンナに扮するシャーリーズ・セロン、「そりゃあなたが世界一の美女です」と、鏡に成り変って言ってあげたいところだけど、彼女の怪演を目の当たりにすると、そんな気持ちも吹っ飛んでしまう。怒りを爆発させるように絶叫し、側近である弟に役立たずと言わんばかりにビンタを食らわせるすがたは強烈ですから。表情やセミヌードに妖艶さを感じさせる一方で、老けメイクによる醜悪な顔に変貌する様には、圧倒的な存在感を見せつけまさしくこの映画の影のヒロインと呼ぶべきだろう。
また自分が世界一美しいと信じている女王ラヴェンナ「魔法の鏡」に「森に住む7人の小人」と「毒りんご」といった原作のキーワードも登場。

白雪姫を守る頼もしい二人の男には、「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワースが荒くれ者のハンターでマサカリ持って登場。また幼馴染みのウィリアム王子には「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」のサム・クラフリンが、どちらも頼もしいキャラクターではあるが、原作にない役に挑んだヘムズワースは、精神的な傷を克服するドラマチックな存在で印象的である。

どうしてかって、毒りんごを食べた白雪姫をキスで蘇らせる“運命の人”が、王子さまではなくてハンターのヘムズワースだったのですから。
それに、白雪姫にはかかせない森の番人である7人の小人たちだ。有名なところでは「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」で黒ひげ役を演じたイーアン・マクシェーンや、ベテランのボブ・ホスキンズ、「裏切りのサーカス」のトビー・ジョーンズ。
「ヒューゴの不思議な発明」でおじさん役のレイ・ウィンストン、「宇宙人ポール」ニック・フロストといったイギリスの名優たち、このキャスティングだけでも唸ってしまうはず。

メガホンを取ったのは本作が長編デビューとなるルパート・サンダース。
退廃的な美しさをたたえた美術、ラヴェンナの体がカラスの群れに代わるショットに代表されるCGやスローモーションを効果的に使ったアクション。Xbox他のCMで各国の賞を制したサンダース監督が、独自のビジュアル・センスを発揮している。
とにかく“戦う白雪姫“というキャッチコピーの印象が強い本作の主人公だが、実際は強いだけなく危いさや可愛らしさも兼ね備えたヒロインであり、そんな複雑なキャラクターを見事に演じきったクリステン・スチュワートは、これでまた女優としての幅を一層広げたと言えるでしょう。だが、やはりシャーリーズ・セロンの怪演には、まだまだ届かない。それくらい彼女はインパクトがあった。
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4 コメント

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T-1000金色バージョン (えい)
2012-06-30 12:06:37
こんにちは。

>その様は「ターミネーター2」の殺人マシン、T-1000金色バージョンとも言うべき

なるほど。
どこかで観た感じと思ったら、
ここに原点ありでしたね。
あのシーンは好きです。
森の中も好みだな。
こんにちは。 (健太郎)
2012-08-12 15:54:29
こんにちは。

何か派手になってて、「白雪姫ってこんなんだっけ?」と終始悩みっぱなしでした。

狩人でしたっけ? 随分とワイルドなのが出てましたけど、あんなのが居たら白馬の王子様の出番が無いんじゃ…

魔女がホントに魔女してて怖かったです。
えいさんへ (パピのママ)
2012-08-20 13:39:45
T-1000金色バージョン>このシーンかなりインパクトあったので、思い出しました(苦笑)
森の中のダークな雰囲気も、カラスの群れから変身するシーンとか、シャーリーズが、おもいっきり自分を出して怪演でしたね。
健太郎さんへ (パピのママ)
2012-08-20 13:49:37
コメント感謝です。
か弱い奇麗な白雪姫なんてのは、子供のころの幻物語?
継母と戦う戦士、白雪姫なんて発想が面白いんですよ。
この作品は、継母のシャーリーズが、いつものことだけどハマり役で、かなりインパクトがありました。
ジャンヌダルクのような白雪姫だから、白馬に乗った王子様のキスでは目が覚めない。
マッチョな狩人のヘムズワースが目だって、王子様の出番なしって、根本的に脚本が違うのでしょう。