そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

もうすでにTPP以後を見て動く農業現場ではあるが

2012-12-12 | 政治と金

選挙は望むと望まざるとに関わらず、ポピュリズムに陥るものである。TPPを積極的に勧めるのは、みんなの党だけである。

民主党は野田が先走って、TPP参加を声高に発言していたが、選挙が近づくとトーンダウンしている。民主党公認とTPP参加は一体だったはずだが、少なくとも農業地帯の北海道の民主党公認候補は全員が、TPP反対を訴えている。

自民党はもっと狡い。賛否両論候補者を抱えたままで、交渉力で突破するなどという精神論を展開している。

維新の会はもっと卑怯である。石原慎太郎の極右翼を党首にするや否や、国益にそぐわない交渉はしないと、不透明な方針に変わってしまった。国益とはなに?

最も被害を受けると思われる農業の現場は、こうした政治公約を冷めた目で見ている。3年前の民主党に見られるように、選挙時の公約などは議員になるとどこかに飛んでしまうものである。各党がTPPにこれだけぶれてる「約束事」など、当選後に期待などできるはずがない。

農協を中心とする現場はすでに、TPP以後を見据えて動き出している。農産物価格を30%ほど下がった状態での、農業対策である。農業対策と言っても、単なる補助金の引き出しである。

農家は本音と異なる行動をしているのではない。したたかな政治への働きであり、政治家・政治体制への不信である。

農業に対しては、ほとんどの政党が例外なく大型化によって、コストダウンを行い競争力をつけるとしている。昨日と一昨日に本ブログで述べたが、規模拡大で大量の農薬と化学肥料、それに大型機械と施設の導入をすることになる。

そうした結果、農作物がとても正常とは言えない危険な、「食料」を生産することになる。TPP参入を農業関連企業が推進する理由は、大型化と大量生産にある。

残留農薬問題や大型化による環境破壊、それよりなにより投資を強制される農家の経営は一段と不安定になる。農家が大型化することで、経営が良くなった例を見たことがない。稀に経営が良い農家が、大型化で収入が増えることはあるが、決して経営が良くなるわけではない。経営の行き詰った農家が大型化によって、破産することは珍しくない。大型化で周辺企業が潤うだけである。

TPPは都会の論理である。TPPは経済効率の追求である。自然環境は世界中で様々であり、農産物の生産価格が異なるのは、自然環境に負うところが大きい。その調整のために関税が存在するのである。

環境と大きくかかわる農業に、経済効率を追求するのは不条理である。農業を放棄した韓国の後を追うことになる、無関税主義は食料の自給率を極端に下げ、国家の存在すら危うくすることになる。

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