パピとママ映画のblog

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きっと、星のせいじゃない。★★★★

2015年03月06日 | か行の映画
ジョン・グリーンのベストセラー小説「さよならを待つふたりのために」を基にした青春ロマンス。ガン患者の集会で出会った若い男女が恋に落ち、憧れの作家と対面しようとオランダへ旅する姿などを追う。『ダイバージェント』に出演したシャイリーン・ウッドリーとアンセル・エルゴートがカップルを熱演、その脇をローラ・ダーン、ウィレム・デフォーら実力派が固める。残り少ない時間の中で懸命に生を全うしようとするヒロインの姿に熱くなる。
あらすじ:末期ガンながらも、薬の効果で深刻な状態を免れているヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)。だが、学校にも通えず、友人もできず、酸素ボンべなしでは生活できない。そんな中、ガン患者の集会で骨肉腫を克服したガス(アンセル・エルゴート)と知り合う。ヘイゼルに惹(ひ)かれたガスだが、彼女に距離を置かれてしまう。ヘイゼルに振り向いてもらおうと、彼女が敬愛する作家にメールを送って返信をもらうことに成功するガス。それをきっかけに、二人は作家に会おうとオランダへ旅行に出るが……。

<感想>ヒロイン役のヘイゼルには「ファミリー・ツリー」に「ダイバー・ジェント」のシャイリーン・ウッドリーが、彼女と恋に落ちていくガス役には「ダイバー・ジェント」でシャイリーンと共演したアンセル・エルゴートが、ティーン・エイジャーのカップルを演じて、少女は若々しい機知と洞察力に恵まれ、少年は非の打ちどころのないナイスガイで、しかも彼らの最大の恐怖は自分の死ではなく、「自分がいなくなったあと、周囲の人たちはどうするのだろう」ということなのだから。

眩し過ぎてどこから見ても、とても若々しくて清清しくて、途中で泣けて来て、感動して、この映画が描くのは悲しい運命を背負った若者の恋物語だから。
いわゆる難病ものなんですが、それでも単なるお涙頂戴の物語りになっていないのは、ヒロインの魅力に負う所が大きいと思う。

17歳のヘイゼルは、末期がん患者だが、ありふれた悲劇のヒロインとはちょっと違う。皮肉屋で「さっさと死なせてくれないことにうんざり。」と過激なことばを吐いたりする。
一方で優しい心の持ち主で「ガンで死ぬより最悪なことはたった一つ。癌で死ぬ子供をを持つこと」と、自分よりも両親を心配する。
そうした10代の女の子の豊かな人間性が、この悲劇に救いや明るさをもたらしているのだ。そして限られた時間を懸命に生きる彼女の姿が、生きることへのポジティブなメッセージを浮かび上がらせている。

ヘイゼルの愛読書「大いなる痛み」を、恋人のガスに読んでくれと上げる。彼女がどんなにかその本によって勇気づけられたのか。しかし、その本の病気の主人公が、最後の方では文章が唐突のように書きかけのように終わっているのだ。その結末が知りたくて、オランダ在住の原作者であるヴァン・ホーテンに手紙を書き、アムステルダムまで行くというのだ。

しかし、ヘイゼルの家では、高額の治療費のかかる娘のために、旅費を出す余裕がないのだ。それに、ヘイゼルの体の状態も飛行機に耐え得ることができるのか。すると、ジーニー財団というのがあって、難病に苦しむ子供に一つだけ願いを叶えてくれるという制度があることを。
つまりは、ヘイゼルは前にその制度を使ってしまいダメで、ガスはまだ使ってないのだ。それで、ガスが財団にお願いして、ヘイゼルとアムステルダムまでの費用を出してもらうことに。

オランダのアムステルダムの景色の素敵なこと。運河の流れや建築物の抜群な色彩。アンネ・フランクの家を見物に行く二人だが、ヘイゼルが酸素ボンベを持って階段を上がるのに一苦労である。エレベーターがなく階段を上って屋根裏部屋まで行き着くのは、健常者でも青色吐息なのにね。それは、アムステルダムの街の美しい風景とともに、丁寧に描かれているので、旅行した気分になる。

死期を感じている彼らのケータイによるやりとりが、マンガの吹きだしのように画面に表れて、この若若しい感覚の映画にユーモアを加えていて面白いですね。二人に同行してきたヘイゼルの母親も、娘の命の短さを知り、それに恋人のガスも骨肉腫の癌で、足を切り取っている。いつ何時、転移するかは分からない。童貞くんのガスに処女のヘイゼル。友達でいようなんて言っていても、異国の地で意気投合し、二人は愛を確かめ合うのだ。

「大いなる痛み」の作者役で、ウィレム・デフォーが出ているが、ラストでガスが全身に癌が転移して亡くなってしまう哀しい出来事があり、葬式でのこと、ガスの葬式にあの偏屈でアル中のヴァン・ホーテンが来ているではないか。驚くヘイゼルに、「くだらん、祈るふりをしろ、葬儀は生きる者のためのものだ」とぶっきらぼうに言う台詞がいい。彼の娘も8歳で癌で亡くなり、それを小説にしたものが「大いなる痛み」なのだ。結局は、小説ではラストはウヤムヤにして読者に委ねているようだ。
親よりも先に逝かなければいけない子供、先に子供に逝かれる親の哀しさや悔しさなんかにも触れてはいるが、けっして湿っぽくはない。時間が限られているからこそ、痛いほど感じる生の輝き、どんな状況でも恋が生まれてしまう素敵な摂理を描いている。
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