ぶらぶら人生

心の呟き

ガーベラの花

2011-05-26 | 身辺雑記
 2か月ぶりにM歯科医院へ行った。
 定期の検診を受けるために。

 入り口の鉢に、ガーベラの花が咲いていた。
 赤いガーベラ。

         

 
 赤いガーベラは、死別という哀しみを思い出させる。
 遠い日の想い出とともに。

 下関のレストランでのことだった。
 テーブルの花瓶に、赤いガーベラが挿してあった。
 何用で下関に行ったのかは思い出せないけれど、同席の亡き師から聞いた話だけは、鮮明に覚えている。
 <母親と永訣した病室に、赤いガーベラが挿してあってね。この花をみると、母の末期(まつご)を思い出すのだよ>

 師が、ガンでご母堂をなくされて間もない頃であり、私は 20歳になったばかりの若き日のことである。妙に閑散としたレストランの雰囲気も、忘れ難いシチュエーションとして、記憶に刻まれている。
 そのとき以来、ガーベラは死別の悲哀と深く結びつくようになった。
 今日の赤いガーベラも、私の心には、哀しみの色にしか見えないのだった。

 あの日から50余年を生き、実に多くの大切な人たちと永訣した。
 元気で今を生きていることは、喜びには違いないけれど、年年歳歳、赤いガーベラの花は、須臾の哀しみを誘う。


 病院の受付台には、季節の花が無造作に活けてあった。
 皐月のさわやかな花々。

         
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