風の音パンフルート製作工房

浅い軽やかな音・心に沁みる奥深い音を自然の素材から自在に引き出します。パンフルート販売・修理・見学受付け中。

パンフルートはパンフルートではナイ?

2012-12-29 | 古代楽器を再現する

       日本でパンフルートと呼ばれていますが本場ヨーロッパでは別の名前で呼ばれています。

    

       PANPIPESとなっている2つのCD。    東日本大震災被災松の木のパンフルート(PANPIPES)

 日本ではパンの笛・パンフルート(PANFLUTE)と呼んでいますが世界的にはこの名前では通用しないようです。

多くの地域では「パンパイプ」と呼ばれていますが、ギリシャでは神話で葦に身を変えた女性の名をとって「シュリ

ンクス」と呼ばれたりパンフルートが伝わってきた地ルーマニアでは「ナイ」と呼ばれています。

ナイはステージ上でパンフルートの名前を紹介するとき「(そこに)あってもナイ」という定番のジョークでその場

を和らげる効果があったりします。

37年前日本に初めてこの笛をヨーロッパから持ち帰り普及させようとされた方は日本での普及に効果的な名前を

つけようと「パンの笛」と名付けられたと聞いています。

「笛」の総称はフルートですからその後「パンフルート」に変わりつつあります。

その方は「パンパイプ」ではビニール管を並べたような現実的なイメージが強すぎるし「シュリンクス」では夢は

あるが名前を浸透させるには時間がかかる「ナイ」ではあってもナイの冗談になる・・・

などと考えられ日本的な呼び名「パンの笛」に決められたのでしょう。

パンフルート購入・修理・蜜蝋などの問い合わせは082-894-0854または香原 良彦

までどうぞ。広島パンフルート愛好会教室へもどうぞ。nakamura@an-pan.org


パンフルート誕生の物語

2012-12-27 | 古代楽器を再現する

      ギリシャ神話のなかに初めてパンフルートが作られた時の物語があるので紹介します。

    

             小学校音楽副教材「たのしいリコーダー・ピポピポ」より転写

 「むかし、ギリシャにパンという名の山羊のすがたをした神さまがいました。

たいへんほがらかで音楽がすきでしたが、いたずらもよくする神さまでした。

ある日のこと、パンはシュリンクスという名の美しい森のような精をみつけてつかまえようと追いかけました。

シュリンクスは走ってにげましたが、とうとう川岸まできてしまいました。

つかまりそうになると、シュリンクスは、水の神さまにお願いして川辺にはえる葦に身を変えてしまいました。

パンは悲しみました。ほんとうはシュリンクスのことを大すきだったからです。

パンはなみだを流しながら、葦をぬきとって笛をつくりました。

 ふいてみると、それはシュリンクスの声のようにやさしく美しい音色でした。

それからのパンは、いつも野や山で動物達たちに笛のしらべをきかせていました。」

これがギリシャ神話に出てくるはじめてパンフルートが作られたときの物語です。

パンフルート購入。修理・蜜蝋などの問い合わせは082-894-0854または 香原 良彦

までどうぞ。広島パンフルート愛好会教室へもどうぞ。nakamura@an-pan.org


パンフルートのパンとは何?

2012-12-18 | 古代楽器を再現する

    私たちは何気なく「パンフルート」と呼んでいますけど「パン」とは一体何なのでしょうか。

   

