ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

温かい雨

2014-03-16 19:20:02 | 日記

この駅から何度電車に乗ったろうか? 僕にとって、この駅は全てへの入口であり、祖母、両親、兄弟の待つ家へ帰るための大切な出口だった。

かつて栄えたこの町駅は、朝も夜も大勢の乗降客で賑わっていた。 遅刻ギリギリの始発電車は、高校の最寄り駅まで乗り換え行くと間に合わず、途中の駅から走り歩きしたっけ。

大学受験の際には、ストーブが焚かれた待合室で暖を取った。 大学進学で上京してから、この駅とは疎遠になっていく ・・・ 。 そして祖母も父も、もういない。

帰省時に 「 いいから 」 と断わる僕を、笑顔で駅まで送ってくれた母も、腰が曲がり足も弱る一方だ。 でも、寂れ果て暗い表通りに面した扉から僕が見えなくなるまで見送ってくれる。

向かい側のホームに到着した電車から数名の男女が降り、改札を通っていく。 もちろん、顔見知りは一人もいない。

 

1 ヶ月程前のこの日は雨。 寒い日だったけど、この駅に降る雨はなぜか温かかった。

 

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