 笛の演奏を羊飼いのダフニスに教えるパーンの彫像。 「パンフルート演奏入門」表紙にあるスイスの笛吹き

 「早わかりギリシャ神話」より転写。         童子?の写真。

 私の笛製作工房「パンフルート工房」は国道2号線より約50m入ったところにありますので訪問される方の

目印に2号線からの入り口に「パンフルート製作工房」と小さな看板をあげております。

この看板を見て1年に1人は食べるパンを作る工房と間違られてパンを購入しに来られます。

この時はパンフルートの知名度の低さを痛感いたしますが、そうは言ってはおられないので来られた方には

「このような竹で作った笛のことをパンフルートと言います」と説明してパンフルートの宣伝を聞いて帰って

もらうようにしています。

パンフルートのパンの名前の由来はギリシャ神話から来ています。

名前は「パーン」と言い羊飼いと羊の群れを監視する神で上写真のように羊の足と頭部に山羊のような角を持つ

獣人様といわれています。

このパーンは大人の世界では無類の女好きでいろいろ事件を起こしたようです。

この事件の中の一つがパンフルートの誕生に関わって来ます。

大人の世界を垣間見たいのはやまやまではございますが、ここはひとつさわやかに地元瀬野小学校で使う音楽

教科書にパンフルート誕生の顛末がのっておりますので次回紹介いたします。

パンフルート購入・修理・蜜蝋などの問い合わせは082-894-0854または 香原 良彦

までどうぞ。広島パンフルート愛好会教室へもどうぞ。nakamura@an-pan.org


調律用詰め物は反故紙

2012-11-16 | 古代楽器を再現する

        古代パンフルート甘竹簫の音程作りの詰め物には書道の反故紙が使われています。

    

               奈良公園秋の風景。     底面と外れて発見された楸木帯・正倉院展目録より。

 古代パンフルート甘竹簫を底面から見ると節の部分を貫通させ低音から2管目と4管目に詰め物が見えます。

説明文によると「中に調律用とみられる丸めた紙が詰められている。これには墨書があることから反故紙を用いたと

推定される」とあります。

また多くは外れて無くなっており当時どのような音程で演奏されていたかは不明であると聞いた。

当時どのような音質で演奏されていたのか興味があり、工房に帰り最近製作した簡易型パンフルートに和紙(障子紙)

を詰めて実験をしてみた。

簡易型パンフルートは甘竹簫と同じように竹管の穴は貫通し中の詰め物をスライドさせて音程を作る構造になっている。

管の底から和紙を丸めて底から入れて5㎜以上になるよう突き固めるのだが・・・なかなか音が出ない。

貫通管を吹いた時と同じようなスースーとかすれた音しか出ないのである。

こんなはずではないと根気よく突き固めてようやく音らしくなってきたが実用音にはほど遠い音である。

当時の人はこの音で演奏するしかなかったものと推測するが、使う前に和紙を少し湿らせて密封状態を作って演奏

していたのかも知れない。

現代のパンフルートは蜜蝋という管底で固くしまって密封される品物があり音作りに苦労はない。

パンフルート購入・修理・蜜蝋などの問い合わせは082-894-2-0854またはxiaxi@go8.enjoy.ne.jpまでどうぞ。 


正倉院展古代パンフルート2

2012-11-14 | 古代楽器を再現する

      正倉院展で展示の甘竹簫は実際の本体部分は中央部が破損しており2つに分かれていました。

    

                奈良公園秋の風景。      2つに分かれて展示(正倉院展目録より転写)

 正倉院にある古代パンフルート・甘竹簫(かんちくのしょう)は1世紀以上の時を経て相当破損しており竹の長期

間保存の難しさを改めて感じさせられます。

甘竹簫展示写真左側の布帯が巻いてあるほうのブロックには5本(1本は側木の中に隠れている)の新しい竹管が見え

ますが、これは明治時代にバラバラになった竹管を補充してつなぎ合わせたものだそうです。

よく見ると低音から4管目に新しい管が1本あります。

ということは明治の補修の段階では楽器本体は3つのブロックに分かれていたとおもわれます。

この2つの低音部と高音部を合わせれば21管となりますが、昭和40年に木製の帯(ひき木帯)が見つかり竹管の

痕跡と照合したところ元来は18管であったことが明らかになった。

私はこの古代パンフルートを現在の技術で蘇えらそうと計画しております。

それは単なる模造品ではなく時を蘇えらせる「復刻品」であると考えております。

パンフルート購入・修理・見学などの問い合わせは082-894-0854または香原 良彦

までどうぞ。広島パンフルート愛好会へもどうぞ。nakamura@an-pan.org